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――からすばいろ――
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喜助。
わたしの大事な、大好きな兄。
ずっとひとりだったわたしの、たったひとつの光。
闇のなかで、あなたの声が頼りだった。
あなたからもらったお守りは、今も輝いているよ。
あなたが護ってくれた命は、わたしが大切に繋いでいくから。
ごめん、ごめんと闇のなかであなたは頭をたれたけれど。
わたしにはあなたを怨むことなどできなかった。
あなたはわたしに「憎め」と幾度となく示唆したけれど、わたしには理解できなかった。
だって大好きな存在だから。
どんな理由であれ、あなたはわたしの兄であった。
攫ってきたのがあなた自身でも、それでも大切にしてくれたのはあなただった。
みんなと同じように、烏になりたかった。
黒い闇色の羽根をはばたかせ、自由に空を飛び、人間を憎み、笑いあい……。
残虐で、愉快で、いとしい烏になりたかった。
でも、わたしは人間だ。
大切な人ができた。
たぶん、喜助と同じくらい大事にしたいヒト。
あなたがわたしを愛してくれたように、わたしもだれかを愛してみたいと思った。
家族愛とか友情とか慕情とか、いまだわたしには区別のつかぬ感情が多いけれど。
でも、ニンゲンらしい気持ちの揺れを教えてくれたヒトに出逢えた。
そして、そんなわたしを形作ったのは、他のだれでもない喜助なのだと思う。
空を見上げれば、いつも思う。
ああ、あの空をあなたは飛んでいるのかと。
大好きな自由を求めているのかと。
わたしは、慣れないニンゲンのなかで暮らす。
きっと、もう屋敷へ行くことはないのかもしれない。
身体がそれを拒むのはなぜだかわからないけれど、でも、たぶんきっと無理なんだろう。
目を閉じれば、暗闇が待っている。
あなたが教えてくれた、闇のなかのあたたかいやさしさを思い出す。
いつでも、鮮明に。
大好きな兄。
大好きな喜助。
あなたを、繋げるために、わたしは生きるよ。
あなたが返してくれた名前を頼りに。
あなたが褒めてくれた、烏羽色の髪を伸ばして。
それを誇りにして、生きていくよ。
あなたがわたしにくれたお守りは、きっと運命を引きよせてくれたんだと思う。
だから、いつか繋がる命に、わたしはそれを託そうと思う。
あなたと別れたとき、感じた違和感――
きっとどこかで、きれいに解決するでしょう。
運命は、絆は、繋がりは、ずっと永久に途切れることはないのだから。
鴉姫は、烏羽色の思い出とともに。
四季折々が繋がるように、きっと、ずっと……
繰り返し、つづいていくのでしょう。
*第六部 完*
ここまでお付き合いくださり、本当にありがとうございました!
よく、喜助×姫の応援の声を聞きます。
そんな予定は微塵もなかったし、ふたりに恋の感情――というより、何分【感情】に疎いふたりなのですが――はまったくない設定だったし、喜助はイケメンキャラじゃなかった(今ではもう喜助美化されてます笑)ので、びっくりしました←
作者自身、このふたりをくっつけようかとかいろいろ考えたくらいです。
ですが!
悩んでいた矢先、いろいろネタ?がふりまして……。
こういうお話の流れは前から考えていました。
成彰の死と喜助の死はずっと決めてました。
もちろん最初はそんなつもりなかったんですが……!
でもわたし個人としては、ふたりは『死』という扱いではありません。
『つながる』ことの役目を果たし終えた、と思っております。
このまま【鴉の子】が終わるというのは、不完全燃焼!
喜助はちゃんと『つながり』を残しています。
姫も、夜呂も、みんな。
次回の部で最後になりますが、そんな『つながり』のお話を書いていくつもりですので、
もうしばらくお付き合いくだされば幸いです。
喜助を姫を、みんなを愛してくれてありがとうございます、とひとこと笑
では、『つながりの物語』も、どうぞよろしくお願いします。




