2度目。ーーキーマンとなるのは、やはりロズベル様みたいです。・2
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話せる範囲で色々と影に話し、一夜明けた今日。普段通りに授業を終えて午後から課題をこなす前にジュストに声を掛けて教室の隅で伝言について話を始める。こういうのはなるべく人目を避けた方が良いのは分かるけれど、母国語で話せば分からない人も多いから、わざわざひとけのない所を探す必要も無い。
「ねぇジュスト。私は、あなたの友人だと思っているし、ロズベル様探しの相棒でもあるわ。でもね、一応女ではあるわけ。男友達と同じような言動をしてくれるのは気を許している証拠かもしれないけれど、失礼でもあるのよ」
取り敢えず、もしかしたら休日にロズベル様を探そうとしていたかもしれないジュストに、出かける事を話さなかったのは謝ってから、忠告する。
「友人なんだから構わないじゃないか」
「でも、上から目線で許可が無いのに外出するなんて……みたいな事を言われても、その態度は何よってなるじゃない? 婚約者や恋人が出来てもそんな態度を取ると、愛想を尽かされるわよ?」
「忠告は受け入れるが、女性に対してぞんざいな扱いはした事がないから心配無用だ」
ちょっと待て。
という事は何か?
私は女性の括りに入ってない、と?
失礼じゃない?
そう思ったけれど、忠告はしたし、他の女性は大切にするみたいだし、万が一にも私にしたような態度を取ったら、その時は痛い目を見れば良いと思う。我ながら性格悪いけど、私は忠告したのだから構わないでしょ。……と割り切って、この話を終わらせた。
「それで、昨日はどこに」
「それはジュストには関係ないでしょう。私は私で交友があるのだから」
話しても良いとは思ったけれど、どこまで話せるかと言ったらそれは分からない。だからドミーに確認してから話すつもりでいたのだけど。
「なんだよそれ! 友人にも内緒って良からぬ事でも企んでいるんじゃないだろうな!」
えー。なんでそんなことを言われないといけないの? ジュストの中で友人ってなんでもかんでも話さないといけないわけ?
「ジュストにとって私ってそんな事をするような人間に見えるわけ? それこそ失礼じゃない? いくら友人でも言って良い事・悪い事ってあるでしょう?」
私の詰問にジュストは「ぐっ」と言ったきりで謝る気もないらしい。悪い事を言ったとは思うけれど謝りたくないって子どもか!
「お前、まさかアイツに会っていたのか?」
「いくら親しくてもお前なんて言われたくない。アイツって誰よ」
「ケイティ。これで」
ジュストが何か言いかけたけれどそれを遮る。
「やめて! その愛称は誰にも許していないわ。それを呼んで良いのは唯1人だけ!」
私のいつにない強い口調に、ジュストがポカンと口を開けたまま。その理解出来ないという顔に苛立って感情的にならないように、と自分に言い聞かせながら深呼吸する。
「その愛称を呼ぶ事を許しているのは唯1人だけなの。他の人には呼ばれたくないし、呼ばせないわ。それと。確かに昨日彼に会ったけれど、それをジュストに報告する義務は無いわよね。情報交換をしてきたけれど内容は彼に確認してから話すわ。でもそうね。これだけはジュストに先に教えておく。彼は、ドミトラル・レード様はタータント国、国王陛下に命じられて行動しているの」
「国王陛下、に?」
「ええ。だから彼が話していい、と許可を得ない限り話さないわ」
それだけ言って大きく深呼吸して気持ちを切り替える。私とジュストの雰囲気が悪くなった事を悟ったのだろう。アリシャ達が心配そうにこちらを窺っている。それにちょっとだけ困ったように笑って、それから待たせた事を謝った。
「ジュスト。課題をやるからこの話は終わりよ。行きましょう」
冷静に冷静に、と呪文のように自分に言い聞かせてジュストにいつもと変わらない口調を心がけて促す。ジュストも、ハッとした表情をしてから気持ちを切り替えるように頷いて私達は待っていたアリシャ達と一緒に学食へと足を向けて、美味しくご飯を食べながら課題をこなす事にした。
「今回の課題ってどういう風に割り振ってやる方が良いかしら」
私がアリシャを見れば、うーんと首を傾げる。サヴィとベタルターにも視線を向ければベタルターが心得たように頷いた。
「先ずは図書館かな。シオン帝国内の歴史を追いながら国が拡大していく様と、それぞれの土地を見ていけば、帝国の弱い部分は分かると思う。そうすれば……」
さすがベタルター。課題に沿った勉強方法を理解して説明してくれる。これならば、今回の課題も優をもらえるかもしれない。課題は優・良・可・不可の4評価に分かれていて不可は当然やり直し。その上不可が3連続だと成績に響いて進級も出来ない可能性がある。私達のグループは、常にとは言わないけれど、前回の課題とその前の課題は優だった。どんな授業でも課題は出るから、授業によっては可の評価って事もあるけど。幸いな事に、直近の課題は違う授業の物だったけど2つとも優をもらっていた。
今回も取れるといいわ。成績が良いとそれだけ卒業後の進路にも有利になるもの。私は別に構わないけれど、一緒にやっているジュスト・サヴィ・ベタルターには有利な方がいいものね。
今後の執筆状況について活動報告に載せています。宜しければお目を通して頂けますと幸いです。




