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1度目。ーー楽しいオタ活生活と婚約発表。

これ以上は公表しないわけにはいかない。という陛下のご判断で私とヴィジェスト殿下の婚約が公式で発表されたのは、私が18歳を迎えて直ぐのこと。私が年上なので婚約を発表しないと嫁き遅れと蔑まれてしまう事を陛下なりにお考えになって下さったのだろう。元よりこの婚約の意義を理解していた私は陛下のご意思に従う他無い。当然ながらヴィジェスト殿下は我儘を言ったようだったけど。後から王妃殿下から聞いたところによればヴィジェスト殿下は国王陛下だけでなくイルヴィル第一王子殿下にも叱られたらしい。


「この婚約の意義は辺境伯家が王家に忠誠を誓う悲願達成だ!」


と。お三方ともヴィジェスト殿下とロズベル様のことはご存知だろうけど、まさかロズベル様を正妃に迎えたいとはこれっぽっちも思っていないみたい。……まぁそうよね。身分差があるもんねぇ。まぁ私は知らない事にしておいた。


「何故お前から婚約破棄を申し出ないんだ!」


ってヴィジェスト殿下に言われたけど、この人本当に自分の立場とかわかっていないんじゃないのかな。


「殿下。私と殿下はお互い不干渉だ、と申し上げたではないですか。その時に王家と辺境伯家の契約だと申し上げたはずです。私は辺境伯家の娘。王家()()申し込まれた縁談を私が破棄も解消も願えるわけがありません」


つい、呆れて言ってしまった。殿下はそれ以上言えない事に気付いたのかプイッと居なくなってしまわれた。大人になって欲しいわ。こっちから言えるはずないし、そもそも婚約を解消なり破棄なりするにもそれに見合う条件を提示しなくちゃ陛下はお認めにならないわよ。王子教育されているはずなのにその辺の事を理解していらっしゃらないのかしら。それとも王子教育そのものを忘れる程、恋にのめり込んでいらっしゃるのかしら。


溜め息を扇子の内側で吐き出してから私は歩き出す。誰に見つかっても困らない位置で常に待っていてくれるドミトラル様の元に。あれからドミーは約束通りイルヴィル殿下のスチルを描いて下さったりドミー自身のスチルを描いて下さったり学園の風景(ゲームの舞台らしい)や城内の風景やお忍びデートスポットの風景まで描いてくれている。もちろんきちんとお金は出している。だってイルヴィル殿下の絵もドミーの絵も支払うのが当然な程素敵なのよ! 推しにお金を払う。これ常識。今日はどんな絵をもらえるかしら。


「お待たせしました。ドミー」


「大丈夫。そんなに待ってないよ。……さっき城内で噂を聞いたけど、正式に婚約発表をしたってホント?」


「ええ。仕方ないわ。本来ならもっと早くに発表されている事なんだもの」


「そっか。おめでとう?」


「それは要らないわね。おめでたくないわ」


「それは悪かった。でもそれじゃ幸せになれないよね?」


ドミーが心配そうに私を見る。


「うーん。殿下と結婚してもドミーが絵をくれるなら別に。寧ろ殿下の事を好きな気持ちが無くなった今の方が良いわ」


「好き、だったのか」


ドミーの驚いた顔に私はあっ……と口を滑らせた事を後悔しつつ少し考えてから本音を打ち明ける事にした。

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