2度目。ーー王子殿下3人が私に友人候補を押し付けてきます。……要らない。・2
ーー1年前。
ヴィジェスト殿下からの手紙には城内の庭園で様々な花が咲き誇っているので観に来ないか? というお誘いでした。……それって要するにデートのお誘いと同じなんですが? 絶対遠慮したい。とはいえ正当な理由無く王族からのお誘いを断る事は出来ない。確かに王家に忠誠は誓っていない。でも別に王家に敵対する気もないから。という事で返信には「個人的なものですと他の婚約者候補の方々に申し訳ないので、皆さんとご一緒なら」とやんわり断っておく。遠回しのお断り且つ貴方に興味無いですよアピール解ってくれますかね?
……そう思っていた時期もありました。
ーー再び届いた手紙を見るまでは。
「では婚約者候補の皆と再度お茶会を開催するからその時は来てくれるだろうか」
……。コレだ。遠回しの断り文句が素直に受け入れられてるっ! えええええー。嘘でしょ。なんで再び婚約者候補の皆さんとの上辺だけ仲良しこよしのお茶会なんかに参加しなくちゃいけないの……。
というか。ヴィジェスト殿下。あなたロズベル様はどうしたの⁉︎ 記憶があるんでしょう? あれだけラブラブだったじゃないですか! 私なんてどうでもいいからロズベル様に集中して下さいよ!
……ん? もしかしてロズベル様がゲームと同じような対応をしているとしたら? 前回は最初からラブラブだったけど今回はロズベル様の方が一歩引いていたとしたら? そうだとしたらヴィジェスト殿下も今は一歩引くのかしら?
前回の記憶があるなんて普通は無い事だからロズベル様がそういう態度でもおかしくない……かもしれません。いえ、彼女の事を良く知らないので何とも言えないですが。そして何故か私とヴィジェスト殿下にはあるみたいですけどね! なんでヴィジェスト殿下にもあるのかさっぱりですけどね! でも記憶に関しては絶対に話し合いたくないですよ? 私が覚えてるなんて知ったらヴィジェスト殿下が罪悪感から私を婚約者に迎えるとか言いそうじゃないですか! 私はドミトラル様を探し出してドミトラル様に好きになってもらって結婚するんですから!
あら。思考がズレました。さて。このお誘い、どうお断りしましょうか。この時はそんな風に思っていたのですがその10日後にあんな事態に陥るなんて全く思いもよらなかったのですわ。
ドナンテル殿下とノクシオ殿下から再び届いた手紙に
「俺(私)達との友人関係は断ったのにヴィジェストの誘いは断らないってどういう事だ」
意訳するとそんな内容の手紙。……隣国の影は優秀なようですが一体どこから漏れたのでしょう? 我が辺境伯家に潜り込むのは難しいはずなのですが。……もしや城の方ですか。まぁそうですよね。何処の国にも影は入り込みますからね。でもここまでバレるのも問題じゃないですかね。いえ。バレても問題ない内容ですよね。だってヴィジェスト殿下の婚約者候補の話なだけですものね。他の候補者の方も把握済みでしょうしね。私の心が狭いわけでは無いはずです、多分。そんな事を考えながら読み進めますと……。
「断り切れないなら俺(私)達がお前を友人として我が国に遊びに来るようにしてやるが?」
と書かれてます。……うん。正当な理由で断れますね。これ以上無い理由です。でもコレ受け入れたら確実に殿下方の友人認定ですよね。それをこの国の国王陛下以下王族や重鎮の方々に知られる……。かと言ってヴィジェスト殿下のお誘いを断れるような正当な理由が無いんですよね。それこそ隣国と緊迫した関係なので離れられない! って状況にでも陥らないと。そんなの嫌ですわねー。
そんなわけで背に腹は変えられなくて結局私はドナンテル殿下及びノクシオ殿下の申し出を受け入れてヴィジェスト殿下のお誘いを断りました。そこからです。1年経った今も尚続く、ヴィジェスト殿下vsドナンテル・ノクシオ殿下の私獲得(友人の座獲得とも言う)攻防戦が繰り広げられるのは……。いやだから! 私の意思はどこいった⁉︎




