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成る程。では、お互い不干渉といきましょう。  作者: 夏月 海桜
2度目は婚約者の座を回避中
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2度目。ーーお茶会は中々に波乱の展開でした・2

周囲を然りげなく見回して近づく令嬢達を見極める。笑顔を浮かべて頭を下げれば侯爵家のご令嬢が声をかけてくる。公爵家のご令嬢は私達の年代だと王太子殿下の婚約者であるシュレン様しか居ないのよね。そのもう少し年上と私達より年下には居るけれどヴィジェスト殿下に合う年齢は侯爵家のご令嬢が1番身分が高い。


「はじめまして。私はセイスルート辺境伯家の娘・ケイトリンと申します」


名乗ればザワリと空気が揺れる。辺境伯爵家と言えば……という声がそっと聞こえてくる。身分的には侯爵家の下ではあるけれど事実上は公爵家と同じくらいの実力はある。王家に忠誠を誓っていない、現王家よりも古い家柄だから。ある意味特異な我が家だからご令嬢方が騒つくのも仕方がない。

けれど前回の記憶が残っている私は自分を侯爵家のご令嬢より格下だと位置付けさせた。だってこの方、ヴィジェスト殿下世代の令嬢達の中で自分より身分が上の令嬢なんて居るわけがないってプライドが高かったのだもの……。前回は一応表向き我が辺境伯家に敬意を払ってくれたけど。それはそれは「一体何を狙って田舎貴族がいらっしゃるのかしら」と聞こえる声で嫌味を仰っていたわぁ。別に一々気にしていられないのだけど気にしないことと我が家が侮辱されることに怒るのは別、よねぇ。だから今回は婚約者の座を回避するためにも先に貴女の方が身分は上ですよーって態度を示してみました。案の定「まぁ当然ね」と言わんばかりの見下し視線を頂きました。


それにしても……私が婚約者の座を回避している以上、この方が婚約者候補トップなのだけれど婚約が整っていないのよね。だからこのお茶会なのだけれど。やはり前回同様ヴィジェスト殿下はロズベル様にご執心だから婚約が整っていないのかもしれないわねぇ。前回も私が10歳で正式に婚約してから5年も顔合わせが無かったし。本来なら有り得ないものね。……本当に国王陛下も王妃殿下も息子2人に甘かったわね。婚約してから5年も顔合わせが無い上に私が18歳になるまで婚約発表もされなかったのだものねぇ。

ああそうか。

だから前回、この方は夜会でお会いする度に田舎貴族出身の私が学園にも通っていないのに社交場には出てくる事に苛ついていらしたのね……。まぁ当然と言えば当然か。傍目から見れば()()()()()()()()()()()()()殿()()()()()()()()()()と判断するものねぇ。

となれば、侯爵家のご令嬢様がご自分がその可能性が一番高いのに、一向に王家から打診されない。そして身分は下だけど特異な立場の辺境伯令嬢(わたくし)が毎回毎回夜会に出席している。学園にも通っていない私が夜会には出席しているということは婚約者探しと見ておかしくない。そしてヴィジェスト殿下は婚約者が居ない……。

あらまぁ状況だけで見たら婚約者の居ない第二王子の隣を狙うライバル令嬢の出来上がりね……。そりゃあ自分に決まると思っているこの方からすれば私の存在は気に入らないわ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()と思いますわねぇ。王家に忠誠を誓ってないくせに都合良く第二王子妃を狙っている、と思われても仕方ないわ。


……こう考えるとヴィジェスト殿下だけでなく王家そのものがおかしくないかしら?


我が家の忠誠を欲しているはずのくせにヴィジェスト殿下の意向を汲んでギリギリまで婚約発表をしなかったのですから。まぁ私としては大々的に発表されない事が嬉しかったから気にしていなかったのですが。改めて考えると息子可愛さに公人ではなく私人としての利を優先しているようにしか思えませんわ。

前回の私もやけにのんびりしていました事。普通ならば婚約解消をしてもおかしくなかったはずですわ。だって我が家の忠誠を欲していながらヴィジェスト殿下の意向を汲んでいるのですもの。莫迦にされている、と思っても仕方ないですわね。尤もこの場合、私がヴィジェスト殿下に失恋からのヴィジェスト殿下どころか王家にも関心が無くなってしまった私の所為ですものね。政略結婚なんだから……と、これはお父様と辺境伯爵家のため、と勝手に思い込んで思考を放棄していた私の失態ですわ。諸々を諦めたというのも有りますけど。私、結構阿呆でしたわね。

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