第八話 日常
4ヶ月ぶりの投稿です。
間が開かないよう尽力します。申し訳ありません。
Aクラスの前で3人と別れ、俺は一人教室へ入る。
そこでは5、6時間目に行われた実習で負傷しなかった、または治療するまでもないような怪我で済んだ生徒が集まっていた。
俺はドアを開け、教室の中に入る。と、同時に異様な光景を目の当たりにする。
総「……え?」
俺が教室に入った瞬間、クラスメイトが全員こちらを凝視してきたのだ。
その視線にはプラスとマイナスの両方があった。
プラスは尊敬や憧れ。
マイナスは畏怖や恐怖など、理解できないものに向けるそれ。
視線は両方感じられたが、マイナスの方が圧倒的に多かった。
総(まあ、そりゃそうなるか…)
彼らの心情は理解できなくはない。なぜなら自分達よりも上のグループがたった一人に出し抜かれたのだ。それに一度喧嘩を吹っかけてきた奴を秒殺してしまっている。
ここまで来て俺はようやく自分の浅はかさに気づく。
俺は席に戻りながら軍と同じ感覚でいるのは不味いということを理解した。
俺が席に戻ったところでドアを開け、先生が教室に入ってくる。
担任「あれー?なんか人数が少ないような……」
あの、先生。俺がそう言おうとしたが、「あー、実習かぁ。そういえばあったね」問題なかった。
担任「じゃあーSHR始めるよー」
全「………」
担任「あれ?どーしたの?なんかあった?」
総「………」
視線が全て(先生を除く)こちらに注がれる。
担任「…?まぁ…いーか!」
総(いいんだ……)
担任「今日は特に連絡することないしー……うん!ないね!」
総(雑だなぁ……でも突っ込まないでくれたことには感謝しよう)
担任「と、いうわけで!今日のところは解散!皆の者!放課後を有意義に使うように!」
先生はそれだけ言い残して教室を後にする。
その後、俺はその場に残っても気まずいだけなので早々に教室を後にした。
月奈「…あ」
総「あ?あぁ、月奈か。他の二人は?」
月奈「ちょっと待って、もうすぐ……ほら来た」
Cクラスから若干二名が飛び出してくる。何をやっているんだ…。
総「何をやっているんだ…あいつら…」
月奈「ごめんなさい…。私がもっとしっかりしていれば…」
総「いや、月奈のせいじゃないと思うけど…で、あれは何だ?」
月奈「あの二人、帰る準備を忘れてぼーっとしてたから急いでたんじゃない?」
総「別にそんなに慌てる必要ないんじゃないか?」
月奈「さあ?自分で考えてくれればありがたいんだけど」
何故か最後の方は言い方にトゲがあったような気がする。しかも若干頬を染めながら。なんだかよく分からないが、とりあえず三人と合流できたので良かったとしよう。
総「あぁ、そうだ。ちょっと保健室に寄って行きたいんだけど、時間あるか?」
三人は俺に肯定を示す。
総「じゃあ、悪いけど少し付き合ってくれ」
陽奈「何しに行くの?」
総「あいつらの所にな」
星奈「あいつらって、あの四人組?」
総「具合が気になるからな」
星奈「そっか」
じゃあ、行くか。そう言い、俺たちは保健室へと向かった。
総「大丈夫か…って、元気そうだな」
荒畑「お?なんだ見舞いに来てくれたのか?」
総「そんな感じだ」
荒畑「なんだよ。優しい面もあるんじゃねぇか」
総「お前の俺に対する見解を聞きたい」
鏡花「まあまあ、いいじゃない。心配してくれたことに違いは無い訳だし」
荒畑「それはそうだがな」
まずコイツは大丈夫そうだな。あれだけ動けるんだから、体も頑丈か。
鏡花も離れていたからかあまり大きな傷は受けてないみたいだな。
あとは大介と藍那か。
大介「俺は大丈夫だ。ただ藍那が気を失ったままでな」
総「体調はどうだ?」
大介「その辺は心配ない。軽いショックだそうだ」
大介はそういって保険医の方を指す。
総「そっか。じゃあ皆大事には至らなかったんだな?」
大介「まあな」
総「それは良かった」
荒畑「そういえばお前、本当に屈んで避けただけか?こう見えても感覚は良い方だと自負してるんだが「ほう、意外だな」おい」
俺が口を挟む。
すまん、続けてくれ。
荒畑「でだな、俺はあのときメチャクチャ固いなにかにぶつかったというか、そんな感じがしたんだ」
総「大介の槍にでも当たったんじゃないか?必死でよく見えなかったが」
大介「そういえば俺も感じたが、そういうことか」
総「多分な」
とりあえず全員の無事は確認できた。ここら辺で帰るか。
藍那「あの!」
総「うん?どうした?…って、気が付いたのか」
鏡花「あ!大丈夫!?」
藍那「う、うん。大丈夫」
鏡花が藍那に掴みかかっている。あれじゃ逆効果だろうが、心配しての行動を本人も含め止める者はいない。
鏡花「そっかぁ~良かった~」
