表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/35

帰るみち

久しぶりの投稿です

よろしくお願いします!


ひとしきり泣きじゃくった望月さんを見送り、私は家路を歩いていた。


「……いいですよね」

数歩手前を歩くお助け屋さんに、声をかける。

最近は、私のほうから話しかけることが多くなったように思う。

「ん?」

カラ、コロン。

歩調を少し緩める。

夜闇の濃度は増す一方だったが、今はなんだか清々しい。

「相手を思い合ったり、そういうのって私、妙な執着に見えて嫌でした。

誰かをとても大事に思うのは、素敵だと思います。

けれど、思いが強すぎるあまりに、痛いくらい悩んで、傷ついて。ただ、苦しいだけじゃないですか。

でも、今日、望月さんとお姉さんを見てたら、不覚にもちょっと泣きそうになりました」お助け屋さんの、細い背中が笑う。くくく、と、小さく揺れる程度の、軽い笑いだった。

「"執着"か。たしかに、見方によっちゃあ、そう見えるかもねぇ。でもね、ああいうもんだよ。姉妹ってゆーのは。

一緒にいると、"ありがとう"さえ言えないのに、本心では愛しくて愛しくてたまらない。悪いもんじゃないと、私は思いますよ。

恋は盲目ってやつですかねぇ?」

「いや……。そもそも"恋"ではないでしょう」

「ははは、そっかー」

ヘラヘラと笑うその瞳が、不意に月光で煌めく。冷たく鋭い、銀の色。


「小羽ちゃん」

「?はい」

不自然な間があく。しかし、お助け屋さんのほうは、その不自然さに似合わない、柔らかな笑みを浮かべている。いつの間にか歩みは止まっていた。

「どうかしましたか、お助け屋さん?」

夏風が私たち二人の間を通り抜ける。少し、湿っぽかった。

ゆっくり、お助け屋さんの足が、私へ向かって進み出した。

彼の後ろに明るい月が見える。逆光であまり表情が窺えなかった。おまけに、長身のせいで、私はぐっと上を見上げなければいけなくなり、首が痛い。

「お助け屋さん……?」

「…………ちょっとずつ、」

口元がにいっ、と、三日月型になったのがわかった。

「良い顔になってきましたねぇ!」

「……?」

言葉の意味は、よくわからなかった。

不思議がる私をおいて、お助け屋さんは再び前へ歩き出した。本当、どういう意味だ……?

お助け屋さんは、愉快そうに笑いながら振り返る。


「はは、美人になってきた、ってことですよー」



私は結局、明らかにからかわれている、ということしかわからなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