真逆にいる人
頭の体操と自分の好きなシチュエーションがなかったので投稿してみようと思った作品なので、気軽にどうぞ。更新はたぶん不定期です
教室で相対的な佇まいをしている彼ら二人は傍目から見れば何の関係もなく見える。それも当然だろう。一人は金色の長髪に耳に穴をあけピアスをしてはいるが、まだ幼さの残る顔立ち。もう一人は頭を丸刈りにして、肩幅もしっかりとある骨格をしており、高校生にしては大人すぎる顔立ちをしていた。この二人が接点を持つにはいささか想像もつかないことだった。あるとするならば、幼なじみだった、部活を一緒にやっていた、そんなところだろう。しかし、彼らにはそんな接点はなく、だがひとつだけ彼らの共通点があった。それは互いにその人の位置を羨ましがっていたことだった。彼らは何においても相対的で、立ち振舞いはもちろん、名前までもがそうであった。がたいのいい青年は山田章吾といい、金髪の彼は樋山雷宙と独特な名前でもあった。このような名前であったならば、普通ならば立ち位置が逆になっていたであろうが、彼はこれを利用したのだ。自分から名前をいじりだし、自分から笑いを誘っていった。彼を端から見ていた章吾は、そこを羨ましがっていった。雷宙もしかり、羨ましそうに章吾の事を見ていた。
そんな二人が縁を持ったのは、高校を2年生に上がり、1年を通して行うグループワークだった。しかも、今、神がいると言われたら信じてしまうような、彼らが主人公なのだと言わんばかりのように二人きりだった。38人のクラスメイトがいるなかで、均等になるようにすると、どうしてもこの二人が余ってしまう。そんな二人だった。
この二人が話した最初の言葉は、
「はじめまして」
であった。それもそうだろう。この二人はしばしば目が合うものの、話したことはないし、そんな中で、自分の事を見ていたな?等といってしまった日には何も話はできなくなるに決まっている。そんな二人はよそよそしく、お見合いのような会話から始まった。