変人どものクリスマス@江玖糸亜
『タイトル通りこの物語に出てくるのは変態です。変態が嫌いな御方はご注意を』
12月24日。
この日が何の日か、知らない人はほとんどいないこの国で、一人の高校生くらいの少年がマイクを片手に、巨大な集会場で声高らかに演説をしていた。
「我々にとって今日、この日が如何に呪われた日であるか。今更諸君に問う必要はあるまい! 今日という日に涙を流した者たちがどれほど存在するか、私の調査では昨年だけで一千万人は超えていた!」
少年の声に同調するかの如く集まっていた青年、中年の男たちが嗚咽を漏らしながら泣き叫ぶ。
「諸君の悲哀は十分にわかる! かつての惨劇の記憶を忘れてはならない! あの時感じた痛みを忘れてしまえば、それは我々自身への冒涜に他ならないからだ! しかし‼︎ だがしかし、今の我々は違う! 痛みを背負いし諸君は、我々の仲間となった諸君には救いがあるからだ‼︎」
叫びながら少年は二冊の本を高らかに掲げる。
掲げられた本を見た男たちは集会場が壊れんほどの勢いで猛烈な咆哮を上げた。
彼等の心からの叫びに少年は満足そうに頷くと、その咆哮に勝るとも劣らない大声を張り上げる。
「そうだ‼︎ 我々には大きな味方が出来た‼︎ 一つは穢れ無き無垢なる乙女! 世界の醜さを知らぬが故にどんな宝石よりも輝ける存在! すなわち幼女!! そしてもう一つは至高の栄養! 手料理など諸共しない究極の料理! すなわちイワシだ‼︎」
『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ‼︎‼︎』
「ロリ、そしてイワシこそが正義! 良い時代になった物だ! 諸君は如何に?」
『ロリィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイワシィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ‼︎‼︎』
「そうだ‼︎ 我々はついに手に入れた‼︎ 全てを超える至高を‼︎ そして究極を‼︎ しかしそんな我々の幸福を妬む悪逆非道な政府はあろうことか我々を幼女から引き離そうと忌むべき法を作り上げた‼︎ そしてその法律によって我々は幼女から引き離されようとしている‼︎ だがそんな物は――」
何処からともなく無表情の中学生くらいの少年(区別を付ける為に少年 (中)と表現する)が現れ、頑強そうな鉄製の机を少年の前に置いて下がる。
その眼が汚物でも見る様な眼をしていたことに少年は少しだけショックを受けたが、気にせずに一度咳払いをすると鉄製の机が呆気無いほど簡単に砕け散った。
バラバラになった机の残骸を踏み砕き、少年の演説はますますヒートアップしていく。
「見ての通りだ! 言うまでもないことだとは思うが、敢えて言おう! カスであると‼︎ 堕落し荒廃の一途を辿る現政府など恐るるに足らん‼︎ 何故なら奴等もまた幼女が至高だと理解しているからだ‼︎ 奴等も本心では我々の活動に加わりたいと願っているからだ‼︎ 良かろう‼︎ 我々は例え誰であろうと幼女と、そしてイワシをこよなく愛する者たち全てを受け入れる‼︎ だがその前にあのふざけた法律を撤廃させる必要がある‼︎ この集会はその為に開かれた物だ‼︎」
「いや違うから。っていうかゲームのキャラの影響受け過ぎだよ」
少年 (中)のボソリとしたツッコミを少年は完全無視。
「さて、この辺りで少し質問タイムとしようか。諸君、なんなりと聞き給え!」
「はい先生、質問です!」
「なんだ? 会員No.189849372」
「実は僕……巨乳好きなんです! でも幼女も好きなんです! どうすれば良いでしょうか⁉︎」
「そんな物、ロリ巨乳を求めればいいだけだ! くだらん質問をするな!」
「で、でも、現実にそんな幼女がいるわけが――」
「この痴れ者がァ‼︎」
「ブベラァ⁉︎」
質問をしていた二十代前後の青年に少年は持っていたマイク(電源は切ってある)を投げつける。
「貴様の妄想力はその程度だというのか⁉︎ 貴様は幼女を、巨乳を、イワシを舐めているのか⁉︎ 現実にはいないだと⁉︎ そんな物は貴様の思い込みが足りないのだ⁉︎ 虚乳? 貧乳? 無乳? なんだそれは! なんなのだ! その程度のことが一体何だというのだ‼︎ 貴様が真に巨乳と幼女を愛しているというのなら、イメージしろ‼︎ 卓越した妄想は現実を侵食する‼︎ 無いと思うから無いのだ‼︎ それすなわちあると思い込めばそこに胸がある‼︎ 全ては愛だ‼︎ 貴様の愛次第で現実は如何様にも歪む‼︎ 覚えておけ‼︎」
