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覚悟

リガルの頭は混乱を極めていた。アルルに対しての配慮や、しかし──かと言って力から目を背ける訳にもいかない。


「アルル、ごめん。俺、何も分かってやれなかった」


「ううん」と、横に首を振り、アルルは涙ながらに話を続ける。


「りがにぃは悪くない、です。ファーちゃん」

「何かな?」

「もし、りがにぃが力を得たとして、助かる可能性はある、ですか?」


こんな時まで、アルルは自分じゃなく他人の未来をあんじた。ファイアースライムは、だからこそだろうか、その問いに対して残酷なまでの回答を選んだ。


「助かる助からないではないんだよ。次元が違うんだ。彼はね、星になるんだ。違う言い方をするならば、一体になる。風・空・海・雨──でもそれは、永遠と変わらない。君達が生きている限り、リガル君はそこにいるのだから。アルル?君は、彼が遺した世界で残れる一人なんだ」

「アルは、死んでるから、死なないというですか?」

「そうだとも。ここに居る、パンプさんとフィーラ君を除いた君達はね」


ファイアースライムの言葉に一度目を伏せ、拳をふるわせたままアルルは言う。


「アルは、りがにぃの傍に居たいです。出来るなら、存在を感じていたいです。なんで、りがにぃじゃなきゃ駄目だったですか。アルが出逢わなければ、違う誰かだったですか」

「アルル……。でも、もし例え、そこに居たのが違う誰かだったとしても、お前は同じ苦悩を強いられていたよ。そこに立っていたのがたまたま俺だったに過ぎない。簡単な言葉で表すなら──運命、だったんだよ」


優しく諭すように。撫でたくても、撫でる勇気もでないリガルは、言葉をもって撫でる。膝から少し浮いた手をピクリと動かしながら。それでも、アルルは受け入れられない様子で顔を上げる。


「そんなの詭弁だもん!アルは嫌だもん!嫌だの!!でも、でも……」

「アルル、これを飲め。少し落ち着いた方がいい」

「で、あるな。ミネルバ殿の言う通りだ」

「ごめんなさい……大丈夫、です。りがにぃは、死にたくないとか居なくなりたくないとか──そんな土俵で話してないのも分かる、です。これは、アルのわがままだって……だから、りがにぃ……アルは絶対に死なないです。ずっと、そばに居るです」

「……ありがとう」

「話は、ついたようだね。無理やり、こじつけるが如くだったけれど」

「そうであるな!なれば、この目もフィーラに返さねばなるまい」

「リガル君、エヴァは多分あっちに捕まっている。だから初めはミーたちだけだ。それでも苦痛は免れないだろう。ミー達の意思が流れ込み、遺伝子すらも継ぎ接ぎになるのだから」

「ああ」

「覚悟はいいね」

「大丈夫だ。宜しく頼む」

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