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新しい町と学校

「先頭はオールナイスレッド、オールナイスレッド先頭ゴールイン!オールナイスレッド、オークスを制しました!」

 テレビから実況の声が聞こえる。父から入学祝いに買ってもらったテレビで「コロネーション・トゥモロー」という競馬ゲームに興じている孝哉。オールナイスレッドという芦毛の牝馬がオークスを勝ったところのようだ。灰を被ったような芦毛の牝馬ということでとあるお姫様のアナグラムで名付けたようだが、期待以上の走りを見せており、そのお姫様になぞらえられる牝馬同様にオークスを制して見せた。

「ふぅ、ついに五大クラシック完全制覇だぜ!」

 孝哉がゲームに関して喜びの声を出しているととその最中にパジャマ姿のみのりが現れる。

「風呂あいたよ、孝哉」

 みのりはピンクのタオルを肩にかけており、風呂上がりなのだと容易に想像がつく。みのりが出かけたことにも気がつかなかったが、帰ってきたことや風呂に入っていたことにも気がつかなかった。

「おう、みのり、ありがとうな」

 孝哉はゲームをセーブし、タンスからパジャマや下着を取り出してから風呂へと向かった。

「ほんと、集中力の無駄遣いなんだから」

 孝哉が風呂に向かうその背中を見ながらみのりは呟いた。確かに、出かけたことにも気がつかなかったが、帰ってきたことにも気づかなかったのだ。孝哉の集中力に驚きながらも回りを見ることができたらいいのにと、みのりは密かに思っていた。


 ちゃぷん、と水音がして、孝哉が一息をつく。

「ここからオレの新しい生活が始まるんだな、とりあえず、入学するまでには町に慣れないと」

 孝哉がつぶいている、みのりの声が聞こえる。

「いい忘れてたけど、孝哉のタオルは水色のやつだからね」

「待ってくれ、みのり」

 みのりが使うタオルの伝言をし、戻ろうとすると孝哉に呼び止められる。

「明日、町を案内してくれないか?」

「うん、いいよ」


 翌日、みのりに案内されて町の周辺を案内される。スーパーマーケットや書店、コンビニなどを一通り案内し終わると、みのりはバス停で足を止めた。

「ちょっとバスに乗ってみない?」

「え?」

 孝哉が返事をするまもなくバスが来たので、みのりについていく形でバスに乗ることになった。

「おいおい、どういうことだよいきなり」

 振り回されるがままにバスへと乗った孝哉はみのりに聞いてみる。

「1回くらいは乗っておかないとダメなんだよ?」

「だから何が?」

 みのりの発言が腑に落ちない孝哉だが、降りても道に迷うだけなので、みのりに付いていくしかないのだった。乗りはじめてから6つ目の停留所で、みのりが降車ボタンを押し、孝哉たちはバスを降りる。目の前には学校の入り口があった。みのりが話始める。


「ここが明城学院(めいじょうがくいん)、私たちが4月から通う学校だよ」



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