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困難

気がつけばブクマが450を超えました。最新話まで読んでくれている方、本当にありがとうございます!

 そこからというもの、リガルは数時間に渡り国の情勢や実現させる国政の話を包み隠さず民衆に打ち解けた。


 王都アヴァロンでの貧富の差や。秘密を知ったものを容赦なく処刑している実態。体験者であるヒュンズの話を含め、語り続けた。聞かせ続けた。


 魔族──即ち、魔石の本質もまた説明をしたのは、害のない魔族(てんせいしゃ)と帝国の民は、より密接な関係になる事を踏まえた故の言動。


 最初は困惑を浮かべていた民衆も、彼等魔族が街の復旧に携わっていたり、孤児の面倒を見ていた事を知っていた為か、渋々ではあるが納得した様子を浮かべていた。


「とは言え──この先の事はどう考えているんだ?」と、ミネルバが切り出したのは、長きに渡り行った演説が終わりを迎え。そこから、一時間余りが過ぎた頃だった。


 茜色に染った陽射しが窓から入り込む此処は、元イグムット邸である。簡易な修繕しゅうぜんをし、会議の場、及びリガルたちの宿泊場所として今は使っているのだ。


 会議室には一切余分な物がなく、円卓と椅子のみが設けられており──ここに座るのは、リガル・ミネルバ・ジャンヌ・ラウンズ・アディル・イザク・ガラック──計七名だ。本来ならば、騎士団の詰所で行いたいが、今は家が崩れてしまっているもの達や奴隷達の避難所として使われている(イグムット邸を避難所として使わないのは、配慮しての事)。


「そうね……」と、机に肘をついて手に顎を乗せたジャンヌは、ボソッと口走る。


 いつになく悩んでいる様子の彼女を見て、リガルは息を呑んだ。今思えば、ジャンヌという秀才──いや、天才の采配があったからこその勝利と言っても過言ではない。


 その天才がここまで、異物を口に含んだような歯切れの悪い声を漏らすのだ。ミネルバ達はそうでなくとも、リガル達にとっては、変な緊張感が這いずっていたに違いない。


 数秒か、数分か──紙が風に靡かれる音のみが自己主張を怠らない空間で、椅子を引く音が擬音を立てた。


「ちょっといいかの??」


 椅子を引き立ったのは、ガラックだ。彼は長く伸びた顎髭を掌で包むように撫で付けながら──


「儂らと同じ異形の者を相手にするのに、騎士じゃあ手が余りすぎるのじゃろ?」


「そうですね。確かに、言い方は悪いかもしれませんが」


 座っているイザクが申し訳なさそうな様子で口を開くと、ミネルバは穏やかな表情で首を左右に振るった。


「構わない。お前達の主観で話してくれ」


「では──まず、リガルの固有付与魔法・限界突破レボルシオンについて説明を始めましょう」


 イザクの目線に気がついたリガルは、頷いて立ち上がった。


「俺の固有魔法は、対象者が生涯で得られる能力の数倍を永続的に付与し続けるという能力がある」


「なるほど。どうりで、イザク殿達は人でありながら、人ならざる力を所持していたのか」


「ええ」


「なら、その力を全騎士に──」


 アディルが自信に充ちた声音を発したのと同時に、ミネルバが「いや」と口走る。


「それははっきりいって難しい。そうだろ?リガル」


「正直、自分の限界が分からない以上は難しいですね」


「今更敬語はよしてくれ。我等は同胞であり対等だ」


「すみません。では、話を続けま……続ける。確かに俺自身にも限界突破レボルシオンは発動している。けれど不死身でもなければ無敵でもない」


「と、言うと? 何が言いたいんじゃ?」


「怪我はするし、腕が切り落とされたらくっつくのに時間はかかる。結局、人の身なんだ。限界を超えた力を使えば、どうなるか」


「オーバーマジックか」


「その通りだよ。ミネルバさん」


「確かにオーバーマジックになりゃ、どうなるか分かったもんじゃあない」


 ──オーバーマジック。


 魔力を自分の限界を超えてもなお使うと起こる現象だ。だが、人には抑制する本能があり、起こる前に立ちくらみや貧血に似た症状が起こる。


 だが──


「俺の限界突破レボルシオンは、一体どれぐらいの魔力が消費されるか分からない」


「なるほど。つまり、リガルのキャパが一〇〇だとして一回の限界突破レボルシオンが六〇。残り四〇では、抑制は働かない。だが二回目発動した時、一気にキャパが限界に到達し……」


「はい。オーバーマジックが起こる」


「それだけは、避けなくてはならないんですよ」と、イザクが間に入る。


「そうだな。オーバーマジックになってしまえば回復に時間がかかる。床に伏せているのが、皇帝となれば格好の餌食だ」


「なら、どうするんだ?」


 アディルの問にイザクは、間髪入れず口を開いた。


「西には怪物となる種はない。と、なれば限界突破したもの達、数十名と騎士を連れて行けばなんとかなります。何せ我らには最高の軍師がいるのだから」


「そんな褒めそやさないでちょうだいな。でも──まあ、そうね。西を落とすのは容易いわ。それよりも危惧しているのは」


「東かのう?」


「ええ。ガラ爺、そうよ。あそこに今居るのは、現時点で最も避けたかった人物達──」


「怪物の他に誰かがいる?」


「居るわ。ガリウス直属の近衛隊・ワールドトリガーが」


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