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成る程。では、お互い不干渉といきましょう。  作者: 夏月 海桜
学園生活2年目は婚約者候補者とのガチバトル⁉︎
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2度目。ーー私が(忙しくて)忘れた頃に姉は(トラブルを持ち込もうと)やって来る。

エルネン伯爵の一件は終わったし、隣国との小競り合いも回避出来た。ナイゼルヌ侯爵令嬢もエルネン伯爵令嬢の一件で煽りを受けて少し穏和しくなるらしい。なんで煽りを受けたのか情報を集めたら、ナイゼルヌ侯爵の派閥にエルネン伯爵は名を連ねていたみたい。そりゃあ煽りを喰らうわね。えっと。でもエルネン伯爵令嬢は知らなかったのかしら? ナイゼルヌ侯爵令嬢の肩を持つ態度では無かったし、なんだったら私どころかナイゼルヌ侯爵令嬢も蹴落として自分がヴィジェスト殿下の婚約者の座を獲得しようと動いていたわよね?


ーーまぁ、いっか。考えても無駄だわ。この先エルネン伯爵令嬢に会う事は無いでしょうし、ナイゼルヌ侯爵令嬢が幾らか穏和しくなるなら、私から向こうを刺激することも無いわよね。


そんなわけで。私は別邸に1泊した後、辺境領へと帰りました。正直、あのお茶会の出来事が濃厚でたった数時間の事とは思えなかったので、辺境領に帰って来られたと思ったら、安堵のため息をつきました。ええ、つきましたとも。でもそれは、こんな出迎えを受けるつもりで憂鬱から来ていたのでは有りません。安堵のため息だったわけです。


なのに。何故ですか……。何故家に帰るなりお怒りモードのお姉様と顔を突き合わせなくてはならないのですか……。えっ、ご令嬢方との言葉(嫌味)の応酬でささくれ立った私の気持ちを労わるどころか、ささくれ範囲を広げてくる相手を出迎えに寄越すって、私はセイスルート家の家族や使用人達から嫌われているんですかね?


「お帰りなさいませ、ケイトリンお嬢様」


一瞬ささくれ度合いが増した私でしたが、お姉様が口を開くより先に執事がやや大きな声で私を出迎えてくれた。急ぎ足だった所を見れば、用事を片付け次第来てくれたのでしょう。ちなみにお姉様は執事を睨み付けています。……お姉様、最近そんな態度ばかりなので、“病弱な”キャスベル様、とか“お可哀想な”キャスベル様。という印象が使用人達から取っ払われているってご存知ですかー?


「ただいま帰りました。お姉様、お出迎えありがとうございます。お父様は?」


一応お姉様に挨拶と礼を述べてから、執事にお父様の事を尋ねます。お姉様は、出鼻を挫かれた上に私に先に口を開かれてしまったから、言葉を失ったようです。よし、今の隙にお姉様を避けよう、と思ったのですが……やはり、そうは問屋が卸さない。とばかりに、お姉様が私の前に立って足を止めさせました。所謂通せんぼ状態ですね分かります。


「ケイトリン! あなたバートンに何を言ったのよ!」


「は?」


藪から棒になんでしょうか? 私はこの長期休暇中に、バートンには会っていませんが?


「は? じゃない! バートンが婚約解消を申し入れて来たのよ!」


「えっ? 婚約解消⁉︎」


前回より予定が早くないですか⁉︎ 驚いて執事を見れば頷かれました。えええ! 本当なんですか……。理由は?


「何を驚いたフリをしているのよ! そんなフリをしたって私にはお見通しよ! ケイトリンがバートンに何か言ったに違いないわ!」


「ええと。私は長期休暇中にバートンとは会っていません。それでどうして私がバートンに何か言った、と?」


「嘘付かないで! バートンが『勉強がこんなに出来ないのでは、伯爵令嬢としても信じられないけれど、男爵夫人として私の隣に立つ事も難しい』って言って来たのよ! 私が勉強出来ないのは、病弱だったから当然なのに、なんで今更言って来たのか、と思ったわ! バートンまでお父様やお母様みたいに勉強なんて口にしてくるのは、ケイトリンが何か言ったに違いないのよ!」


こういうの、開いた口が塞がらないって言うんでしょうね。前世の諺を実体験中の私です。……いや、現実逃避している場合じゃなかった。バートンの婚約解消理由は、まぁ理解出来なくない。解消の申し入れだけなのか、それともお父様と話し合って解消済みなのかは分からないけれど。


まぁ理解出来てもお父様も簡単に婚約解消を受け入れられないだろうから、猶予があると思って、お姉様が勉強をすれば良いのにね。そんな考えには至らないで、私を貶める方に考えが至った、と。……なんでよ。その曲がった思考に至るお姉様が、本気で私は理解出来ません。

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