第五話 収束
次は設定だといったな、あれは嘘だ。それと投稿まで日が空いてしまったことをお詫びします。
総「さて、と」
俺は胴体だけになった蟷螂を見ながら端末で軍部に連絡をとる。
総「立花さん、ちょっと変なのが出ました。事後処理お願いします」
立花「あのねぇ…いきなりcallしてきたと思ったら事後処理ってどういうこと?」
総「そっちでは話になってないんですか?」
立花「あの、何の事だかわからないんだけど?説明してもらえる?」
総「え?魔物の反応が出てると思ったんですけど…」
立花「…え?で、でもこっちにはなにも…」
総「あの、立花さん」
立花「何?」
総「すぐに上にこのこと報告したいので、とりあえず事後処理班だけこっちに寄越してもらえますか?」
立花「分かったけど、どうして?」
総「レーダーに反応が無いのはおかしいので、それについて」
立花「そう…わかったわ。話はつけておくから」
総「ありがとうございます。それでは」
とりあえずあとはどっかに隠れて学園の奴らに適当に誤魔化しを効かせておけば大丈夫だろう。
とりあえずアイギスは消しておく。そして校舎の脇から校舎内に入る。
総「さて、皆は何処に避難したのかな?端末、起動」
端末に予め入れてある科合術を起動させる。
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…あそこか。たしか講堂だったかな。あとは、あの3人は…あそこか。
総「よし。まずはあいつらと合流するか」
その方が自然だろう。俺は端末をいったん切り、合流するために動き出す。
月奈「そっちは避難終わった?」
陽奈「うん。なんとかそっちは?」
星奈「こっちも終わったよー」
月奈「さて、とりあえず任されたことは終わったけど、陽奈。いま兄さんはどうなってる?」
陽奈「ちょっとまって」
再び彼女の目の前に魔術印が現れる。
陽奈「大丈夫みたい。流石兄貴だね」
月奈「そう。じゃあ私たちもそろそろ…」
ドンッ!!
星奈「わぁっ!」
陽奈「大丈夫!?」
月奈「今度は何よ…」
星奈「そんなことより、早く移動しようよぉ…」
月奈「そ、そうね。行きましょ」
そう言いながら、2人は半泣きの星奈を慰めながら移動を始めた。
総「あ、おーい!」
星奈「お兄ちゃーーん!怖かったよぉ!」
総「お?おぉ、そっか。よしよし」
星奈がいきなり飛びついてくる。なんだ?なんで泣いてるんだ?なにがあったんだ?
月奈「さっきの衝撃。凄かったでしょ?」
総「あー、あのときか」
陽奈「それより、兄貴は大丈夫なの?」
総「ああ、大丈夫だよ。上にも一応頼んでおいたし…ほら来た」
外ではヘリの音がしている。見に行ってみるとそのヘリには{処理班}と書かれていた。
総「じゃあ、俺たちもそろそろいこうか」
月奈「そうね。早くいかないと怪しまれるわ」
総「そうだ。そのことなんだけど、俺が戦ってたこと秘密にしてくれないか?」
陽奈「いいけど、なんで?」
総「軍の者だってバレたらまずいだろ」
陽奈「あー、なるほどね」
そんな話をしながら俺たちは講堂へ向かった。
荒畑「授業が潰れるのはいいけど、こうして待機してるのも退屈だなぁ」
そのころ全生徒が避難している巨大な講堂では、点呼が行われていた。幸い3年の方から始まったため、まだこちらまでは回ってきていない。
大介「にしても、総の奴は何処行ってんだ?こんなときに」
鏡華「遅いね…あの3人がいるから大丈夫だとは思うけど…」
藍那「待ってください。今どこにいるか調べてます」
鏡華「ありがと。それにさっきの揺れも気になるし…」
大介「まぁ気にしても始まらんだろう」
鏡華「そうだね…」
藍那「あ…見つけました!あれ?…でも、3人だけ…?」
荒畑「誰が誰だか区別はつくのか?」
藍那「はい。ただ、その場所に感知出来るのは陽奈さん、月奈さん、星奈さんの3人だけです」
荒畑「じゃあ、総は何処にいるんだ?」
藍那「それが…さっきから学園中探しているんですが、見つからなくて…」
大介「いままでにも見つからないことはあったのか?」
藍那はしばらく考えていたが、何か思い出したようだ。
