2度目。ーー婚約者候補者達とのバトルII・3(ドナンテル&ノクシオ編)
遅くなりました。
「……というところかな」
先ずは、とラスピリア様から情報を得るために水を向けてみたのだけど。
「ドナンテル殿下、ノクシオ殿下大丈夫ですか?」
彼女が知り得る情報をぶちまけてもらったところ、殿下2人が撃沈してます。それはもう真っ青な顔で。こんな顔にさせるつもりじゃなかったけど仕方ない。話がこうだったとしか言いようが無いのだから。
それにしてもコッネリ公爵……ドナンテル殿下を国王に据えて自分は背後から操るのかなぁって思ってたら……まさかの王家簒奪だった。そっちか! そっちだったか! というのが正直な気持ち。いやだって、去年まで殿下方が軟禁生活を送っていたのは、てっきりどちらかの殿下方……私はドナンテル殿下だと思ってましたけど……を操り人形にするんだろうなって思っていたものですからね。それがまさかの国主簒奪の方……。いやぁ、予想を上回りましたよ。ちょっと私も驚きました。
去年ドナンテル殿下が病気により1年遅れて入学という表向きの理由も、私はドナンテル殿下を操り人形にする前振りかと思っていたんですけどね。実際、入学直後に殿下方に挨拶をした時、ドナンテル殿下はコッネリ公爵から強要されて病気の後遺症で上手く声が出ない、という設定で何日かは過ごしていたわけですし。それが。ラスピリア様曰く簒奪の方だった、と。
驚くなという方が無理ですよねー。
それにしても直ぐに動かないのは何故なのか。殿下方を軟禁していたのは何故なのか。目的が国主簒奪であった事にショックを受けているのか、殿下方は未だに撃沈したままですけど。
「ラスピリア様」
「なんですか」
「コッネリ公爵が行動していない理由はなんです?」
「現国王陛下の存在でしょうね」
「「父上?」」
ラスピリア様の即答に殿下方が声を上げる。意外そうな声音に、殿下方から見た国王陛下の姿が透けて見えるようだ。コッネリ公爵に警戒されるような態度を取られる程、強い立場なのか? という疑問が声に乗ってます。そういえば、現国王陛下はお父様と親しくしていらっしゃる方。お父様は直情型ですが、理不尽な事は嫌いですが、同じくらい卑屈な方も嫌いです。
国王陛下がコッネリ公爵に対して卑屈な方でしたら、お父様と親しくはなれなかったはず。という事は……もしかしたら国王陛下はコッネリ公爵の暴走をギリギリで止めるくらいの権力は保持されていらっしゃるのかもしれません。コッネリ公爵の方が優勢ながら、何とか食い止めているのだとしたら。
コッネリ公爵にとって国王陛下は目の上のたんこぶ。かなり邪魔な存在でしょう。おそらく暗殺者を送り込んでいるはず。多分食事も毒薬が混ざったようなものではないでしょうか。毒に耐性があるのかどうかは分かりませんが、国王陛下は常に自分の命が晒されていることを理解していらっしゃるはず。それでも国王陛下が崩御された、という話は一切耳にしない。隠している云々ではなく、ウチの影達からそのような話は聞いていないということ。
ならば、常に命の危険に晒されながら生きる事を放棄しない国王陛下は、相当意志の強いお方と見受ける。そうであるなら、コッネリ公爵も迂闊に動けない、ということか。それならば殿下方を軟禁生活に送り込んだ理由は解る。
殿下方を傀儡にするためじゃない。
国王陛下の油断を誘うためか、殿下方を暗殺するために監視下に置いていたか。何はともあれ、殿下方も気付いたらしい。ご自分達が傀儡になる予定だったどころか、暗殺される危険性がある毎日を送っていたことを。
2人の顔が怒りで赤く染まっています。それも少しの間のこと。落ち着いたと思ったら、コッネリ公爵を陥れる楽しみを思い出したのか、2人仲良くニヤリと笑い顔でした。
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