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成る程。では、お互い不干渉といきましょう。  作者: 夏月 海桜
3年目の学園生活は留学の留学からスタートです。
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2度目。ーー報告はしてますよ。連絡?相談?ハテ何の事ですか?・2

「ケイト」


「はい」


「お前の頭の中は空っぽなのか? ん?」


……現在、私はお父様に怒られてます。ガチで。いやホント。お父様がお兄様とロイスと共に帰宅したって聞いたから、報告に来たのに。なんで片手で頭を鷲掴みにされているんですか。コレやられてる時点でガチですよ。頭がギシギシギシギシします。って痛い痛い痛い! お父様力込めないでーっ!


「痛いっ!」


「痛くしているんだから痛くなきゃおかしいだろう!」


叫べば怒鳴られた。理不尽。


「なんでですか! っていうかなんでこんなに怒られてるのか分かんないっ!」


「解らねぇなら解るまでヤルゾ、コラ」


どこのチンピラだよっ。アナタ辺境伯でしょーっ!


「離して下さいっ! これでも私、お父様より精神年齢上ですよっ!」


ええ、前世と前回と今回を合わせればお父様より年上ですが何か!


「うるせぇ! お前が何歳になろうが俺の娘なのに代わりがあるかっ! おまけにお前は若い身空で2度も死んでんだろうが! この年まで生きて経験している俺に勝てるか、このバカっ!」


どうしてか、ちょっとお父様の言葉にウルッとした。何歳になろうが俺の娘って言葉が響いたんだと思う。そして、確かに精神年齢はお父様より上だけどそれは数字だけの事で、経験値の差は大きい気がする。悔しい。


「なんだかよく分からないですが、ごめんなさいっ〜」


此処は理由が分からずとも素直に謝っておく方が良い気がして素直に謝ったのに。


「なんだかよく分からないってアホかー!」


……益々怒られた。なんでですか。


「痛い、痛い、痛いってば! 離して下さい、お父様っ」


本気で頭が潰れる! ドミトラル様にお会いする前に死んじゃうから! 死ななくても頭が変形しちゃう気がする!

私の必死の抗議が届いたのかお父様がようやく手を離してくれました。髪の毛スッゴイぐちゃぐちゃ。


「全く、このバカ娘が」


さっきより落ち着いたのか、トーンダウンしてます。


「あの陰険公爵に1人で乗り込みに行くってまた死んだかもしれないだろうがっ」


「死にません! 今度はおばあちゃんになるまで生きてやるって決めてますから」


胸を張って答えたらお父様に拳骨で頭を叩かれた。痛いし知識と教養が飛んでいったらどうしてくれるんですか! 頭をさすってお父様を睨む。


「お前の決意でどうにかなるなら、やり直しになるわけないだろ、このアホ娘」


随分と弱々しい叱り声に私は目を瞬かせる。……もしや、と思う。後悔、しているのだろうか。


「お父様……私、を1度死なせた事を後悔されていらっしゃる?」


答えの代わりに肩が跳ね上がる。私はようやくお父様の怒りの原因を理解した。確かにバカでアホで……愚かな娘である。お父様は……私を、ケイトリンを心配してくれていたのだ。


「ごめんなさい、お父様。無茶……? をして」


「そこでなんで首を傾げる」


「いえ、無茶だと思ってないもので」


「思え、このアホ娘」


「いやだって。ウチの影は優秀ですし、デボラも優秀。私もお父様の娘ですからね。油断しない限りは優秀ですよ」


「自分で言うな。このバカ娘。……だがまぁ確かにお前は優秀だ。それでも万が一という事がある。報告だけでなく、連絡と相談くらいして来い」


「あ! ホウレンソウ!」


「は? なんだそりゃ」


「前世で良く言われていたんですよ。子どもでも大人でも分からない事をそのままにしないで、教わる事の大切さですよね。報告・連絡・相談でホウレンソウ!」


言った途端にまたギシギシギシギシ頭を掴まれました。


「おーまーえーはーっ。知っていたならきちんとせんか!」


「痛いですってば! 報告はしてるじゃないですか!」


「もっと早くに連絡寄越して相談して来いって言うんだ、このバカ!」


「無理です!」


私が速攻で拒否したらお父様の力が弱まったのでその隙に逃げました。


「何故」


「お父様に相談するのが嫌なのではなくて。単に時間的な問題です。お父様に連絡して報告して相談していたら助かる命が助からないかもしれない。そんなの無理です」


キッパリ言えばお父様が溜め息をついた後で「せめて定期的に報告をして来い」と溢しました。


「分かりました」


お父様が心配した事が解っているので殊勝に答えました。私が毒を飲んだ事を報告したから、でしょう。私は思った以上にお父様に愛されていたようです。

なんて言いますか、心の何処かでお母様がアレだし、そんなお母様が大好きなお父様なので、お母様にあまり愛されていない私だからお父様もそんなに私を愛していないって思い込んでいたんですよね。


そんなわけがないのに。

お父様は1度目のケイトリンの人生の時に、私の気が乗らなければ……と考えて、ヴィジェスト殿下との縁談を断ってくれていたわけです。それは、私の気持ちを尊重してくれているということで、それは充分私が愛されている事の証明だったわけです。


ようやく今になってお父様の気持ちを少し考える事が出来ました。親の心子知らずって言葉を向こうで諺を学んだ時に知りましたけど、今正にこの状態ですよね。

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