藍那「フフッ。ありがとうございます」
総「それで?なにかあったか?」
藍那「あ、そうです。実は精霊の中でかなり高位にいる子が、やっぱり魔法の発動を感知したって教えてくれたんですが…使ってないんですよね?」
総「同じ答えになるけど、使えたらここにいないと思うぞ?」
藍那「そう……ですよね!すいません、変なこと聞いて」
総「いいよ。んじゃ、俺はこの辺で。廊下に人を待たせてるしな」
荒畑「お?待ち人か?それってもs「どうした…?」なんでもないですはい」
総「そうか。じゃあ、また明日な」
俺はそういって保健室を出る。さっき止めたのはあれでまたからかわれるコースに向かうことが容易に想像できたからだ。
廊下に出ると三人を立たせたまま待たせてしまったようなので早々に帰ることにした。
寮に。
この学園の学生寮は男子と女子で分かれてはいないようで、同じ棟に男子寮と女子寮が分けられている。そして俺の部屋がどこかというと…
総「学園長…恨みますよ…」
我が従妹達と同室だった。
なぜこうなったかには理由がある。そもそもこの学園の寮の一室はシェアハウスのようになっており、一つのリビングから四つの部屋へと分かれているのだ。
だが普通に考えればそんなスペースはまずない。だが、流石は国お抱えの学園だ。全ての寮室にご丁寧に空間操作の魔術がかけられているのだ。
なのでスペース的には少し広めのリビングにキッチンがあり、リビングの壁に扉が四つついているような感じで、その奥にそれぞれの個室があるような感じだ。
もちろん内装はその寮室の住人が自由に決めていいので、学生たちはかなり個性的な部屋を手掛けている…らしい。
そしてそんな寮室割りのせいか、寮室内の部屋に空きが出ることがある。俺はその空きの部屋のある寮室に入る予定だったのだが、空いているのが彼女たちの寮室だけだったのだ。それに気づいた瞬間、謀ったな!と心の中で叫んだ俺は正常なはずだ。
さて。目前の問題に戻ろう。
彼女達と同室。それ即ち俺が暮らす寮室は女子側だということだ。しかもついていないことに彼女たちの寮室はその奥の方なのだ。
色々と嫌な予感しかしない。
総「悩んでも仕方ないか」
俺はそんなことを考えながら何をしているのかというと、待たされている。
どうやら四つ目の部屋は空き部屋で物置代わりにしていたようなのだ。そのため、俺が入るべき部屋には彼女たちの荷物が置かれているのだ。
主に陽奈の。
彼女は昔から片付けという言葉に縁がなかった気がする。
まだ直ってなかったのか。困った従妹だが、少し嬉しい気もした。
月奈「ごめんなさい。待たせちゃったわね」
総「大丈夫だよ」
どうやら片付いたようだ。
寮室に入ると、年頃の女の子らしく種々多様な小物などが置いてあるのかと思ったが、思った以上に落ち着いていた。個人的にはこのくらいの方が助かるのだが、彼女たちは本当に俺のいなかった三年間女子らしいことをしていたのだろうか。…俺が気に留めることでもないか。自分の事は自分でできているようだしこれ以上、昔のように俺が首を突っ込む必要はないのかもしれない。
月奈「もう。昔みたいに兄さんに頼らなくても平気よ」
総「そっか。…って、また心を読まれた…」
月奈「分かり易いのよ」
そうなのか…。仕事柄、ポーカーフェイスは得意なつもりだったんだが。
月奈「そうだ。そんなことより、買い出し行かなきゃ」
総「ん?保冷庫の中空なのか?」
月奈「昨日空になっちゃって…」
総「そっか。なら買い出し手伝うよ」
陽奈「じゃあ今日の買い出し私が行くわ」
星奈「あ!私が行きます!」
月奈「じゃあ私は降りるわね」
総「ん?月奈は行かないのか?」
月奈「皆で行ったってしょうがないでしょ?ほら、なら早く行ってきて。今日は腕に縒りをかけて夕ご飯作らなきゃ」
陽奈「よぉし!そうと決まれば善は急げ!ほら、早く行くわよ!」
星奈「ちょ、ちょっと待ってよー!」
二人は制服のまま玄関へと駆け出していく。その後すぐに陽奈が財布を取りに戻って来たのはなんとなく予想できた。
陽奈「ほらー!兄貴も早くー!」
星奈「置いてっちゃうよー!」
総「今行くー」
月奈「あの二人をお願いね。まだ落ち着きがない所があるから」
総「ああ。…飯、楽しみにしてるからな」
月奈「ええ。任せて」
そういうと月奈は少し嬉しそうに返してくれた。一人で留守番させるのは流石に悪いだろうから買い物を済ませて早々に帰ることにしよう。
総「じゃ、行ってくる」
月奈「行ってらっしゃい」
そして今俺は寮室を出るときにもらったメモを持って最寄りのショッピングモールに来ている。ちなみに来るのは初めてなので俺の役割は荷物持ちだ。
あと、二人の話し相手。
