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ガリレオ

読んでいただきありがとうございます。

フィーラの知っている知識、会得した知恵と言うのは本当に素晴らしいものだった。エルフが住む島──機械仕掛けの大都市、聞いただけで鳥肌はたつしなんかい息を呑んだ事か。


だが、いくら力があったとしても、終わりの力には太刀打ち出来ない。ここはやはり、始まりの力でなければ、とフィーラは言っていた。それを聞いたリガルは喜ぶ事はなく、どちらかと言えば後悔を色濃く宿した表情を浮かべる。


ヤナクに会った時、自分が完璧に力を扱えればフィーラの治める国が崩壊する事なんかなかったはずなのに。


色々なことを考え、様々な事を思いながらリガルはディグ達が待つ村へと辿り着く。


「おかえりなさい、リガル様。して、この方は?」と、入口の前で立っていたディグは、頭を下げると歩調を合わせ付いてきて、そう問うた。


「この女性は、フィーラ。俺達の味方だよ」

「なるほど。今の状態では猫の手も借りたいほどですし、有難いですね」

「ああ、全くその通りだよ。で、パンプさんの姿が見えないんだけれど」


村の中央に辿り着いてみれば、老婆の姿はない。


「ああ、彼女ならなにやら写真を抱え安らかに眠ってしまいましたよ」

「そうなのか。疲れてるだろうし、大切なものなんだろ、その写真」

「はい。だと思われます」


リガルはさん散らかしになっていた村が綺麗になっているのに気が付き、ディグにお礼を言ってから椅子を人数分並べる。


皆が座ったのを確認し「では」と、リガルは口にしアルルを見た。


「はい、です」


手のひらを器上にし、なにやら瞑想すると光が滲みだし、やがて──


「ふぁるふぁる!」


懐かしい鳴き声と共に、柔らかそうな体を顕にしたファイアースライム。


「では私も始めます。宜しく頼むね、ガリレオ」

「何が始まるんだ……」

「見ていたら分かるさ」と、大雑把な返答をミネルバがディグに返した時、フィーラが一瞬肩を落とし、脱力状態になったのを見逃さなかった。


それこそ、糸で繋がれたからくり人形の糸が切れたような、そんな感じ。


「ふう。外の景色をちゃんと見るのは久しいな」


顔を上げたフィーラを見て、リガルは。いや、この場合は一緒に行動していたもの達全てが愕然としてるかもしれない。


フィーラの目に光が宿っているのだから。


「貴方は、誰だ?」

「良くぞ!よーくぞ、聞いてくれた!私はガリレオ!この女に知恵を授けた白の竜なり!」


多分だが、先程以上の衝撃が全員を襲っている。急に立ち上がり、両手を広げ顔を仰ぐ姿は正直、フィーラの体で見たくはなかった。


「え、あ、うん」


もう調子が狂いまくり、頭が真っ白になっている中、リガルはどうにか言葉を見つけ出す。


「フィーラを通して知っているとは思うけれど、その」

「なーんだね!?」

「いや、だから……」

「言わなきゃ分からないであろう!化学とは疑問を常に抱き、声に出し初めて発展するのだ!」

「いや、化学じゃないんだが」

「なんだよ、ノリが悪いな。マジダルいわ……」


ションボリした様子で静かに着席したフィーラをみて、一同からは溜息が零れたのは言うまでもない。


キャラが濃すぎる。


「んで、なにさ」


完璧に不貞腐れてやがる。


「ファイアースライムの中にいる、竜の事なんだけど」

「ああ、それ?簡単なことだよ。宿り主を殺せばいい」

「殺……ッ!?」

「ファル?」

「なんだよ、知らないの?私達竜は、転生を繰り返す。もし、竜がその小さき器に宿っているなら殺せ」


殺意が籠ったフィーラの眼光がファイアースライムに当てられ、アルルは庇うようにファイアースライムを抱きしめる。


「発展したいのなら代償は付き物なのだよ。なんなら、私が殺してやる──」

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