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緋彩「.........シショウ。」

私は神城家長女神城緋彩(かみしろひいろ)です。

地震とともに突然現れたゾンビと言う生物から、怜の使った不思議な力で逃げ切ったと思ったら、今度は怜が目を覚まさなくなるし、一時はどうなるかと思ったけど無事に目を覚ましてくれた。


現在私は、私のステータスとやらを見た弟の怜我の延々と続く愚痴に付き合わされ面倒臭い事になってます。

内容としては、「なんでこんなにレベル高っけぇんだよ!!」とか、「何処でレベルなんてあげたんだよ!転職可能とか意味わかんねぇ!!」とか、「男としてのプライドが........。」とか........。

正直私は、怜が今日のように並んでまで買いに来るほど好きなゲームとやらを全くした事が無いので何を嘆いているのかさっぱりです。

て言うか面倒臭いので私に愚痴らないでほしいです。


「なあ、聞いてんの?」


「........。」


「やっぱ、レベル上げる方法ってゲームとかと同じであのゾンビ共を倒すとかかな?」


知らないし。

面倒臭いからと返事をしなくても1人で話し出すし、なんで姉弟なのにこんなにも性格に差があるのだろうか?

というか、今はこんな所で無駄話をしてる暇はない。何だか身体の底が意味なく震えるような、そんな嫌な予感がするのだ。


「............どうやってここから....出るつもりなの?」


顔に出る事はないが若干焦ったように私がそう聞くと、怜はにやりと得意げな顔をしだした。

どうやら何か考えがあるようね。


「それなんだけどな、俺実は時空支配者(エターナルヘアシャー)って言って、さっきの転移みたいに時空に関する魔法みたいな力が使えるようになったみたいなんだよ。」


「.............それで?」


「この能力で家まで転移出来ないかなって思ってんだけど、MPが少ないから暫くは使えそうにないんだ。だからMPが回復したら1回試してみようと思ってんだ。」


「.....MP?」


「あぁ、マジックポイントって言ってな、転移みたいな不思議な力を使う為に払う代償?みたいなもんだ。」


「.....代償って.........それって大丈夫なの?.........さっきも暫く目を覚まさなかったし。」


「大丈夫だよ。理由は何となく予想出来るし。」


私は少しだが心配して聞いたのだが、怜はと言うと特に気にした様子はなく、先程私と怜がそれぞれステータスとやらを書いたノートを難しそうな顔をして見ている。


「それよりもさ、今は出来るだけ戦力を整えた方がいいと思うんだ。姉貴のステータスに書いてある転職ってのも気になるけど、今はこっちだろ。」


怜がノートに指さした指先にあったのは名前の横で謎の異彩を放ってる『黙示録の業火(メギドフレイム)』という文字だ。何処か痛々しさを感じるその文字が一体なんだと言うのだろうか?

首を傾げていると怜が何処か得意げに説明してくれた。


「これは俺のステータスにも書いてある『時空支配者(エターナルヘアシャー)』みたいに魔法みたいなすっげえ力を使える筈なんだ。どんな能力かは大体想像はつくけど、1回確認してくれないか?」


「.........どうやって?」


「ステータス開いて『黙示録の業火(メギドフレイム)』って書いてるとこに触れたら画面が切り替わる筈だ。」


言われた通りにステータスを開いて名前の横の文字に触れると、パッと画面が切り替わった。

そこには実に簡潔にこの様な事が書かれていた。


☆☆☆☆☆


黙示録の業火(メギドフレイム)

