表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/35

残響


* * * * * * * * * * * * * *


「どーも!いやぁ、またお会いしましたねぇ!」


「…………………」


とある高校の中庭に、派手な黒い着物の男がいた。

線の異常に細い身体に、頭には大きな、くすんだ帽子を目深く被っている。帽子に比例して、長くボサボサの髪もくすんだ茶色。

それが麻の紐で一本に束ねられていた。

口元に妖しげな微笑みを浮かべ、目の前にいる二つのモノに陽気に話しかけている。

時折、帽子と髪の隙間から、キラリと銀色の瞳が光った。


「なーるほど、声は出ませんか。そりゃそうですよねぇ。

あの時貴方方は、何の後悔もなかったんですから」

「……………………」答えぬ相手に、しかし男は喋り続ける。

ふざけた口調に陽気な声。

一つだけ、目だけは妙な真剣さを秘めており、何の意味のない話をしているのではないと強く訴えているようだった。

「まさか、こんなことになるだなんて、思わなかったのでしょう?いやいや責めてるんじゃあありませんよ。私はね、むしろ貴方方のなさったことに拍手を送りたいくらいなんです」そう言って、棒切れのような手を広げて、わざとらしく拍手の真似をする。相変わらず、相手は一言も声を発さない。

男の足元には、いつの間にか真っ黒な黒猫が擦り寄っており、相手にしてくれと言わんばかりにニャーニャーと気怠げに鳴きはじめる。男はちら、と目を向けただけで再び口を開いた。


「どうか、責めないでくださいな。だぁれも悪くないんですから。ただね、一個だけわかってください。感情に素直になれる人がいれば、そうでない人もいるんです」


吐息のように、熱を持った風が吹く。夏の太陽が照らし続けているにもかかわらず、その男の頬は異常なほど冷え切っていて、どんな熱も意味を成さない。

愛も情も遥か昔に奪われた。

そんな冷やかな瞳が、ただただ、きらりと妖しく光るのであった。


* * * * * * * * * * * * * *

前の章とは場面が変わる上に、ちょっと意味ありげですね。

大事なところでもあります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