帰るみち
久しぶりの投稿です
よろしくお願いします!
ひとしきり泣きじゃくった望月さんを見送り、私は家路を歩いていた。
「……いいですよね」
数歩手前を歩くお助け屋さんに、声をかける。
最近は、私のほうから話しかけることが多くなったように思う。
「ん?」
カラ、コロン。
歩調を少し緩める。
夜闇の濃度は増す一方だったが、今はなんだか清々しい。
「相手を思い合ったり、そういうのって私、妙な執着に見えて嫌でした。
誰かをとても大事に思うのは、素敵だと思います。
けれど、思いが強すぎるあまりに、痛いくらい悩んで、傷ついて。ただ、苦しいだけじゃないですか。
でも、今日、望月さんとお姉さんを見てたら、不覚にもちょっと泣きそうになりました」お助け屋さんの、細い背中が笑う。くくく、と、小さく揺れる程度の、軽い笑いだった。
「"執着"か。たしかに、見方によっちゃあ、そう見えるかもねぇ。でもね、ああいうもんだよ。姉妹ってゆーのは。
一緒にいると、"ありがとう"さえ言えないのに、本心では愛しくて愛しくてたまらない。悪いもんじゃないと、私は思いますよ。
恋は盲目ってやつですかねぇ?」
「いや……。そもそも"恋"ではないでしょう」
「ははは、そっかー」
ヘラヘラと笑うその瞳が、不意に月光で煌めく。冷たく鋭い、銀の色。
「小羽ちゃん」
「?はい」
不自然な間があく。しかし、お助け屋さんのほうは、その不自然さに似合わない、柔らかな笑みを浮かべている。いつの間にか歩みは止まっていた。
「どうかしましたか、お助け屋さん?」
夏風が私たち二人の間を通り抜ける。少し、湿っぽかった。
ゆっくり、お助け屋さんの足が、私へ向かって進み出した。
彼の後ろに明るい月が見える。逆光であまり表情が窺えなかった。おまけに、長身のせいで、私はぐっと上を見上げなければいけなくなり、首が痛い。
「お助け屋さん……?」
「…………ちょっとずつ、」
口元がにいっ、と、三日月型になったのがわかった。
「良い顔になってきましたねぇ!」
「……?」
言葉の意味は、よくわからなかった。
不思議がる私をおいて、お助け屋さんは再び前へ歩き出した。本当、どういう意味だ……?
お助け屋さんは、愉快そうに笑いながら振り返る。
「はは、美人になってきた、ってことですよー」
私は結局、明らかにからかわれている、ということしかわからなかった。




