2度目。ーー2度目も結局関わる事になりますか。・1
クルス・ガリア・アレジの3人が2週間で帰って来たのは定期報告だからですが。クルスはどうやら先にお父様に会う事になったようです。つまり仮の主人である私ではなく真の主人であるお父様に報告しなくてはならない事態、という事でしょう。
先にガリアとアレジの調査報告を聞く事にします。ガリアは紳士科と商人科がある3つ向こうの国の学園を調べてくれました。事前の報告通り6年間ではありますが、その分だけ充実した内容で勉強が出来るようです。図書館は我が国の国立図書館の倍以上ありそうな広さとか。それはかなり蔵書も期待出来そうです。
実技試験もあるそうで例えば商人科なら実際に見習い商人として商会で研修を受けて働く事が出来るそうです。その態度や働きぶりを試験として採用するらしく評価が悪いと留年になるとか。こちらの世界では画期的な考えだと思います。同様に紳士科や淑女科は貴族の(それもかなり有力な)家でその姿を見てもらうようです。文官科や騎士科なども同じ……。この実技試験が1年あるために我が国や隣国より1年長い学園生活を送るようです。納得ですわ。寮も古いながらも落ち着きがあって調度品も古いけれど物がイイらしく一級品を長く愛用しているそうです。あらそういうの、私は好きですわね。
アレジは魔導科がある帝国の学園です。帝国は我が国の北にあって我が国と帝国の間には大小5つの国があります。その先の大陸一の強国です。3年と期間が短いのは学園が総合的なところだからでしょうか。前世の日本風に言いますと、学園は高校にあたります。その後大学は存在せずに専門学校ばかりが乱立しているようなものです。つまり高校で国語・数学・生物・物理・化学・歴史・地理・外国語・騎士(体育)・紳士・淑女(音楽や美術や家庭等)の基礎知識を仕入れたら、国語専門の専門学校や地理専門の専門学校等があちこちに有るのが帝国なのです。
要するに高校で3年間過ごしたら専門学校で更に2年は勉強する仕組みになっているそうです。だから我が国や隣国と同じ5年間は勉強する仕組み。ただ留学生が非常に面倒くさい状況になります。学園を卒業してもまだ帝国で勉強したいと思う……つまり専門学校へ行きたいと思うならば、一度帰国して再度専門学校への留学を希望しなくてはならないのです。何故かというと数十年前、どうやらとある留学生が学園を卒業した後、そのまま専門学校へ進学したのに何故か1年も立たずに退学したそうで。
以来、留学生が更なる勉強をしたい、と専門学校へ行く事を希望した場合、一度帰国して意思を固めた上で改めて留学する方法を取るそうです。面倒くさいですが向こうの規則に従うのは当然なので仕方ないです。でも勉強するには良い環境なのかもしれませんね。専門ですからね。
寮の方はさすが帝国と言うべきか。常に最新式の設備に一級品を定期的に買い替えるそうです。所謂金に糸目をつけぬ状態の寮だとか。別に贅沢な生活を送りたいわけでは無いので最新式の設備でなくても定期的に新しい一級品を見なくても問題ないんですけどね。
そんな報告を聞いて益々候補を絞り切れなくなった私を見透かすようなタイミングで執事が現れ、お父様がお呼びだと告げて来ました。
お父様に報告へ向かったまま一向に現れないクルス。
侍従や侍女に言付けずに自ら足を運んで私を呼びに来た執事。
ーーもしや、杞憂ではなく現実としてマズイ状況なのでしょうか。




