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日常
「そこ、遅い!!」
「す、すいません!」
女の怒鳴り声が聞こえる
その怒鳴り声に続くのは男の怯えたような声
端から見ればからに異様な光景だ
男の立場が強いこの時代
女の立場が強いのは異様
「……今日はここまで!」
その言葉で一瞬にして場が和む
「「「「ありがとうございました!!」」」」
先ほどのピリピリとした空気から、ガヤガヤとにぎわしくなる
先ほどの女も、険しい顔から一変
ニコニコと愛嬌のある綺麗な顔で笑い、先ほどの厳しさを全く見せない
(訓練じゃないときは可愛いんだけどな……)
それは、誰もが思っていることだ
真っ黒な長い髪、真っ青な全てを見通すような透き通った目
その顔は端麗で美しい
この女が騎士だと思う者はいないだろう
それどころか、この国で1番強いと誰が思うだろう
「セイラ」
「ユウキ様!!」
女はニコニコしながら男に駆け寄って行く