day1-1
今日は登校2日目ということもあり、通常の授業は行われない。
簡単にHRが行われると、そこからは生徒会の指示で学校案内、部活動オリエンテーション、生徒会オリエンテーションの3つが予定されている。
学校案内は有名大学並みに広い校舎に、数の多い施設、そのため、90分近くの時間がかかった。
15分の休憩の後、今度は部活動オリエンテーションが始まる。
オリエンテーションは各部がブースでPRを行うようで、生徒たちにはパンフレットが配られた。
パンフレットの裏には判子を押す場所があり、最低でも5箇所は回らなければいけない仕組みになっている。
特に興味のある部活動もないので面倒くさくなさそうなものをパンフレットからチョイスする。
「おい、達海はどこ回る?一緒にまわろーぜ!」
後ろから聞こえてきたのは一の声だった。
「ぜひ私と文芸部を覗きませんか?」
2人目の声は予想外だった。
振り返るとやはり声の主は和泉だった。
「俺は部活動に入らない予定だから、楽そうな所でグダグダしていたい。」
神楽は2人の誘いを断るつもりで言った。
「なんだと!高校生たるもの熱い青春の象徴である部活動に参加せずどーする!」
「!そっかー、神楽君は例のバ・イ・トが、あるもんねっ♪だけど、それとこれとは別腹だよ。」
しかし、2人は方向性のズレた突っ込みを入れる。
「……2人共なんかズレてないか?」
だが、3人の中でそのズレを感じることが出来たのは不幸にも他人とほとんど関わりをもたなかった神楽だけであった。
結局、神楽は一に振り回されてバスケ部、サッカー部、そしてなぜだかトラベル部とやらを見学し、和泉に連れ回され文芸部、写真部、新聞部を覗くこととなった。
新聞部と新聞部では神楽はなぜかひっきりなしに被写体として勧誘され、早く終わる期待はあっさりと打ち砕かれた。
「はぁ、なんでのんびり過ごす予定の90分が丸々と大忙しになるんだ?」
いつものポーカーフェイスとはまた違う無表情を作る神楽に一はまぁ、有意義でよかった。と、和泉は私は満足できました、色んな意味で。と、慰めにならない慰めの言葉をおくる。
神楽の無表情は一層暗いものとなり、周囲の女子達からはあの憂いたような表情もまたいいと、変な評価を受けることとなったが、神楽の知るところではなかった。