2度目。ーー婚約者候補者達とのバトルII・2(ドナンテル&ノクシオ編)
「セイスルート嬢。もし、嫌で無ければこの課題、私と連名にしませんか」
夏の自由研究的な感じで共同で課題を解決するのもこちらの世界では有り。そんなわけで私はオッケーを出した。ボレノー様なら資料をひっくり返して過去の状況から未来を推察することも巧いので、この改善点に対する裏付け的なものを考えてくださるだろう。
要するに私が立てた予想に、実験して得た結果から考察までを担当してくれるってわけである。……私、楽じゃない? あら助かるわ。持つべきものは優秀な頭脳を持つ仲間ってやつね! そんなわけで、殿下方とラスピリア様がお見えになった事もあり、課題は此処までにして後程、とボレノー様と約束した。
「さて。それでは我々の共通する問題について情報交換と今後の方針を決めましょうか」
私が皆を会わせた手前、進行役を務める事にする。
「その前に、宜しいかな」
ラスピリア様が手を挙げて発言の許可を求めて来たので頷けば、彼女は率直に謝罪を申し入れてきた。かのご令嬢方を使って私に近づいた件を、殿下方の前で謝る事にしたらしい。……上手いわね。これで私は、謝罪を受け入れなくてはいけなくなった。殿下方の前だもの。その程度のことで謝罪も受け入れられない度量の狭い人間だ、と思われるわけにはいかない。
いや別に思われてもいいんだけど。私が国を代表する留学生だからね。謝罪を受け入れないとタータント国が度量の狭い者がいる国と見られてしまう。そういうわけにはいかないのだ。そして殿下方の前で謝る事でこれ以上、この件に口出しさせない、という現れだろう。この件で取引的な事はしない、させないと言っている。……面倒くさいわね。まぁいいけど。そんなわけで笑顔で謝罪を受け入れて、今後一切この件について口に出さない、と確約しておいた。
ちなみに縦ロールご令嬢始めとした令嬢方には、既に謝罪されていて受け入れている。彼女達に対しても今後はこの件について口には出さないと確約している。偏に面倒だっから、としか言えない。私は平穏に学園生活を送りたいだけである。そのために排除すべき存在は排除するけれど、排除しなくていいなら騒ぐ必要も無いので平穏な学園生活を送るために、不問にした。
さて、これで憂いなくコッネリ公爵について、そしてロズベル様について、話し合う事は出来ますかしら。そろそろ私自身も、私が殺される悪夢から抜け出したいわ。それは、コッネリ公爵が失脚することで溜飲が下がると思う。そうなればあの悪夢からも逃れられる気がするのよ。……まぁ気がするだけで実際のところは分からないけれど。
でも。
過去に囚われるのはやめたい。
私は改めてケイトリン・セイスルートの人生を歩んでいるのだから。さぁ覚悟してもらうわよ、コッネリ公爵。
首を洗って待ってらっしゃい。




