始まりは唐突に
怖い。
皆さんは本当にそう思ったことはあるだろうか。
多分、交通事故にあって死にそうになった。肝試しに行って、本当にお化けが出て怖かったとかあると思う。
だけど、僕のは違う。
――そこはまるで、悪い夢のようで……
――そこはまるで、嘘のようで……
――あれが本当だったのか、わからなくなるような感覚だった。
だって、あの日、あそこであったあれが本当なら、僕は僕でいられないから。
今日も一日が始まる。
僕の記憶は消えぬまま。
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さて、まずは何から話そうか。
そうそう。まずは肝試しに行こうってなったところからか……
ある日、俺らは毎月クラス会というものを開いてる。クラスでしたいこと、勉強、悩み事……エトセトラ。まぁ、取りあえず、色んなことを話してた。
もうすぐ、夏休み。そんな時、クラスのリーダー、神野が言い出した。
「夏休みにどっか行こうよ!」
と。皆
「いいね」「どこいく」
皆は乗り気でどこにいくか話し合った。
海水浴とかキャンプ、後は旨いもの食いまくるとかもあった。
「いや、いっそのこと、山中とか行って、肝試しとかどう」
と誰かが言った。山中での肝試しならキャンプもハイキングもできる。最終的に肝試しをやろうって風潮が生まれ、今年は暑かったし、それでいいかとなった。
「じゃあ、どこの山に行く」
僕は全く無知な者で、肝試しのスポットなんて知らないから、どこに行くのがいいのか全くわからなかった。だから、友達の水下が持ってきた『浦野ドリームランド』という廃園となった遊園地の案に賛成してしまったのである。
この遊園地は結構、高い山の中に立てられた遊園地だったのだが、事故や立地の性か、客が来なくなり、そのまま廃園になってしまったという。山の中に機材を持ち込んで撤去するのも莫大な金がかかるので、今はそのまま放置してあるらしい。
「浦野ドリームランドでいい?」
神野が皆聞いて決まった。
この時の俺は単純思考で、愚直にも怖いものなんてないと思っていた。
そんなわけないのに……
あの遊園地は
地獄なのに