2度目。ーーはて、反省とはなんでしょう?
そんなこんなで、無事にアウドラ男爵家の罪を暴く作業は終わりました。お父様が冷静になってくれたので、罰はアウドラ男爵夫妻はセイスルート家の監視付きで男爵家を変わらずに営むこと。シュゼットとミュゼットは、ロイスの婚約者候補者から外れました。おそらく爵位が同等か下位……若しくは辺境領の領民に嫁ぐ事でしょう。そしてバートンは、アウドラ男爵家の嫡男のままです。それでおしまい。
ーーとは、もちろん行かないです。アウドラ男爵夫妻の監視とは、ガチで監視ですよ。ウチの影が5人程付きますからね、2人に。影には殺さなければ何をしても良い、と言って有りますので、夫妻が何か企んだ時点で報復を受ける事でしょう、それなりに。夫妻が監視付きという事を忘れなければ良いですよね。
双子はもうロイスの婚約者候補者から外れた時点で、直接的にセイスルート家には関わる機会は無いですからね。間接的にはあるだろうけど。そこまでは制限しません。だってお姉様程ではなくても、やっぱり甘やかされて育ったので、何をしようにもたかが知れるもので。
バートンは変わらず嫡男のまま、ということをお父様やお兄様が仰った時、バートンは変な目をしていましたね。何故生かす⁉︎ と。しかも嫡男……つまり跡取りのままだしね。不思議だよね。でも、そんな事もないんだよ? だってバートンを生かすのは男爵領の領民のためだし。領民の良き領主になる事を信じて……とかではなく。要するに次代を作る事が、バートンに与えられた罰。
アウドラ男爵領。元々セイスルート家の領地から分け与えられただけだから、お父様が潰しちゃって全て世は事もなし。っていう感じなことをやらかす前に、バートンに男爵家を守ってもらわなくては。いきなりアウドラ男爵領が無くなって領主も変わった。これはどういう事だ⁉︎ という領民の不安を煽らないように“アウドラ男爵家”を存続させる意味がある。だからバートンには次代……バートンの次の代の血筋を残してもらう必要があるのです。
……王家に忠誠を誓っていたのが、こんな弊害を生んでいるんですよね。誓っていなければ、ウチの法だけで裁かれましたが。誓っているから、幽閉も同然で跡取りを誰とも知れない女性との間に子を作らされる罰をお父様から与えられたんです。バートンにとってはどちらが良いのでしょうね。
取り敢えず、全てが終わって、後はお父様が頑張って後始末を付けるだけ……という状況の現在は、あの日から3日が経っております。ようやく私は、長期休暇を満喫中。あと1ヶ月弱、のんびりしたいと思っています。
もう一度言います。のんびりしたいと思っています。
……それなのに、何故自室でお姉様をお迎えしているんでしょうね、私。
いえ、部屋の扉をノックされたので返答しても、その後が続かないため仕方なく、ドアを開けたんです。開けたらそこに、お姉様が立っていたってだけなんですけどね。俯いたままのお姉様に「なんですか」と尋ねても返答がなくて、仕方なく部屋へ招き入れたんですけどね。
そこからちっとも言葉を発しないんです。なんなんでしょうね。
「は」
あ、ようやく喋った。というか、は? ってなんです。
「反省してあげているわ! だからバートンを何とかして頂戴!」
反省してあげているって上から目線ってなんなんですかね。それ反省と言います? それにバートンの処罰はお父様が決めた事ですから、お父様に直談判して下さいな。
「お父様に直接言って下さいませ」
「なっ! 姉である私が頼ってあげているんだから協力するべきでしょ!」
「無理です。お父様にどうぞ」
お姉様を追い出したら、ドアの向こうで何やら喚いてますが、無視です、無視。反省しているんじゃなかったんですかね? はて、反省とはなんでしょう? お姉様、意味を理解してから使って下さい。