→様々な種類の炎を出せる。


☆☆☆☆☆


「なんて書いてた?」


「.............。」


わくわくといった表情でこちらを見てくる怜から無言でノートを取り、サラッと画面に書いてあることを書き写し、ノートを返した。

それを見た怜は、すごく渋い顔をする。


「何か俺の説明文よりわかり易いけど、何か無駄が無いようで肝心な所は分からない、姉貴みたいな文章だな。」


「.........何それ。.....どういう事?」


「てか、人によって文章の書き方が違うのかな?」


私は睨みつけるようにして怜を見るが、意識的にこちらと目を合わせようとせずに無理やり話を切り替えようとしている。


その時だった。


バンバンッバンバンッ


「「っ?!」」


突如スーパーの出入口のシャッターを何者かが激しく叩いた。


私はいち早く鞘に入ったままの刀を構えると、怜と共にシャッターの近くへそっとかつ素早く移動し耳を澄ます。


「くそっ!もうここがバレたのかよ!!MPは.....“ステータスオープン”.........チッ!」


聞こえてくるのは、数時間前に初めて聞いたが、もう忘れたくても忘れられない奴らの呻き声だった。それも1体とか数体とかいう数じゃきかないくいの呻き声が聞こえてくる。


怜が悪態をつく中、私の行動は早かった。

私と怜の荷物の元まで行くと中身を全部床にぶちまけた。


「あ!何すんだよ!!」


怜が何かを言っているが私は構わずに、ぶちまけた物のうち、携帯やステータスを書いた筆記用具だけを再び鞄の中へしまい、スーパー内の食料品売り場へ向かう。


取り敢えず目についた日持ちしそうな食料だけを鞄にどんどん詰め込んでいると、遅れて怜がやって来た。


「何やってんだ?」


「.........怜はここから転移とかの代わりになる様なここから逃げる方法を考えてなさい。」


「え?あ、あぁ分かった。」


怜はそう言うとその場で座り込み、ぶつぶつと独り言を呟き出す。

それを横目で確認しつつ、食料を詰め込む。


外の奴らが増えてきたのかシャッターを叩く音が段々と大きくなってきた。シャッターを潰されるのも時間の問題だわ。


「“マップ”!」


数分がたった頃、シャッターも変形してきてそろそろ決壊するかという時、このまま最後まで足掻いてやろうと刀を強く握り締めると、突如思考の海から戻ってきた怜が何か力を感じる言葉を発すると、怜の前に巨大な3Dの地図と青のピンが現れた。


「“逃げ道を割り出せ”!!」


続けてそう言うと今度は黒色の矢印が現れ地図の上をくねくねと走っていく。


「.....これは?」


「この青いピンが俺達で、地下街の地図を走っているこの矢印を辿っていけば地上に出れる.........はず。まぁ説明は後だ!今は」


ドガシャアンッ!!


「逃げましょう!」


遂に決壊したシャッターからわらわらとゾンビどもが湧いてくる。そして私達を視界に収めると嬉しそうに唸り声を上げ、襲い掛かってきた!

即座に私は怜に食料品を詰めた2つの鞄を押し付けそのまま右肩に担ぎ、鞘に収めた刀を左手に持つと怜の出した地図上の矢印を視界に収め走る。


小さな店内を障害物があっても飛んだり跳ねたりして避け一直線に突っ走る。そして矢印が指し示す先にあった明かりのついていないスタッフルームのような場所へ飛び込み扉を閉め、その前に簡単に開けられないように室内にあった机やロッカーを無理矢理に積んでいく。普段なら流石に1人では抱えきれないような大きな物だがレベルアップ?のお陰か軽々かつ迅速に運ぶ事が出来た。

そして少しだが落ち着き、薄暗い中目を凝らし周りを見渡すがそこは行き止まりだった。


「.............。」


「.....行き止まりだわ。」


「..................。」


行き止まりの室内を見渡し、逃げ道が無いことがわかると恐怖のせいなのか黙りこくる怜を地面に下ろし、私の後ろへ押しやる。

バンバンと思い切り扉を叩く音が響く中私は、大きく深呼吸を取ると鞘から刀を一気に抜き放った。

暗い室内で辛うじて入口から差し込む小さな光を受け、鈍く輝く私の愛刀をぐっと握りしめる。


「.........やってやる。」


ゾンビ共を殲滅し怜と共に無事にここから出るのだと、決意し刀を構えた時、ここが行き止まりだと知るとずっと黙り込んでいた怜がある場所を指差し大声をあげた。


「姉貴!あそこだ!!」


怜が指さした先にあったのは約人1人分の大きさはある通気口だった。


「矢印はあそこを指し示している!」


そう言う怜の手元にある地図は、先程見たものと少し様子が違っていた。先程までは上から見たような地図だったのだが今は横から見たようなタイプになっていた。そして怜の言う通りその地図で矢印は通気口を指していた。

場所が分かれば後はそこへ突っ走るのみ。

今の腕力だといけるのではないかと、通気口の蓋を引っ張ってみたが流石に無理だった為、蹴り潰して開けた。


「.........なんか今の姉貴、クソババアに似てた。」


「.............馬鹿な事言ってないで.....早く行きなさい。」


思わず間を開けてしまったが、急いでいた為怜を蓋の壊れた通気口へ無理矢理にぎゅうぎゅうと押し込んだ。

そして私も刀を鞘に入れ、中へと入ろうとした時、徐々にだがこちらへ何か大きな物がすごい速さで近付いてくる音が聞こえてくる。


「.........何?」


「姉貴どうしたんだよ。早く行くぞ。」


「.........なんか.....聞こえな」


バギャアアアンッ!!!


