過去に行って君に伝えなきゃいけないことがある
僕の彼女は死んでしまった。なんのまえぶれもなく。
だから僕は決めたんだ、過去に行って彼女に会うと。
僕の名前七瀬優。僕は彼女が死んでしまった。たくさん悲しんだし、たくさん泣いた。だけど僕は立ち直った。過去に行けば彼女に会える。うまくいけば彼女を救えるかもしれない。そう考えるだけで心が軽くなる。
だけど、やっぱり時々夢の中に彼女が出てくる。その度に彼女に早く会いたくなる。
「優~、早く寝なさい。いつまでおきてるの」
下の階からお母さんの声が聞こえた。
「今寝るよ」
ただ、いまだに過去への行き方がわからない。やはりタイムスリップなど無理なのかな。そう思う日もある・・・
『君は彼女に会いたいのかな?』
そう、僕に対して囁いてきた。
何だろう。夢でもみてるのかな。
『君の彼女は死んでしまった。そうだろう?』
僕は言葉が返せない。声が出ないんだ。
『死んでしまった人に会うなんて不可能だ』
頭の中に直接話されているようだ。
彼女に会えない。そん・・・な・・・
『だが、君の考えは素晴らしい。過去に行けば会える。たしかにそうだね
少しの間いっておいで』
そこで、声は聞こえなくなった。
「優~、起きなさい朝よ」
「うぅー」
朝か、昨日のあれは何だったんだろう。
目を手でこすりながらベッドから出ようとしたとき、僕の耳に思いがけない言葉が入ってきた。
「早くしなさい、真由美ちゃんもう家に来てるわよ。早く準備して学校行きなさい」
え・・・・・・
「えぇぇぇぇーーーーーーーー!!!!」
僕は叫んだ。本当にびっくりしたからだ。すぐさま部屋を出て、階段をおり、玄関へと向かった。
「あら、優。おはよう」
「あ、あ・・・真由美」
「どうしたの?」
真由美。つまり僕の彼女だ。その彼女が、今目の前にいる。
「よかった・・・・よかったー」
僕は心の底からホットした。過去にこれたから。死んでしまった彼女に・・・・真由美に会えたから。
「もぅ~、どうしたの優。さっきは」
「いや、あれはその・・・・」
なんて言えばいいのかな。
「今日も真由美が家にきてくれてよかったなぁーって思ってさ」
「変な優。」
本人に伝えた方がいいのかな。真由美が死んでしまうことを。
真由美が死んでしまった日が6月3日。今日は・・・6月1日・・・・
しまった!!明後日だ。本人に言わないと。時間がない。
「あのさ・・・・真由美」
「なーに?」
言おう。伝えなきゃ。
「落ち着いて聞いて・・・・ 明後日。6月3日に・・・真由美は死んでしまうんだ」
「え?」