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読んでいただきありがとうございます。平日は仕事が忙しく、中々更新がままならないので。休みのうちはできる限り更新をします。文字数は、少ないかもですが……

「俺に面会を求めてる人がいるって?」


 一人の騎士から告げられた言葉は、陽が地平線の彼方に沈みかけ、街や平原に黄昏の絨毯が敷かれている頃だった。


 騎士の顔色を見ても焦っている様子は無いし、東の領地や西の領地を監視しているジャンヌの注意もなかった為、リガルは別段焦った様子を浮かべることなく、騎士にそう訊ねた。


「はい」


「どんな人相をしてる?」


「人柄は、良さそうですね。どう見ても悪人には見えません」


「そうか。なら書斎に連れてきてくれ」


「それが……」と、騎士は声をどもらせ、視線を逸らす。それを見たリガルは、違和感を覚え、小首を傾げた。


「何か言い難い理由でもあるのか?」


「はい。実は──“僕は、リガルの友達で、だから、一対一で話したい”と申しておりまして」


「友達?」


 今のリガルに友達・仲間と呼べるものは限りなく少ない。ましてや、面会を求めるにあたって、そんな下らない嘘をつく人物が居るのだろうか。確かに、住民をグローリーに移住させている最中さなか、貴族達が何人も抗議に来たりはしていた。だが、嘘をついてまで予定を狂わせるような人物は、誰一人としていない。


 そこら辺の筋道は、しっかりとしていた。ならば、貴族ではないのだろう。顰めた眉は戻らず、顎先に指を添えてリガルは口を開く。


「名乗りは挙げていたか?」


「はい。ですが、聞いた事がない名前でした」


 ──と、なればなの知れた貴族ではないのだろう。無名である街人を装い、友を騙るのにメリットはない。ならば、本当に友と呼ぶに足る存在なのだろうか。


「名を──ヤナク」


 その言葉に。名に。リガルの瞳孔は開き口は情けなくもポカリと空いた。


「ヤナク……だって?」


 身震いを禁じ得ず、動悸は速まる。これが、喜びからくる興奮でない事は、リガル自身がすぐに理解ができた。今脳裏を駆け回っているのは、不安要素ばかりだからだ。


「大丈夫ですか?」


 騎士の声に意識を手繰り寄せられ、暫くの間、意識が上の空だった事に気がつく。リガルは乾いた口を唾液で湿らせ、生唾を呑み込んだ。


「すまない。で、ヤナクはなんて言っていた?」


 ジャンヌやラウンズ達に相談するのも一つの手ではあるだろう。しかし、彼等も彼等で役目を果たしている。私情で無駄な迷惑をかける訳にはいかない。


 自分一人で解決できるのなら、一人でこなさなくては、皆の先頭に立つことすら覚束おぼつかないだろう。


 握り拳を作り、会うことをリガルは決意した。


「中央領地にある“アクロの丘で待っていると」


「アクロの丘──か」


 神が身を休めたとされる、神聖な丘。そこでの争いは赦されず。皆がそれだけは守ってきたとの事だ。この事から鑑みるに、敵意がないことを示しているのだろう。


 優しく気の利くヤナクらしい。と、リガルは思っていた。


「護衛はつけますか?」


「いや。ヤナクは、一人なのだろ?」


「ええ」


「なら、俺も一人で行こう」


「ですが」


「大丈夫だよ。もしもの事があったのなら俺は殺ろ──倒して戻ってくる」


 騎士のひんやりとした鎧に手のひらを添えて、リガルは真剣な眼差しを送った。


「分かりました……ですが、あまり遅くにはなりませぬようにお願いします」


「ありがとう。善処するさ。じゃあ、行ってくる」


 書斎にある窓を開け放し、自身に浮遊魔法ヴィチローク加速魔法アクセレレイションを付与し空へと飛ぶ。


 きっと、ジャンヌが危険視してなかったのは単に情報がなかったからだろう。恐るるに足らないのではなく。


「ヤナク。今更、なんでお前が俺に──」

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