「いや何言ってんだか全然わからないんだけど」
新しいマイクを手渡しながら少年 (中)が呆れた溜め息を吐き出すも、相手にする者は誰もいない。
「先生! ありがとうございました! おかげで迷いが吹っ切れました!」
「わかればいい。道を踏み外した者にはまず手を差し伸べるのが我々のルールだ。皆も気の迷いがあるのならばどんどん吐き出すが良い。代表として私が諸君に答えを示すと約束しよう!」
「せ、先生! 私も質問良いですか!?」
「なんだ? 会No.9382736218」
「じ、実は俺……熟女好きなんです! でも、胸がない人が好みなんです‼︎」
「巨乳同様イメージしろ! それでも足りんなら幼女プレイだ‼︎ 幼稚園服を着せればすべて解決する!」
「何も解決してないよ」
「万が一幼稚園服でもイメージ出来ないのならば紙オムツを使え! 人間として色々と大切な物を失う代わりに未知の快楽が待っているぞ!」
「人間として終わる様なことを勧めてどうするのさ」
「先生……! ありがとうございました‼︎ 今度試してみます‼︎」
「試すんだ。勇気あるチャレンジャーだとは思うけど、間違いなく変態として通報されるんじゃないかな? むしろ僕が通報したい」
「うむうむ。さて、他に悩みを持つ者はいるか?」
次から次へと上がる手に、少年は一つ一つ親身になって懇切丁寧に答えていく。
「先生! 好きだった人に彼氏が出来ました!」
「サンタクロースに祈れ! 寝取った男と裏切った女の首を刈り取って欲しいと!」
「先生! 脳内彼女にキモいと罵られました!」
「全裸で喜びを表現せよ!」
「先生! 幼女好きキモいと友達に言われてしまいました!」
「幼女こそ正義! 幼女こそ至高! 友としてそれを貴様が教え込んでやれ!」
「先生! 好きなイワシ料理って何ですか!」
「踊り食い意以外の食い方など存在しない! ただし小骨とプリン体には十分に注意せよ!」
「先生! 妹 (小学校低学年)と一緒にお祝いしなければならないので帰っても良いでしょうか!」
「よし! そこの裏切り者を全員で始末するお‼︎」
「……どの辺が懇切丁寧で親身なんだろう?」
ヒートアップしていく会場 (妹云々言っていた奴は縛り上げられてリンチされている)を冷静に静かに眺めていた少年 (中)が、何かに気付いた様に上を見上げる。
「むっ。どうした我が弟よ」
「その言い方はやめて欲しいんだけど。……兄さん、どうやら彼女たちが動き出したみたいだよ」
「……そうか。思っていたよりも早かったな。――諸君! 親愛なる我が弟が敵の接近を察知した! 我々はこの弾圧に正面から立ち向かわなければならない! 戦闘準備だ‼︎」
『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ‼︎‼︎』
「我々は我々の大切な物を守る為に、全力を持って悪と戦う‼︎ そして――生きて再び帰って来よう! そうしたらみんなでお祝いをするんだ!」
『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ‼︎‼︎』
「……この情熱をもっと別方向に向ければ、恋人くらい出来そうな気がするんだけどなー……」
モップやラバーカップ、新聞紙を丸めて作った剣やカラーコーンに分厚い辞書、ナイフにサブマシンガンにロケットランチャー、手榴弾と閃光手榴弾――。
何処から調達したのか、子供のお遊び道具からテロリスト並みの武装の数々にもう呆れることも忘れて深い息を吐き出した少年 (中)は一人出入り口へ。
「ん? 何処に行く、我が弟よ」
「帰る。演説もこれ以上は無理だろうから家で炬燵に潜ってるよ」
「そうか。車に気を付けろよ。通行人にも気を付けろよ。特に老婆のフリをしている拳の王の手下とかに遭遇したら遠慮なく秘孔を突いて抹殺するんだぞ」
「秘孔なんて突けるわけないだろ。むしろ突いちゃダメだからね。いくらこの街でも殺人はご法度なんだから」
「わかってる。我々とて無意味に未来の幼女に傷を付けるつもりはない。安心して吉報を待っていろ」
「……たぶん、時間を逆行でもさせない限り幼女にはならないと思うよ」
「信じる者は救われる!」
「足元を掬われなきゃ良いけどね。……兄さんって本当におばさんに似ているよね。特にド変態なところとか」
