2度目。ーー男爵家の友人達に会いに行きます。
一昨日がお返しの贈り物決め。昨日はずっとお礼のお手紙を書いていましたわ。こういう時ばかりは淑女教育もお休みさせてもらいます。でも剣を振る事はやめませんが。本日は午前中淑女教育。午後は剣の稽古と所謂肉弾戦に向けた稽古です。その間に男爵家の友人達へ会いに行きます。もちろんプレゼントのお返しです。お茶を飲んで少し話すだけで帰る事になるでしょうが大事な友人ですから少しでも会いたいのです。
長男のバートンは私の2歳上。長女と次女のシュゼットとミュゼットは双子で私の1歳下です。私の兄がバートンの1歳上で姉はバートンと同い年。バートンの婚約者でもあります。お姉様はセイスルート家の生まれながら若干病弱。だから早々にセイスルート家の跡取り候補から外れています。最もお姉様の病気は医師の言う事を聞いていれば通常と変わりません。だからバートンの元に嫁いでも何の問題もないのです。
お兄様の婚約者は別にいますが私の1歳下の弟の婚約者はまだ決まってません。私にも居ないですけど。弟の婚約者はシュゼットかミュゼットのどちらかという事で話し合いがされていますが。
……そういえば何故私だけ婚約者候補すら居ないのでしょう? ヴィジェスト殿下の婚約者に命じられるまで候補すら居なかった事に今更疑問です。まぁその疑問はお父様に直接ぶつけるとして今日も男爵家の双子は元気いっぱいです。
「ケイト」
バートンが男爵家に着くなり2人がかりで飛びかかって来てギュウギュウに抱きしめられている私に微笑みかけます。稽古をしているとはいえまだ8歳の私の力では双子の力には勝てません。……バートン。笑ってないで助けて下さい……。私の必死の視線に気付いたのかシュゼットとミュゼットを窘めるバートンはやっぱりここぞという時は頼りになります。双子の熱烈な歓迎からようやく脱出出来ました。ついでに玄関先からようやく応接間に通してもらえます。毎回の事ですがそっと双子から離れて深呼吸を繰り返しました。
「ケイト。素敵なハンカチをありがとう」
妹2人にするようにバートンは私の頭を撫でます。さすが未来の義兄です。既に私の心を掴んでます。シュゼットとミュゼットは色違いのブローチをとても喜んでくれました。やっぱり色違いにして良かった。こんなに喜んでくれるなら何度も何度も他の商品と見比べて探した甲斐がありました。一番の目的は果たせたので一安心。あとは男爵家の侍女が淹れる紅茶と男爵夫人が作るお菓子を食べながら3人と会話を楽しみます。穏やかなバートンも元気いっぱいの双子も私と同じように戦えるように訓練されています。だからこそこんな穏やかな時間を過ごす事の大切さを知っています。そういう皆と共に居られる今が私はとても大好きです。
お読みいただきありがとうございました。




