表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
成る程。では、お互い不干渉といきましょう。  作者: 夏月 海桜
学園生活2年目は婚約者候補者とのガチバトル⁉︎
120/400

2度目。ーー婚約者候補者達とのバトル・14(ヴィジェスト編)

それにしても、彼女は本当におかしな事を言った自覚が無いのかしら。兄が姉の言動に手を焼いている事を兄か兄に近しい人から聞いて知っていたから、侯爵令嬢さんの話を否定したのに。噂なんて曖昧なものではないから、否定したはずだろうに。


そしてそれ以上に。先程の私の発言に対して「論点をズラした」と考えることがおかしいと解っていないのかしら。侯爵令嬢さんは、私に「殿下の存在を忘れていた人」と言った。だから私は「殿下の存在を忘れるなんて恐れ多い。殿下に見惚れて言葉が出なかったんですよ」と答えた。このやり取りのどこに論点がズレている、と判断したのだろう。


もしかしてエルネン伯爵令嬢にも前回の記憶がある? とも思いましたが……それは無いと否定しました。だって、私がヴィジェスト殿下の婚約者()()()()という大きな食い違いに何も言わないのですもの。前回の記憶があるならば、一番に気付く点です。ーー特にヴィジェスト殿下が好きで、私を蹴落とそうとしていたのであれば。


リューネ・ナイゼルヌ侯爵令嬢。

マコッテ・エルネン伯爵令嬢。


前回のケイトリンの人生で私を蹴落とそうと一番躍起になっていた2人。ただ、ナイゼルヌ侯爵令嬢の方は、自分の方が身分は上で、私に劣る事なんて何一つない、と自負していたからか、私に対して嫌味は言うけれど陰でコソコソと足を引っ張るような真似はしなかった。堂々と私を否定していた、ある意味貴族令嬢にしては裏表の無い素直な性格の人だった。今回も少し話をしただけで、裏でアレコレと画策出来ない素直な性格だと解った。


問題は、エルネン伯爵令嬢の方。彼女こそ、前回のケイトリンの人生でこの年……14歳を迎える今年に、我がセイスルート家と隣国に小競り合いを()()()()()張本人。正確に言えば、ご自身の父を唆して隣国を挑発したお方。

法の番人とまで言われたエルネン伯爵を唆すのだから、相当頭が回ると踏んでいる。それもエルネン伯爵の正義感を煽ってのやり方なのだから、本当に腹が立つ程賢い女性だ。


彼女が名乗ったことで前回のケイトリンの人生の一部を思い出した。私のお父様からの手紙の一つ。忘れていたことを悔やむ程。ずっと隣国との小競り合いが有った原因は判らずじまいだと思ってた。実際、私が覚えていた記憶では小競り合いが起こった事と速やかに終結した報告の手紙しか書かれてなかった。でも本当はそうではなかった。


前もって私は暗号の解き方をお父様から教わっていた。我が家に有る本ならば城にも有る。という事で、手紙を持って来るのはクルス。だからクルスから、どの本が対応するのか聞かされた上で、1・5・13と数字だけ教わった。これはまぁ、こっちの世界にもこういう暗号のやり取りが有るのね、と感心したのだけど。1枚目の右から5番目の上から13番目の文字……という風に該当させる。そうして本当の情報を仕入れるわけ。


そうして仕入れた情報を、私はエルネン伯爵令嬢が名乗ったことで思い出した。お父様からの情報に「マコッテ・エルネンという伯爵令嬢が今回の真の首謀者」と有った。まぁやっぱり詳しい事は分かりませんでしたが、それでもこの記憶を思い出したので、お父様とイルヴィル様に伝えたかったのです。特にイルヴィル様の事ですから、即刻エルネン伯爵を警戒して探り始めている事でしょう。


さて。反撃開始といきましょうかしら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