「おばさんほどではないだろう。あの人は神羅万象全てを愛すると豪語しているからな」
「はいはい。そういうことにしておこうか。それじゃあ期待しないで待ってるよ」
目の前に迫る決戦に備えて着々と準備を進める男たちの横を通り過ぎて外に出ると、いつの間にか雪が深々と降っていた。
地面には足跡が付く程度に雪が積もっているので、かなり前から降っていたことがわかる。
「……今年はホワイトクリスマスかな。兄さんもちゃんと相手がいるのにこんなバカなことして。まあ、だからこそ兄さんは兄さんなんだろうけど」
サクサクとした雪の感触を楽しみながら歩いていく。
途中の商店街でケーキのセールをやっていたので購入しようとしてお金がないことに気付いたので、売り子のおばさんに上目遣いでお願いし、タダで貰うことに成功。
「ふーん、ふふふーん、ふんふーん。ふーん、ふふふーん、ふんふんふーん」
ワンホールケーキが入った箱を両手でしっかり持ち、鼻歌を歌いながら自宅を目指す。
「ふーん、ふふふーん。ふーん、ふふふーん。ふんふんふんふーん、ふんふーんふんふーん」
やたらと豪勢な武装に身を包んだ警官隊と『変態撲滅』の旗を掲げた女性たちとすれ違ったので少年 (中)は兄に電話を掛けて忠告する。
『了解した! 情報感謝するぞ、弟よ!』
「感謝する必要はないよ。それより死んでも良いからなるべく早く帰ってきてね。流石にワンホールのケーキを一人で食べるのはキツそうだから」
『フッ……我々が負けるとでも思っているのか!』
「うん」
『……もうちょっとお兄ちゃんを信用してほしいなー……』
「信用はしてない。信頼はしているけど。それじゃあね。あっ、それと帰りにケン〇ッキーに寄ってフライドチキン買ってきて」
『……金などない!』
「役立たず」
『にゃっにゃっにゃっ』
「その笑い方。物凄く気に入らない」
『にゃっにゃっにゃっ』
「死ね」
少し乱暴に電話を切り、ふと気が付けば自宅を通り過ぎていたので慌てて引き返す。
「ただいまー」
鍵を開けて中に入れば静寂と暗闇が少年 (中)を出迎える。
「……ああ、そっか。父さんたち旅行に出掛けちゃったんだっけ。……いくら娘の方が可愛いからって息子を置いて行って欲しくなかったなー……」
靴を脱いで洗面所で手洗いうがいを済ませ、冷蔵庫に買ってきたケーキを入れると居間へ向かい冷え切った炬燵に入る。
電源を入れてみるも壊れているのか反応がない。
「……寒い」
仕方がないので冷たい炬燵で我慢することにし、気を紛らわせる為にテレビの電源を入れるが――
「……つまんね」
どのチャンネルも似たような特別番組をやっており、少なくとも少年 (中)の興味を引く物は一つも無い。
耳を澄ますと遠くの方で爆音や悲鳴や怒声が響いているのが聞こえてくる。
始まったのは本格的な全面対決。勝者がいるかどうかわからない聖夜を汚す血みどろの戦。
阿鼻叫喚な光景はまさに地獄の景色。
人間が吹き飛ぶなんて珍しくもなんともない。老若男女関係なく宙を舞って大地に落ちる。
ここまでやっておきながら怪我人だけ(しかも一番酷い怪我で片腕の骨折程度)しか出さず、建物には一切被害がないのだから神業と言えなくもない。
「……毎年毎年懲りないよね……兄さんも姉さんも、バカ騒ぎばかりして」
いつも決着などつかず、最終的には両軍全滅して夜になったら大体全員復活する。
そしてバカ騒ぎが始まる。敵味方など関係ない、それまでの戦いがなんだったのかわからなくなるくらいド派手な騒ぎが。
「……兄さんも姉さんも、間違いなく阿呆だけど……僕は、なんなんだろうね……」
ドツボに嵌まりそうだったので思考を放棄して適当にチャンネルを回す。
あからさまな視聴率稼ぎの番組、見る価値などあるのかどうかわからない内容のバラエティ。
飽きたのでやりかけの携帯ゲームをやってみるも、一分もしない内に電源を切ってしまう。
「……くだらない」
くだらない。くだらない。何もかもがくだらない。
だけどそのくだらない物と、今の自分と何の違いがあるのだろうか――
「……んっ?」
目を開けると爆音や悲鳴が聞こえなくなっていた。
「…………ああ、退屈で眠っちゃってたのか……時間は……九時過ぎか……」
つぶやきながら少年 (中)は違和感に気付いた。
いつもならご近所迷惑確実な大騒ぎが始まっているというのに、外は暗闇に包まれている。
「……? 猛吹雪とかならわからなくもないけど、雪は止んでるし……まさか今年に限ってシャレにならない事態に陥ったとか……!」
