表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
成る程。では、お互い不干渉といきましょう。  作者: 夏月 海桜
キーマン探しを開始する魔法学園の留学生活。
268/400

2度目。ーーまさかの事実が判明しまして、驚きの連続です。・10

お読み頂きましてありがとうございます。

「取り敢えずここまでのケイトリンの人生は理解した。それで。気になるのが2度目の今は、ヴィジェストとロズベルが1度目とは全く違う関係性ということ。そして君がこの国に居る理由」


タニアさんの問いに私は先ずヴィジェスト殿下の件から口にした。


「ヴィジェスト殿下の話では、ロズベル様というか、乳母にあたるロズベル様のお母様を早いうちに解雇したようです」


「それはゲームと同じだね。幼い頃にヴィジェストとロズベルは離れ離れになる理由が正しく乳母を辞める事で会わなくなるから」


「ただおかしな事があるんです」


「それは?」


「ヴィジェスト殿下曰く、ロズベル様は何故か4歳年上だった、と。私よりも2歳年上という事ですよね」


おかしな事、と私が口にした途端にタニアさんの表情が真剣に変わる。そして年齢の事を口にすれば、タニアさんとドミーが視線を交わした。


「やはり、か。もしかしてケイティがシオン帝国に来たのは、ヒロインを探すため?」


ドミーは知っていたように、やはり、と頷く。原因を知っているってこと?


「そう。私とジュストはヴィジェスト殿下に言われてロズベル様を探していたの。最初は隣国に居るって聞かされていたから、学園に入る年齢から隣国に留学したのだけど、その頃には居なかったのよね。そして隣国からの情報で、ロズベル様がシオン帝国に居るって聞かされて」


私が肯定すれば、ドミーが嘆息した。……何かしら。


「実は。俺が先輩の意識がある兄さんと共にシオン帝国に居るのが、ヒロイン・ロズベルの情報を受けたからなんだ。というのも。俺が1度目の記憶を取り戻した時、俺は15歳だったんだけど……」


そこからドミーが15歳まで時が戻った後の話を始めた。


「元々、ウチみたいな貧乏男爵家は、次男や三男は10歳を過ぎた頃から将来の事を考えさせられるんだ。兄さんは長兄に何かあった時のスペアみたいな感じで教育を受けていたけど、三男の俺は、跡取り令嬢の所へ婿入りするか、自分で稼ぐか。どちらかしか無くて。俺は子どもの頃から絵を描くのが好きだったし、腕は悪くなかったから、10歳を過ぎた頃から本格的に絵を描く事に打ち込んでた。そうして15歳で画家で生きて行く事を決めた。それが1度目の人生。そしてケイティに会ったわけだ。でも2度目の人生では、15歳でやり直しをしている事に気付いた時、真っ先に、画家にはならない事を決めた」


私は、ドミーのその決意に目を見開いた。


「ケイティを幸せにしたい、と思ったから。画家で生きてはいける。ケイティも養える自信はあった。だけど。それだけじゃ何も変わらない。ケイティがまたヴィジェスト殿下と婚約してしまえば、もしかしたら未来はまたケイティを死なせてしまうかもしれない。そう思えば画家になる事より、ケイティを死なせない未来を模索したかった」


真剣な目をしたドミーの、その話は私の幸せと私が生きられるためには何をすべきか、という気持ちしか無くて。私はこの人に前回の人生でどれだけ傷を負わせてしまったのか、その静かな声音に潜む悲しみと苦しみと怒りを感じ取ってしまっていた。


此処で謝るのは簡単だけど。私が謝ったくらいでドミーの傷ついた心はどうなるものでもない。初めて好きな人を置いていく事の辛さではなく、好きな人に置いていかれた事の辛さを想像してみた。あの時、ヴィジェスト殿下を庇った事は後悔はしない。婚約者として、とか好きだったから、だとか。そういう気持ちは無くて。ただ人間として、臣下として守れた事に悔いは無いけれど。


ドミトラル様に何も言えないまま死んでいく事はとても後悔した。好きだって言えなかった事も後悔した。好きな人と年老いて生きる未来が無い事も後悔した。だけど。何となくドミーの気持ちに気付いていたくせに、私は置いていく事ばかり考えていて。置いていかれたドミーがどんな気持ちになるのか、なんて少しも考えなかった。


ーー今の今まで。


こんなにこの人は傷ついていたんだって、私は今になって気付く。好きで好きで仕方ないとか言ってたくせに。その好きな人の気持ちに全然気付かない私は、子どもなのだ。だから。せめて泣かない。謝らない。痛みに気付いたからこそ、私は謝ってはダメ。


だって謝ったら優しいこの人の事だから「気にしなくていい。大丈夫」と言ってくる。私が気を遣われてどうすると言うのだろう。だから私は謝らない。


「それで。ケイティが10歳の時にヴィジェスト殿下と婚約した、と聞いていたから。一応貴族の端くれだし、王族の婚約くらいは耳にするから。ヴィジェスト殿下の婚約の話には気をつけていた。その間に、俺は何が出来るのか考えていて。そんな時に兄さんに、日本人の先輩の意識が有る事に気付いて。それで色々と話し合ったんだ」


ドミーは私が婚約するのか、しないのか、それによって私に記憶が有るのか無いのか、判断するつもりだった、と続けた。それはきっとドミーにとって長い2年だったはず。でも、私もドミーも関わりが無かったのに急に連絡なんて取れないから、どうしようもない2年だった。

間に合いました。

明日は朝も夜も更新が出来るかどうか分かりません。

更新出来ない場合は活動報告にて連絡します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