2度目。ーーロズベル様探しは難航中です。・4
いつもお読み頂きまして、ありがとうございます。
まぁ帝都というのは私も分かるんだけど。さてシオン帝国は広い。その中心地である帝都・モリールのみに限定したってかなりのものだ。地図上だけで見れば。実際の広さは分からない。小国一つくらいの広さなのか、その半分くらいの広さなのか。さっぱり不明。そんなわけで先ずは地図を出して(常に持ち歩いてましたよ、場所の把握やロズベル様探しに役立つかと思って)モリールの何処から手を付ければ良いのか、尋ねます。
「この地図だと先ずは何処から手を付ければ良いかしら」
「そうだな。魔法学園を中心として考えたとして。西側は住宅地が多いんだ。それも昔からの家が多い。帝国貴族より古い家も多くて商人や職人が住んでいる、かな」
私の問いかけにベタルターが即座に反応してくれるので助かりました。という事は、西側にロズベル様母子がいる可能性は低そうです。
「そういう考え方で言うなら、この北側だけど。それこそ商人や職人達の店や仕事場が多い。ただモリールで働きたい人達が国内外問わず集まっているから、集合住宅地とも言えるよ」
「それですと、そのロズベル様? でしたか。お母様とご一緒に集合住宅地の一角にお部屋を借りて仕事をされている可能性もありますわね」
サヴィが続けて北側の話をしてくれて、アリシャが可能性を教えてくれる。確かに集合住宅地があるならその可能性も高い。その上仕事場が近いなら尚のこと。
「反対に南側は帝国がまだ帝国になる前の名残で騎士団・兵士団が中心的にある。昔は南側が一番敵に狙われ易かったから。だから騎士と兵士が住んでいるし、その家族もそこに住んでいるな」
サヴィが更なる情報提供をしてくれる。
「最後の東側だけど。帝城が有る事から文官とその家族が多いな。それと皇帝陛下とそのご家族の御身を守るための護衛・近衛とその家族。後は……帝国貴族と一般帝国民。だから商人や職人ではない帝国民が働く……例えば食堂とか例えば手紙の配達等の物流とか、そういった職場がある。もちろんこちらも集合住宅地や普通の住宅地は多いし、貴族街と貴族の屋敷が有るな」
ベタルターが滔々と説明してくれました。という事で範囲がかなり絞り込まれたのではないでしょうか。
「じゃあ北側と東側を中心に探すのが良さそうね」
ジュストに確認すれば、そうだなと頷く。またこの通りにも集合住宅地が少し有るようなので、先ずは其処から探してみることになった。手分けして……と言いたい所だけど、ロズベル様の顔をきちんと知っているのは私で、ジュストは絵姿を見た程度。3人はロズベル様が在籍していた時に学園に居たけれど、関わりは無かったのだから当然顔は分からない。
そんなわけで。5人で聞き込みをしながら探してみる、という方法に落ち着いた。ロズベル様の年齢は2歳上とはいえ、私達と同年代。もし魔法学園の生徒達が利用するこの通りに暮らすとしたら……と考えてみる。知られたくないか、知られても全く気にならないか。ロズベル様はどちらの気性だろう。
まぁ何にせよ、同年代の女性なのだから、好きそうな物は把握出来る、と思う。まかり間違っても縁側で緑茶を片手に梅干しを茶菓子のようには食べないだろう、と思う。全く居ないとは言わないけれど、ロズベル様はそういったタイプには思えなかった。どちらかと言えば甘いケーキに舌鼓を打ちながらお茶を楽しむタイプに思えた。となれば……。
この通りにあるこの店も含めて、普通の令嬢が好きそうな店を中心に探してみることが可能だろう。ロズベル様の言動はちょっと……いや、かなり不思議だが、自らをヒロインと思い込んでいるロズベル様なら、その言動がヒロインのものとして、であるならば、ヒロインとして可愛い物とか女の子らしい店とかに現れる可能性大だと思う。そう考えれば、ゲーム内容は知らなくても同じ日本人の記憶を持つ私ならば、行動を読むのは難しくない。
ロズベル様はお花畑思考の持ち主のようですからね。ゲーム通りの言動を行う可能性は高い。……こうなると、ゲームの内容を知らない事は不利になるでしょうか。となると。
ーー日本人の記憶が有るなら、協力をしてもらいたいものですね、ドミトラル様に。
そんな事を考えていたのが良かったのか悪かったのか。ドミトラル様にあんな形でお会いする事になるなんて、この時の私はこれっぽっちも考えていませんでした。
気付いたら累計400万ビュー突破していました。皆様のおかげです。
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