慌てて立ち上がり外に飛び出した少年 (中)の足元が爆発し、その身体が宙を舞った。
「ーーーー」
何が起きたのか少年 (中)が理解したのは雪の上に頭から突き刺さった後。
玄関前に地雷 (人体には無害な成分で作られております)が仕掛けられており、ソレを踏み抜いてしまったが故に爆発で空高く吹き飛ばされた。
「うっしゃァァァ! 一人で高みの見物なんて決め込んでるからよ! ざまあァ!」
「すまん弟よ……だが中々に見事な吹き飛ばされ方だったぞ! GJ!」
少年と、少年と同い年くらいの少女が笑うとそれを皮切りに周辺がライトアップされ、集まっていた全員が一斉に宴会を始めた。
まるで毎年一回戦で敗退していた野球チームが優勝したのを目撃したファンの様な大騒ぎ。
酒のラッパ飲み。氷点下の気温での裸踊り。参加者を一人も集めずに始まったビンゴゲーム等々。
何をしているのかわからない者たちも一部存在したが、皆が心から楽しんでいるということだけは事実。
「みんなに無理を言って待ってもらった甲斐があったわね。このバカ、私たちが騒いでいると絶対に外に出てこないんだもん。……その反動で物凄いことになっちゃったけど」
「それが弟の魅力という物だ。まさにツンデレの権化! 最強のヒロイン! 異論は認めぬ断じて認めぬ私が法だ黙して従え!」
「はいはい。ブラコンは黙りなさいね。ったく力尽くの方が手っ取り早いのに、建物に被害を及ぼすとおじさんやおばさんや母さんが五月蠅いんだもの。っていうか突っ立ってないでイワシ取ってきて」
「了解しました。……ところで幼女の姿は何処に……?」
「私の妹を幼女呼ばわりしない! それとその危ない目をしてあの娘に近づかないで!」
「何故だ!?」
「あんたアホでしょ」
「当然だ」
「認めるな!」
「にゃっにゃっにゃっ」
「不気味に笑うな!」
大盛り上がりの寒さを忘れた大宴会。
冬の気温に対抗する様な勢いで熱を上げる祭り。
その中で一人……悪鬼羅刹すら喰らう修羅が誕生していたことに誰もがまだ気付いていなかった。
雪から頭を引き抜いた少年 (中)は何物も写していない虚ろな瞳で物置小屋に向かう。
「…………」
無言のまま取り出したるは人体切断マジック用と書かれた何の仕掛けもない電動ノコギリ。
すぐに飽きられて物置小屋に放置され、ボロボロに錆びて使い物にならない筈だったが、どういう原理か鈍い起動音と共に刃が動き始める。
「……ああ。そっか。母さんが昔、父さんに色々と殺ってたのってこういう気持ちの時だったんだ。僕は母さんに似ていて、兄さんは父さんに似ているってよく言われてたけど、そうなのかもしれないな。そういえばキレちゃったのっていつ以来だっけ……? 昔一度キレて以降、ずぅーっと我慢し続けてたけどせっかくお祭りに誘われたんだ。――死人さえ出さなければ別に構わないよね?」
虚ろだった瞳に狂気という一つの感情が宿る。
誰よりも早く危機を察知した少年と少女は盛り上がっている仲間たちを置き去りにして逃亡するが――
「KILLTHEMALL」
何処かの世界の用務員のおじさんによく似た狂気の笑い声を上げた少年 (中)はその細身からは考えられない身体能力を発揮して二人を追いかけ、異変に気付いた人々が一人、また一人と悲鳴を上げていく。
そして始まる本日二度目の大戦争。
たった独りの狂気が起こした戦争は街全体を包み込み三日三晩続くこととなった。
誰にも止められない少年 (中)の暴走。しかし狂気に染まっていながらも宣言通り誰一人として殺さなかったのは見事としか言い様がない。
だが同時に無傷だった者は少年 (中)を除いて一人もいなかった。
地雷や炸裂弾。マシンガンやガトリングなどあらゆる兵器を駆使してなお少年 (中)には傷一つ負わせることは叶わなかった。
全身が鮮血 (返り血)に染まり顔や頭に雪の跡を残していた少年 (中)を間近で見た人々は口を揃えてこう言った。
アレは人ではない。人と呼んで良い物ではない。アレこそがまさに『赤い服を着た白いおヒゲのサンタクロース』だったと。
前書き
『タイトル通りこの物語に出てくるのは変態です。変態が嫌いな御方はご注意を』
後書き
『ちなみに敢えて出しませんでしたが、彼等にもちゃんと名前があります。まあだからどうしたという話ですが』
『ちなみに敢えて出しませんでしたが、彼等にもちゃんと名前があります。まあだからどうしたという話ですが』