藍那「そうだ。確かにありました。ですが、それは向こうがジャミングを使ってた時ぐらいです」
大介「だとすると、考えられるのはあいつがジャミングを使ってるか、精霊が探しそびれてるかのどちらかだな」
藍那「自分で言うのもあれですが、後者はないと思います」
大介「だよなぁ…と、なると前者か」
荒畑「なにかそうしなきゃならない理由でもあったのか?」
大介「だろうな」
その場は本人に聞く、ということでひと段落ついた。あとは彼らを待つだけとなった。
総「着いたけど、どうやって並んでるんだ?」
講堂は人で溢れていた。まずはあいつらから探すか。…いた。
総「いた。ついてきて」
月奈「いたって、誰が?」
総「あのメンバー。知らないやつも1人いるけど」
俺たちがそっちへ向かうと、向こうもこちらに気付いたようで、手を振ってくる。
荒畑「おお!4人とも無事だったか!」
総「集まるのが遅れたけど、まあ無事だよ」
すると、タイミングを計ったかのように1-Aの点呼が始まった。点呼を終えると、とりあえずは全生徒の無事が確認されたようなので、各クラスごとで解散となった。
藍那「にしても、総さん、でしたっけ?」
総「そうだけど、そちらは?」
藍那「あ、すいません。同じクラスの依代 藍那です。藍那でいいです」
総「藍那さん、ね。で、なんですか?」
藍那「敬語もいいです。で、実は1つ質問がありまして」
総「分かった。で、質問ってなに?」
藍那「さっき精霊を使ってあなた方の居場所を探していたのですが、あなただけ見つからなかったんです」
総「そうなの?」
藍那「はい。普通ならありえないのですが…」
総「??? ごめん、分からないや」
藍那「そうですか…(総さんが嘘をついていないか調べさせてもらいましたが、どうやらついていないようですね。精霊達に反応が無いってことはそうなのでしょう)
総「なにかあったの?」
藍那「い、いえ。なんでもないです」
気づかれてはいないかな。まさか精霊を使える子がいるなんて…まあ大丈夫か。
荒畑「それより総!テメェ何処行ってやがった!こんな可愛い子3人と一緒に!」
「「「なっ!?」」」
総「照れるんだ…」
陽奈「ここまでストレートに言われるとちょっと…ねえ?」
残りの2人も賛同の意を示している。
総「別に。昔話をしてただけだよ」
荒畑「して、その昔話とはなんだ?」
総「人の家族の話に首を突っ込むとは、関心しないな」
荒畑「…ダメか?」
総「ダメです」
荒畑「へいへい。分かったよ」
総「分かればよろしい」
大介「そういえば、お前らはさっきの揺れについて何か知ってるのか?」
鏡華「結構大きい揺れだったんだけど…」
総「あの蟷螂がなんかしたんじゃないか?」
鏡華「そ、そうだ!そういえばあの蟷螂はどうなったの!?」
月奈「確か…軍の人達が来てたと思うわ。校庭に入って行ってるのを見たわ」
星奈「あの人達軍隊だったの?」
陽奈「いや、どう見ても軍服着てたでしょ…」
星奈「そうだっけ?」
…流石我が愛しの妹達。フォローまで完璧とは。
鏡華「そうなんだ…じゃあ大丈夫なんだよね?」
総「軍も伊達じゃないだろう」
鏡華「そう…だよね!」
荒畑「まあ軍の奴らだったら何とかなるだろうな!」
藍那「でも、魔抗力持ってましたから、苦戦はするのでは?」
大介「軍には魔術や科合術を使わずに敵を倒す訓練もしているらしい。親父が言ってた限りではな」
藍那「大介さんのお父様は軍の方なのですか?」
大介「まあな。だからたまに愚痴を零すんだが、これもそこが情報源だ」
総「おいおい…機密とか大丈夫なのか?」
大介「ああ。俺が言わなければ問題はない」
総「言ってるじゃないか…」
これはまた個性的なメンバーが揃ったものだ。そんなことを考えながら、俺たちは教室に戻っていった。
作「次こそは設定回です」
総「なぜ本編にしたし」
作「何か区切りが悪かったんだもん」
総「退行しないでいい」
作「すいませんでした。次は…近々投稿します。それでは」
総「読了ありがとうございます。よろしければ、次回も楽しんでいただけると幸いです」
作「ではまた次回」