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成る程。では、お互い不干渉といきましょう。  作者: 夏月 海桜
2度目は婚約者の座を回避中
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2度目。ーー多分これが、今出来る事の中で最良なのでしょう。・1

お父様は私の話を吟味しているようでした。たかが夢。されど夢。

只の夢だと割り切ってしまう事は簡単ですが現状のお姉様を見ていれば夢だと笑い飛ばせない。だからこそお父様は吟味されているのでしょう。


「ケイト」


「はい」


「確かに今のキャスでは将来的にケイトの夢のような事態になってもおかしくないかもしれない」


「……はい」


「ケイトの夢だから、と笑い飛ばせれば良かったがキャスの我儘さを見ればそうもいかないだろう。シュシュの所為とは言わんがシュシュと自分が甘やかしているのは確かだな」


シュシュはお父様だけが呼ぶお母様の愛称です。強面のお父様ですがお母様をこよなく愛していらっしゃるので自分だけが呼びたい愛称を付けられました。お母様の名前・ハシュレイから取った愛称なのです。そしてお父様、ご自分がお母様を甘やかしている自覚がきちんとあって良かったですわ。お姉様のことも病弱だから……と甘やかしている自覚があって何よりです。

おそらく推測ですが当初は病弱のお姉様でも当主候補としてお父様はその言動に注意を向けていらしたはずです。ですがお姉様を不憫に思うお母様が、そんなお父様にお姉様の当主候補を外させたはず。お父様もそれを受け入れたのでしょう。確かにお姉様は10歳になられるくらいまでは月に一度は熱を出すようなお身体でした。ですが10歳前後から徐々に体調は安定を始めて12歳の現在は3〜4ヶ月に一度くらいの発熱で済むようになりました。決して当主になることに耐えられない身体ではないのです。

お父様はその事を思い出されたのでしょう。

身体が弱いから他の子ども達より手をかけて甘やかしてしまい、結果的に精神的に甘ったれた我儘な娘に形成されつつある事に気付いたようです。


「キャスを王都にある学園に入学させる」


お父様は重々しい表情で決断されました。それにしてもその決断になるとは……少しだけ驚きます。

前回ではお兄様とロイスは王都の学園に入学して好成績で在籍していましたが、私は王子妃教育で入学する必要がなかったし、お姉様は病弱を理由に入学を果たしていなかったからです。学園は基本的に全寮制で長期休みは各々の家に帰ることが許されていますが原則は余程の事情が無い限り寮で過ごすからです。前回お姉様が入学していなかったのは、お母様が病弱なお姉様を慮って寮生活に耐えられないかもしれないから、と通わせる事に大反対でしたから。


でもお父様は今回は通わせる事を決断されました。同年代のご令息・ご令嬢達と苦楽を共にすることで精神的な成長を望んでいらっしゃるようです。その効果が現れるかどうかはともかく。お父様の期待に応えて変わってくれれば……と願わずにはいられません。

まぁお母様が反対されるでしょうが、今回はお母様の意見に左右されない判断をして欲しいものですわ。尤もセイスルート家の当主ですから決めたならばブレる事など無いとは思いますけれども。

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