「??!!!」


「うわああぁ??!!今の音何だよ?!!」


「なんか大きな化物が.........。.....やばいわ、早く逃げるよ!」


大きな破壊音を立てて、スタッフルームへ入って来たのは見るもおぞましい化物だった。2mはあろう巨体で、右手には人の頭が左手には頭の存在しない身体が握られ、顔中には釘が刺さっており、そこから流れ出る血の色は普通の人間のものではないどす黒い赤だった。そしてやつの背後にはぽっかりと空いた店内に面したスタッフルームの壁があり、そこからはわらわらとゾンビ共が入ってくる。


あれはやばい。あれは絶対にやばいわ。

急いで通気口へ逃げ込むと、背後からバッカンバッカンと壁を砕かん勢いで叩いてる音と振動が通気口越しに伝わってくる。

正直に言って、恐怖で腰が抜けそうだが、ここで動けなくなれば確実にあいつに、あの謎の化物に殺されてしまうと直感できてしまうため、気力で先へと進んでいく。



暫く、進んでいくと次第に壁を叩く音と振動は来なくなった。どうやら諦めたようだわ。

少しホッとするが、すぐに気を引き締める。

この先にもまだ同じ様な奴がいるかもしれない。まだ安心するには早いわ。


「.........なあ、さっきの何だったんだ?」


止まって振り返るということはせずに、前に進みつつも怜が話しかけてくる。


「.............おぞましい.........化物。.....今奴とやったら.....確実に.........殺されるって.....直感でわかったわ。」


「まじかよ.........。一体この世界はどうなっちまったんだ?今朝までは平和そのものだったのに.........。父さん達は大丈夫なのかな?」


「.....お父さんなら大丈夫よ.........だって.....お母さんが傍に居るもの。」


「ハハッ、普通逆じゃねえか?まぁ、こんな事になってるのは案外この地下街だけだったりして、地上ではいつも通りの世界が回ってるかもな。」


「.........そうだといいわね。」


「.....あぁ。」


その後は2人とも無言となり永遠と感じる長い通気口を先へと進んでいく。


そして遂に終着点へとたどり着いた。


「やっと着いたぜ。まぁまだ地下だけどな。」


「ここから先は.........どう行くの?」


私が尋ねるとにやりと得意げな顔をする怜。

なんかデジャブね。


「地図によるとこの先は地下鉄の線路だ。そしてそのまま線路沿いに歩いていったら駅にたどり着けるから、そのまま地上に上がる。どうだ、凄いだろ?」


ドヤ顔する割には普通のことを言っている。

正直何処がドヤ顔要素となっているのか分からないが、凄いと褒めておく。


「それじゃあこの狭い通路ともおさらばだー!!」


そう言って通気口を出ようとする怜へと待ったをかける。


「何だよ、せっかく気分が乗ってきてるのに。」


「.........その.....魔法?の使い方.....教えて。」


そう言うとキョトンとした顔になる怜。ふむふむと謎に頷くとニヤリした顔になる。


「なら俺の事は師匠と呼んでもらおう。」


「.........シショウ。」


「師匠、私に魔法のようなその力の使い方を教えて下さいだ。」


「シショウ、ワタシニマホウノヨウナソノチカラノツカイカタヲオシエテクダサイ。」


「気持ちがこもってないぞ!」


「.........ガタガタ言わずに.....教えろ。」


狭い通路なので体の向きを変えることが出来ない為に、無防備に私の前に常に晒されている、執拗い怜の尻へ刀をぶっ刺す。


「いってぇ!!何すんだよ!!」


「.....執拗い.....面倒臭い.....早く教えなさい。」


そう言ってまた刀を構える私に怜は戦慄する。


「分かった!分かったから、刀を下ろせ!!姉貴の能力は火だろ?この力はイメージが大切だ。どういう事をしたいのか、火をどのようにして使いたいのか、形は?温度は?色は?そう言うのをイメージしてから呪文を唱えるんだよ。」


「.....呪文?」


「あー、あれだよ。決め台詞みたいな。正直イメージ出来るんだったら何だっていいんだよ、きっと。」


「.............なるほど.....ありがとう。」


私が理解したのを確認すると怜は今度こそ通気口から出る。


「はいはい、それじゃあ今度こそ。この狭い通路ともおさらばだー!!」


「だー。」


そうして、私達は通気口を後にした。

色々と迷走していましたがこの小説はら基本毎週金曜の週一投稿にしようと思います。

まぁ亀さんなんで守れない時もあるかもしれませんが出来るだけ頑張ります。

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