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成る程。では、お互い不干渉といきましょう。  作者: 夏月 海桜
初めての学園生活を送る2度目の人生
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2度目。ーー留学候補の学園と姉の本質を見極める。・5

結局私はこの日お姉様ときちんと話す事はありませんでした。というより長期休暇中のお姉様はお父様とお母様と家庭教師達にみっちりと教育を受けているらしく食事の時間くらいしか会いません。


お姉様は最初は私を睨んでいましたが段々睨む余裕さえないのか顔色が悪くてなっていきました。……行き過ぎた教育では? と心配したのですが、お兄様がそっと教えて下さいました。


「普通の教育だったよ。キャスのことは私も心配だったからね」


学園に入るまでは“僕”という一人称だったお兄様も入学してから“私”に変更したわけですが、家族思いなところは変わらなくて安心しました。それにしても普通の教育なのにあんなに顔色が悪くなります?


「キャスは入学試験を受けていないんだよ」


私はお兄様に学力がそれなりにあるはずなのに、と意見を言えばお兄様がそのような事を仰ったので私は目を瞠りました。


「えっ? 学園は入学試験がありましたよね?」


「キャスは病弱を理由に筆記試験ではなく一芸に秀でていて面接を受ければ合格をもらえる特殊試験で合格しているから」


そういえば有りましたわね、そんな試験。お姉様は前回は病弱を理由に入学していませんでしたから学力を知りませんでしたが……。


「確かアレは学力不足の方のための救済措置では?」


そこまで言って気付きました。えっ……。お姉様は学力不足だったという事ですか?


「キャスは病弱を理由に勉強をしてこなかったから。一芸だって別に大したことじゃない。病弱を理由に外に出られず出来る事は少なかった、という理由から人並みの刺繍の腕前を披露しただけ」


「人並みにあるだけマシですわ」


私は手芸物は壊滅的だ。お兄様が“しまった”というお顔をされましたが今更。


「ま、まぁそれはともかく。面接も何とかこなしてキャスは合格したんだ。まぁ学園長が父上と旧友なのもあってかなり頼み込んだらしい」


学園長はお父様のお友達でしたか! 私はお父様の顔の広さに驚きながらもお姉様が合格した理由に納得致しました。


そういう理由ならば現在勉強漬けの日々を送るお姉様の現状には何も申せませんわ。頑張って頂きたいと思います。

そんな私もお父様から借り受けた影に3つに絞った他国への留学先を更に詳しく調べてくるよう頼んでいます。ちなみに前回世話になったクルスと再び会えて嬉しくなりました。まぁクルスには前回の記憶などないですから、また一から信頼関係を築く必要がありますけどね。


最初の調査は留学先の学園の通り一遍な調査でした。規模や人数、場所や特徴・金額などです。今度の調査では学園内の雰囲気や各科の授業内容に設備・寮内の様子等。私はどこの国の学園でも留学生ですから寮住まいは確定です。ですので調査は念入りにして頂きます。そうしておよそ2週間。


ーー影達が細かな情報を手に帰って来ました。

お読み頂きありがとうございました。

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