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真実

感想を頂き、少し描写を足すために話を59に差し込みました。

 アルルを背負せおい、リガルは指示された方角へと向かった(行き方としては、空高く飛び、目的の場所目掛け急降下をした。敵がいる可能性を考慮してだ)。


「思ってたんより、立派だな」


 目の前に堂々と聳えるのは、教会と言うよりも大聖堂に近い立派で神々しいものだ。


 扉は大きく高い。大理石へ微細に施された彫刻に、象られた女神。こんな状況下ではなかったのなら、さぞ圧巻され感動した事だろう。


「お前達は──むっ?」


 教会の警護にあたっていたであろう数名がリガル達に近ずいては、訝しい視線を向ける。ただその視線がリガルではなく、アルルに向けてだと言う事実に気がつくまで、時間はかからなかった。


 気がついたアルルが、耳を垂らしたのをリガルは、萎れ垂れた尻尾が手のひらに触れて把握する。


「アルル、大丈夫だからな」と、囁いてから距離を詰める騎士に向かって口を開いた。


「どうしましたか?」


「その獣人──」


「確か、リガルの仲間には獣人が居るという」


「だが、杖は持たず──身なりは剣士? なのか? リガルとは、白魔道士なず」


「しかし服装は白魔道士が愛用するものだろ?」


「ならば、コイツがリガルか? いや、ならしかし何故我々を襲わない?」


「確かに。騎士と分かれば容赦なく襲うのでは?」


 数名の騎士が、柄に手を添え冷めた瞳でリガル達を見ながらも談義をしている。


 どう知らされているのかは分からないが、リガルは余っ程荒くれ者のイメージが強いらしい。


「アルル、立てるか?」


「大丈夫、です」


 騎士たちが見つめる中、ゆっくりと膝を折り曲げアルルを下ろす。立ち上がるなり、アルルは弱々しく裾を握った。


 そして、目線が再び騎士達とほぼ同じになった時。リガルは、手に持っていた触手を目の前に投げ捨てた。


 ──どちゃり。


 重々しくも、ねちっこい音を出したそれを見て騎士達は虚を衝かれた表情を浮かべる。


「これは、あの化物の一部……貴方達が倒してくれたのか?」


「いや──あの化物は、リガルが放った物ではなかったのか?」


「なら、目の前に居る方はリガルではない?」


「だが、待ってくれ。自演て事も」


「それこそ有り得ない。あれだけの強敵、解き放っておけば良かっただけの事──」


「あの、一つ良いですかね」


 リガルが訊ねると、皆が口を閉ざし頷いた。


「貴方達の予想は、合っていますよ。俺こそがリガル。リガル=アルフレッド。中央領地に宣戦布告した者です」


 アルルに向けられたヘイトが一気にリガルへと向けられ、騎士達は剣を振り抜いた。


「やはり、あの化物はコイツが手引きしたものだろ!」


「やれやれ。貴方達は、俺の話を聞きましたかね?」


「話、だと?」


「ええ。敵意を向けない相手には一切の危害を向けない。要するに、街を戦場にするはずがないんですよ」


「そんな世迷い言を誰が信じるか!」


 声より先に剣を振り上げた騎士に対し、リガルは剣を抜く事はなかった。しかし、踏み込む一歩は騎士よりも早い。


 騎士達が反応する数秒前に、懐へ入り込み振り上げた剣の柄にあたる部分を掌底する。剣とは、相手に触れる瞬間により一層の力を篭めるため、当然、剣は宙で回転し後方で地面を叩いた。


 リガルは、剣が地面を叩く間に騎士の膝に足をかけ、倒して拳を顔近くに繰り出す。


「人の話は最後まで聞けよ。お前達は、何故今の国……いや、領地を守る?」


「俺の事は、良い! コイツを俺ごと殺せ!」


 語気荒らげる騎士に対し、呆れ混じりのため息を吐く。


「めんどくせぇな。お前等は宗教かよ。いいか、今から真実を見せてやる」


「真実、だと? そんな事が」


「出来る。白魔剣士を嘗めるなよ」


 騎士から手を離し、リガルは剣を振り抜くと切っ先を天に掲げた。


真実の光(カリダ・アギオ)


 言葉を紡ぐと、リガルの体は白く優しい光が包み、やがてそれは剣身に宿り眩く発光した。


 これは、白魔道士の魔法であり、自分が見てきたものを皆に知らせるものである。主に、自分の潔白などを証明する為に使われる大して実用性のない魔法だ。


 ただ、冒険者が本来居たパーティを抜けるには何らかの理由がある為、信用させる為によく使うのも事実だ。


 ゆえに、マイナーな魔法でありながらも知れ渡っている魔法でもある。デメリットとしては、人の記憶は七五日と言うように、それまでのものしか見せる事が出来ない。

 その分、確実に信憑性は増す。


 ゆえに、騎士達も“此処でそれを使うのか”と言った様子を浮かべていた。


「見てみるがいいよ。俺の記憶を──」


 リガルが見せているのは、ほんの数時間前──屋敷に降り立った所からだ。


「まさかイグムット公爵様が──」


「天使……って、あいつがか?」


「この幼き子が……情報とまるっきり違うぞ?」


「果敢に挑むとは……街を救ってくれたのは叛逆者であり、街を壊滅に陥らせたのが領主とは……」


「何が真実で何が嘘なんだ……」


 記憶を見せ終えた時、騎士達は頭を下げていた。


「この街を救って頂き感謝する」


「失礼とは承知で一つ、お願いしたい」


「なんですか?」


「死んで行ったもの達を、どうか送っては頂けないだろうか」


 白魔道士とは、聖なる職。故に、鎮魂と言うものを行う事が多々ある。


 リガルはアルルと目を合わせた後に頷いた。


「分かりました。その代わり、貴方達は、俺達に危害を加えない。つまり、敵意を向けないと誓ってください」


「我々は、ミネルバ団長に言われている。国よりも、街を守れと。だが、手を組むことは今はまだ出来ない。ワガママかもしれないが、少しの休戦を願いたい」


「分かりました。では、俺達は今から互いに刃を向けないと誓いましょう」


 さぞかし、人望厚き人なのだろう。しかし、彼女は多分──


「ミネルバ団長は、大丈夫なのだろうか?」


「大丈夫だろう。あのお方は、強い」


 彼らの心配は、あの老人が言っていた発言なのだろう。


「我々は我々の任をこなそう」と、リガル達が次の行動に移っている時──


 ミネルバの元に居たジャンヌは、言葉を漏らす。


「コレが、彼の隠していた秘密兵器──って事ね……」

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