2度目。ーー蜥蜴の尻尾切りなんて、させない。・4
大変遅くなりました。
お待たせしていましたらすみません。
色々いろいろありまして……執筆出来る状態ではなかったもので。
「お嬢。此処は任せて先に行ってくれませんかね」
「知ってる? そういうの、残った者はやられちゃうのよ」
「お嬢、ここはカッコつけている俺を立てて任せたわ! という所でしょ」
ガリアが苦笑するので「任せたわ」と棒読みで言ってやる。「もっと感情を込めて下さいよ!」と言いながらガリアは先へ行くように促すから、私も相手を倒しながら邸の中に入っていく。これだけ私兵がいるということは、今日はここにコッネリ公爵がいるのかしら。さすが公爵邸と言うべきかしら。中に入っても広い。
前世で学校に通っていた時は小学生が3人横に並んでも廊下の横は余裕があったけれど、それくらいの広さの廊下を歩きながら私兵に会うたび眠りの世界へと旅立ってもらっている。のんびり歩くわけにはいかないので、走りながら奥へ進む。貴族の邸内の見取り図なんて大まかなものに違いはない。だからいると思われる執務室の位置もおおよそは見当がつく。
「この邸にコッネリ公爵だけでなく、ラスピリア様とプライアリ様も居てくださるのが、ベストなんですけどね」
呟きながらそこに辿り着いて思い切りドアを開け放った。
「騒々しいとは思っていたが……随分と大きな鼠がうろついていたな」
コッネリ公爵が執務机の向こうから私を見据えるように対峙していた。
「失礼。大切な物を取り返しに来たのですがご存知ありませんか」
私が鼠扱いされていることには気付いたけれど敢えて素知らぬふりをして尋ねてみた。
「大切な物。私は手元においておくもの、だと思っているから奪われることなど有りはしないな」
「つまりご存知ない、のですね」
私が確認をすればコッネリ公爵は笑みを深くしただけだった。こういう時って大抵自分は知らないと言い張るわよね。でもコッネリ公爵邸内に招いてもいない者が長居をするわけがない。家探しはアレジに任せて折角会えたのだから少しお喋りをさせてもらいましょうか。
「コッネリ公爵。少しお喋りしませんか」
「招いてもいないのに勝手に上がり込んできてお喋り、だと? ふん。あの男そっくりだな。さすが空気の読めない具合は、親子だな」
「あら。お父様と親子である評価を頂いて嬉しいですわ」
うふふと笑えばコッネリ公爵は鼻を鳴らした。それから私に気付かれないような然りげ無さで卓上のベルを鳴らす。それには気付いていたから何も言わず、行動せずに黙って待っていた。音と共に現れたのは執事。
「茶を」
コッネリ公爵の一言に頭を下げた執事はサッと準備をして戻ってきた。優秀さが垣間見える執事のサーブで私は爽やかな茶葉の香りを楽しみながら一口呑み込む。喉もスッと通っていく茶の爽やかさに口を綻ばせた。
「コッネリ公爵家で出されるこの茶は美味しいですわ。どなたがお選びになりましたの」
「僭越ながらお答え致します。私が直に赴いて茶葉を作る農家と契約しました」
執事が私の問いに答えてくれる。どうやらこの執事と私は茶の好みが合うようで、ちょっと嬉しくなった。
「後で生産者の方を教えて下さる? 私も欲しいですわ」
「かしこまりました」
そうして一頻りお茶を楽しんだところで、コッネリ公爵が口を開いた。
いつもお読み頂きまして、ありがとうございます。
それと
アンケートご協力をありがとうございました。予定通り本日終了させて頂きます。




