1度目。ーー断罪回避していたので趣味に生きます。
知らない間に断罪回避されてた……。コレは喜んでいいことよね?
「ドミトラル様」
「ん?」
「ゲーム開始前にゲームが終わっていますなら私は好きに生きても罰は降りませんかしら?」
「大丈夫じゃない? 処刑も無いし」
「それならば! ドミトラル様のお力を借りたいですわ!」
「ケイトってば燃えてるねー」
というか先程からドミトラル様は私の愛称を呼んでいらっしゃいますね。まぁ構いませんが。
「ドミトラル様の愛称はなんですの?」
「俺ぇ? ドミー」
「では私もドミーって呼びますわ。ドミー。ゲーム会社の社員さんだったならスチルもご存知では?」
「え? うん、まぁ」
「やっぱり! では、それを描いて欲しいですわ! 私前世は乙女ゲームをしたことは無かったですがオタクですもの! 記憶を取り戻した私には推しである第一王子殿下のスチルが欲しいですわ!」
「ケイトってヴィジェスト推しじゃなくてイルヴィル推しだったの⁉︎」
「ケイトとしてはヴィジェスト様に一目惚れしたのでケイトの私はヴィジェスト様のお顔が好みでしたが、マコトとしての私は寧ろイルヴィル第一王子殿下の方がお顔は好みですの!」
「ああ、成る程……ね」
「それとお顔の好みで言えばドミーも好みでしてよ? ですからドミーのスチルも欲しいですわ!」
「俺も好みなんだ?」
「ええ! とっても!」
「可愛いなぁ。ケイトってば。よし、そんな可愛いケイトのために俺が特別にスチルを描いてあげよう!」
「本当でございますか? お金はお支払い致しますから!」
「いや、要らないけど」
「何を言ってらっしゃるのですか! いいですか? 推しにお金を払うのはオタクとして当然なんです!」
「……ああうん。ケイトの前世が何となくわかったよ……。じゃあ有り難くもらうね」
「ええ、ぜひ! では、来週ここでまたお会い致しましょう。あの、それと、きちんとドミーのスチルも下さいませね?」
「そんな可愛いケイトのお願いだから俺頑張る。また来週な!」
そんなわけで私は素晴らしいソウルメイトに会ってしまいました。これからはドミーの絵を楽しみに生きていく事にしますわ!
というか。出来れば、イルヴィル殿下✖️ドミーのびーえるスチルが欲しいですけど……。さすがに自分がびーえる対象では嫌かしら? あ、イルヴィル殿下✖️ヴィジェスト殿下も有りね。ヴィジェスト殿下✖️ドミーも捨て難い……? いえいえ、欲をかいてはいけないわ! 先ずはイルヴィル殿下のスチルをゲットするのが最優先よ!
ああ、こんなことなら前世で乙女ゲームをやっておくべきでしたわ! 特にこのゲームを! そうすればどこの聖地でどんな攻略対象がどのようにヒロインを口説くのかっていう萌え萌えスチルを描いてもらえましたのにっ! いいえ、でも大丈夫よ。だって私は製作者側のドミーという強い味方をゲットしたのですもの!
ああ転生してもオタク活動が出来るなんて幸せだわ! うふふ。これならヴィジェスト殿下と書類上の結婚になっても私は幸せじゃないかしら!