2度目。ーー婚約者候補者達とのバトルII・13(ドナンテル&ノクシオ編)
本日2回目の更新です。
さて。ナイゼルヌ侯爵令嬢は退出。次に仕掛けて来るのは誰かしら、ね。本命はまだ動かないかしら。コッネリ公爵の“娘”。私ではなくて殿下方に直接アピールしているのかしら。それならそれで私は楽ですけどね。私は、ね。殿下方は苦労するでしょうねぇ。父親から猛プッシュされているだろうから形振り構っていられないかもしれないし。
「失礼致します。隣国のセイスルート辺境伯令嬢様でいらっしゃいます?」
私に話しかけて来たのは、嫋やかな外見の一目で高位貴族のご令嬢と解るお方です。これはもしやビンゴ、かしら?
「はい。ケイトリン・セイスルートと申しますわ。こちらの国に留学させて頂いておりますわ」
私が穏やかに返答すれば、然もあらん。とばかりに頷いた彼女は、自己紹介をしてくれる。
「私、コッネリ公爵家が5女・プライアリと申します」
ビンゴ!!!
待ち人来たる! ですわ!
私はその名を耳にして直ぐにラスピリア様と殿下方と交わした合図を出します。扇子を閉じて扇子の先を顎に付けて3回顎を叩くというもの。私の行動に注視しているはずですから、気付いてくれる……はずですけど、そういえば殿下方は周辺国の王女殿下方と交流を深めておいででしたわね。私の合図に気づくかしら。
それにしても。黙っていれば判らなかったのに、自ら5女だと告げたので少なくても4人姉がいるということです。まぁコッネリ公爵の手駒になるより先に不要になった人もいらっしゃいますけどね。このプライアリ様は、どこまでコッネリ公爵の手駒に向いていらっしゃるのでしょうね。
「お初にお目にかかります。コッネリ公爵令嬢様」
「そんな堅苦しい挨拶はしなくて結構よ。あなたと是非話したいと思っておりましたの」
是非、ですか。まぁ私も話すのは望んでいましたから渡りに船ですが。
「そうでしたか。どのようなお話ですの?」
ニコリ笑って話を促せば、そっと近づいて来たプライアリ様は扇子を耳元に持って来た。……内緒話? 初めて会ったのに?
「セイスルート様。あなた様は父・コッネリ公爵の味方ですの? それとも敵ですの?」
……仮にもコッネリ公爵がこれぞ、と認めたはずの令嬢だ。こんな直球な物言いをしてくるとは思ってなかった。一体何が目的なのか警戒心を強めながら、さて、なんて答えよう? と頭を回転させる。
「味方になります。……と言ったら喜んで下さいますの?」
考えても無駄か、と反応を見るために返答する。彼女は殺気を交えた視線で、何事もなく話し続ける。
えー。本当にこの人がコッネリ公爵ご自慢の令嬢なの? こんなに態度が雄弁なのに? 何か得体の知れない人というのが、コッネリ公爵だと言うのに。そのご自慢の令嬢様なら、もっと海千山千ではないの? こんな人を相手にするって……私、ラスピリア様、殿下方の警戒心高めの気合を返して欲しいですわね……。
明日からは通常の7時更新に戻る予定です。




