表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/35

公園にて

次の展開の繋ぎみたいなものです。

だから短めです。


* * * * * *

午後8時3分。

さすがに夏と言えど、辺りは真っ暗だ。

いつもはもっと早く通るこの帰路を、疲れきった両足を引きずりながら歩み進める。


「大変でしたねぇ」


そののんびりした声も、今聞くとなんだか落ち着く。怒声、大声はやっぱり好きにはなれない。

「はい…まさか酔っ払いが来るなんて思いませんでした。店長も、こんなことは初めてだと」


本来ならば午後7時で閉店のところ。

その男性は、営業時間を過ぎてから店のカウベルを鳴らした。

ちょうど後片付けをしていた時で、店長も私も同時に目を丸くした。

顔を真っ赤にして、平衡感覚を失った足取りは非常に危なっかしく、倒れ込むようにして店に入ってきたのだ。

おそらく50代から60代くらい。小太りで、身長もそんなにない。店長と二人で近寄って「大丈夫ですか」と声をかけると、酒臭い息をむっと吐き出して、何やら訳のわからないことを叫び出す。

かなり泥酔していた。

店長がお帰り願うように言っても全く通じず、とりあえず水を飲ませようとコップを持ってきても、何が気に入らないのか手で突っぱねる。

とにかく暴れ放題であった。30ほどその状態が続いて、男は力尽きたように動かなくなった。

しょうがないので持っていた鞄から身元を調べさせてもらい、男性の自宅へ電話をした。

不幸中の幸いとでも言うのだろうか。

4コール目で、気の良さそうな女性が出た。


そのあとは早かった。

家が近いらしく、すぐに迎えに来た。

何度も忙しく頭を下げ、謝罪の言葉を述べるのを、店長は困った笑顔で「大丈夫ですから。気にしませんよ」と宥めた後、男性は女性に引きずられるようにして店から出て行った。


全てが終わった時には、

こんな時間になってしまった。



「仲の良さそ―なご夫婦でしたね。奥様はかなり苦労なされてますが」

くっくっ、と愉快そうに笑う。

黒い着物は、ほぼ完全にこの暗闇へ溶け込んでおり、時折電灯に照らされると、彼の色白な肌が際立った。本物の幽霊に見える。何を今更、とは思うが、一瞬だけ"コワイ"と感じてしまった。

そして多分、お助け屋さんはそれを感じ取っただろう。つぅ、と目を細めた。

謝るのもなんだかおかしい気がして、そのことには触れないようにした。

「…もう、酔っ払いには御免です。このようなことが今後起こらないよう、奥さんにはこれからも頑張っていただきたいです」

「ははは、小羽ちゃん、だーいぶお疲れですねぇ。

どれ、あの日みたいに負ぶさります?」

ヘラヘラ笑いながら、自らの背中を指差す。

からかい口調であっても、この人は本当にやりかねない。

「いえ、結構で―――」


広い道に出て、小さな公園に差し掛かったところだった。私の声はある人物によって遮られた。

この暗闇の中でもよく通る、ドスの利いた女声。


「一人でなに喋ってんの?キモチワルイ」



私は後悔した。

また油断して、お助け屋さんと普通に会話してしまったことを。

そして、

暗闇であっても理解した。

このドスの利いた声が、

望月璃子のものであるということを。


* * * * * *

次はとても大切な話です。投稿まで、大分時間がかかると思います(>_<)

その分頑張って書きますので、よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