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鴉の子  作者: 詠城カンナ
第六部 鴉の少年
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 ――からすばいろ――




******



喜助。

わたしの大事な、大好きな兄。



ずっとひとりだったわたしの、たったひとつの光。

闇のなかで、あなたの声が頼りだった。


あなたからもらったお守りは、今も輝いているよ。

あなたが護ってくれた命は、わたしが大切に繋いでいくから。


ごめん、ごめんと闇のなかであなたは頭をたれたけれど。

わたしにはあなたを怨むことなどできなかった。

あなたはわたしに「憎め」と幾度となく示唆したけれど、わたしには理解できなかった。


だって大好きな存在だから。


どんな理由であれ、あなたはわたしの兄であった。

攫ってきたのがあなた自身でも、それでも大切にしてくれたのはあなただった。


みんなと同じように、烏になりたかった。

黒い闇色の羽根をはばたかせ、自由に空を飛び、人間を憎み、笑いあい……。

残虐で、愉快で、いとしい烏になりたかった。



でも、わたしは人間だ。


大切な人ができた。

たぶん、喜助と同じくらい大事にしたいヒト。


あなたがわたしを愛してくれたように、わたしもだれかを愛してみたいと思った。

家族愛とか友情とか慕情とか、いまだわたしには区別のつかぬ感情が多いけれど。

でも、ニンゲンらしい気持ちの揺れを教えてくれたヒトに出逢えた。

そして、そんなわたしを形作ったのは、他のだれでもない喜助なのだと思う。



空を見上げれば、いつも思う。

ああ、あの空をあなたは飛んでいるのかと。

大好きな自由を求めているのかと。



わたしは、慣れないニンゲンのなかで暮らす。

きっと、もう屋敷へ行くことはないのかもしれない。

身体がそれを拒むのはなぜだかわからないけれど、でも、たぶんきっと無理なんだろう。




目を閉じれば、暗闇が待っている。

あなたが教えてくれた、闇のなかのあたたかいやさしさを思い出す。

いつでも、鮮明に。



大好きな兄。

大好きな喜助。


あなたを、繋げるために、わたしは生きるよ。



あなたが返してくれた名前を頼りに。

あなたが褒めてくれた、烏羽色の髪を伸ばして。

それを誇りにして、生きていくよ。



あなたがわたしにくれたおピアスりは、きっと運命を引きよせてくれたんだと思う。

だから、いつか繋がる命に、わたしはそれを託そうと思う。



あなたと別れたとき、感じた違和感――

きっとどこかで、きれいに解決するでしょう。


運命は、絆は、繋がりは、ずっと永久に途切れることはないのだから。





鴉姫アキは、烏羽色の思い出とともに。


四季折々が繋がるように、きっと、ずっと……


繰り返し、つづいていくのでしょう。









*第六部 完*




ここまでお付き合いくださり、本当にありがとうございました!


よく、喜助×姫の応援の声を聞きます。

そんな予定は微塵もなかったし、ふたりに恋の感情――というより、何分【感情】に疎いふたりなのですが――はまったくない設定だったし、喜助はイケメンキャラじゃなかった(今ではもう喜助美化されてます笑)ので、びっくりしました←

作者自身、このふたりをくっつけようかとかいろいろ考えたくらいです。


ですが!


悩んでいた矢先、いろいろネタ?がふりまして……。

こういうお話の流れは前から考えていました。

成彰の死と喜助の死はずっと決めてました。

もちろん最初はそんなつもりなかったんですが……!

でもわたし個人としては、ふたりは『死』という扱いではありません。

『つながる』ことの役目を果たし終えた、と思っております。



このまま【鴉の子】が終わるというのは、不完全燃焼!

喜助はちゃんと『つながり』を残しています。

姫も、夜呂も、みんな。


次回の部で最後になりますが、そんな『つながり』のお話を書いていくつもりですので、

もうしばらくお付き合いくだされば幸いです。



喜助を姫を、みんなを愛してくれてありがとうございます、とひとこと笑


では、『つながりの物語』も、どうぞよろしくお願いします。




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