陽奈「こうやって兄貴と買い物に来るの久しぶりだなー」
総「そうだな。最後に行ったのはいつだったか?」
星奈「小学校以来じゃないかなー?」
総「そんなに前か」
そういえばそうか。俺は中学校に上がるのと同時に家を出たから、だいたい三年ぶりになるのか。
陽奈「さて、買う物買ったしどうする?どこか寄り道してく?」
総「いや、月奈も待ってるんだし、時間も時間だから今日はもう帰ろう」
陽奈「えー」星奈「えー」
総「えー、じゃなくて」
陽奈「むぅ…。兄貴のケチ」
星奈「ちょっとくらいいいでしょー」
総「はぁ…仕方ないな。ちょっとだけだぞ?」
二人「わーい!」
総「…………」
…子供か。そうか、月奈はこのことを言っていたのか。まさかここまでとは思わなかった。でも、少しくらいならいいか。今まで散々寂しい思いをさせたんだし。あとで月奈には謝っておこう。
月奈「出来たわよー」
陽奈「今運ぶから手伝ってー」
総「おう」
帰ってきたのは午後六時を回っていた。
そして晩飯が完成したのが午後七時現在。流石は三人で料理しただけはある。
横から見ていたが三人ともほとんどコミュニケーションを取らずに連携して作っていた。そのため、一時間でもそれなりの品数が出来上がっていた。
総「うん。うまいな!」
星奈「でしょでしょー!月奈の料理は天下一品なのだよ!」
月奈「それほどじゃないでしょ」
星奈が言うことには理由がある。実は今日の晩御飯だけでなく、毎日の料理の献立を考えているのが月奈なのだそうだ。本当に女子力が高いな。
月奈「そういえばさっきから考えてたことなんだけど…」
総「なんだ?」
月奈「兄さんが…その…」
総「いいよ。言ってみて」
月奈「うん…えっと、兄さんが軍に入ったのって…いつ頃なの?」
陽奈「…あ。言われてみれば確かに…」
星奈「少なくとも小学校の時は一緒にいたけど…」
総「あぁ、それか。小学校を上がった時に入ったよ」
月奈「でも…星奈も言ったけど、小学校のころは一緒にいたんじゃ…?」
総「まあ夜に出かけて日の上らないうちに戻ってくるって感じだったんだ」
星奈「じゃあ…私たちが寝ている間に?」
総「そうなるな」
星奈「そうだったんだ…」
あー。やっぱりこんな感じになるか。分かりきってはいたから努めて明るくしていたんだが。
総「ほら、そんな辛気臭い顔するなって。せっかくの飯が不味くなるぞ?」
陽奈「うん…」
総(……はぁ。仕方ない、最終手段だ)
総「…とりあえず、食べちゃおっか」
星奈「そう、だね」
よし。とりあえず食事を促すことはできた。
あとは食べ終わったところで実行だ。
皆で食事を終え、片づけも終えてしばらく無言でソファに座っていたが、月奈が立ち上がる。
月奈「じ、じゃあ、私は部屋に戻るわね」
陽奈「そ、そっか。おやすみ」
星奈「お、おやすみー」
月奈「ええ、それじゃ____」
総「___月奈、こっち来て」
月奈「…え?何…かしら?」
そういって月奈はこちらへと歩いてくる。それに合わせて俺もソファから立ち上がる。さぁ、どんな反応をしてくれるか楽しみだ。
よし。
総「それ」
月奈「……!?!!?」
俺はこちらへ歩み寄ってくる月奈を抱き寄せる。
月奈「え、あ、あの、う…、ふぇ?」
総「なんだ。そんな顔もできるんじゃないか」
月奈「う、いやあの、い、いきなり…うぇ?」
ちなみにまだ抱き寄せたままだ。月奈は俺の腕の中で顔を真っ赤にしている。そして月奈の方も気が動転しているせいか、抵抗してこない。
そんな反応を楽しんでいると二方向から鋭い視線が飛んでくる。そちらに視線を向けると陽奈と月奈があからさまにこちらを睨みつけている。
俺は二人に向かって軽く手招きをする。
すると二人とも顔に花を咲かせたかのような笑顔でこちらに駆け寄ってくる。
陽奈「月奈だけズルい!私も!」
星奈「むぅー!私だってぇー!」
総(元気になったみたいだな…さて、月奈は…)
あ…完全に放心してる。こりゃこのまま支えてるしかないか。
まぁ元気になってくれたなら良かったかな。もう高校生だし嫌がられると思ったがどうやら我が従妹たちは思った以上に俺の事を受け入れてくれていたようだ。
総(これで少しは安心出来た…か)
この調子ならいくつか本当のことを教えても大丈夫そうだ。
さてと。今日は少し気が楽な状態で出勤できそうだ。
その事実が俺の頬を緩めていた。
作「魔が開いてしまい申し訳ありません」
総「作者曰く、他の作品を見て勉強していたらしい。もちろん言い訳だ」
作「それで分かったんですが、文章量は今回くらいが妥当みたいです」
総「なのでこれからはこのくらいの文章量になります」
作「ではこの辺で」総「ではでは」




