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俺のフラグが世界を救うわけがない! ~引きこもり中学生、イベント発生で世界最強~  作者: 猫撫子


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24/24

英雄の登校フラグ、バグって大騒ぎ

朝。


ユウはベッドの上で固まっていた。


(……学校、行きたくねぇ……)


世界を救った英雄だろうが引きこもり習性は治らない。

むしろ悪化しているまである。


しかし、布団の横でスマホが光りだした。


「ユウ様。起きる時間です」

「メモ……今日は休んじゃ――」

「ダメです。

 “英雄が初日から登校しないルート”は炎上フラグです」

「そんなルート存在すんの!?」


だが逃げられない。


世界を救ったせいでユウは半強制的に“特例登校”扱いになっていた。


メモは既に制服の乱れをスキャンし、

寝癖を指摘し、

ついでに心拍数まで計測してくる。


「ユウ様、緊張していますか?」

「当たり前だろ……学校行ったら絶対騒がれるし……」

「大丈夫です。

 必要であれば、周囲の“注目フラグ”を折ることもできます」

「折れるの!?」

「はい。ただし、

 “恋愛フラグが勝手に立つ事象”は制御できません」

「一番重要なのそこだろ!」




<登校>


学校についた瞬間――


玄関前でカメラの嵐が襲いかかってきた。


「生きて帰ってきたぞ!」

「世界の救世主だ!」

「英雄ユウくん、ピースして!」

「サインくれ!」

ユウ:「やっぱりこうなったぁああああぁ!?」

メモ:「ユウ様、深呼吸を。

 この状況は……読み込み中……“ラブコメ的騒動レベル3”です」

「レベルで判定すんな!」


そこへ――生徒会長が颯爽と登場する。


黒髪でスラリとした美少女、

才色兼備、クール、校内人気No.1、

そして誰もが一度は憧れる存在。


彼女はユウの前に立つと、

すっと手を差し出した。


「天城ユウ君。世界を救ってくれてありがとう。

 生徒会長として、心から感謝するわ」

ユウ:「あ、あの、その……」


すると――


ピコーン。



【新規フラグ発生:生徒会長の“感謝から始まる恋”】


【条件:握手に応じる】


ユウ(嘘だろおおおお!?)

メモ:「ユウ様、どうします?

 この恋愛フラグは初期値が非常に高いです」

「高いって何!? 難易度!?」

「はい。彼女の“初恋フラグ”がすでに内側で——」

「発火させるなぁ!! 折れ折れ折れ折れぇ!!」


ユウは震えながらフラグをパキィッ! と折った。


生徒会長:「……ごめんなさい。

 なんか急に握手したくなくなったわ」

ユウ:「俺なにした!?」

メモ:「正常です。フラグ折りましたから」




<教室>


席につくと、クラス中から視線が集まる。


「マジで世界救ったの?」

「SNS全部バズってたぞ」

「え、なにこの人、うちのクラスに勇者いたん?」


ユウは疲れ切った顔で机に突っ伏した。


「……もう帰っていい?」

メモ:「ダメです」


そこへ――


前の席の少女、

ピンクのツインテールでゲーム好きなオタク仲間・ミユが振り返る。


「ユウ、おかえり! 生きてたんだね!よかったぁ!」

ミユは涙目になってユウの手をぎゅっと握った。


ピコーン。


【新規フラグ発生:幼なじみ的ポジションの“再会ロマンス”】


【成功率:97%】


ユウ「高ぇよ!?」

メモ:「ユウ様、ミユさんは

 “同好会で毎日会っていたのにユウが休んで寂しかった”

 という未処理感情が溜まっていたようです」

ユウ「それ恋愛じゃなくて友情だろ!?」

メモ:「どちらも複合フラグです」

ユウ「複合すんな!」


さらに、クラスの隅から気配がする。

おとなしい文学少女のアオイが、じっとこちらを見ていた。

アオイ:「……あの……ユウ君……」


ピコーン。


【新規フラグ発生:“世界を救った彼への興味”】


【派生:ヒロイン化】


ユウ「派生するなぁぁぁあぁ!」

メモ:「ユウ様。世界を救った影響で、

 あなたの“恋愛フラグ吸引力”が著しく上昇しています」

「そんなバフいらねぇ!!」




<昼休み>


逃げるように屋上に来たユウ。


それを当然のように後ろでついてくるメモ(スマホ)。


「……今日だけで何本フラグ立ったと思ってるんだよ俺は……」


「現在確認されているだけで――

 “恋愛フラグ13本”

 “すれ違いフラグ4本”

 “勘違いフラグ2本”

 “修羅場フラグ1本”

 です」


「最後のやべえだろ!?」


メモは少しだけ、

普段より優しく言葉を落とした。


「ユウ様。

 あなたは世界を救い、人々を助けました。

 ――その“好意”が、形として現れているだけです」


「いや、分かるけどさ……重すぎるだろ……」

「恋愛フラグは折ることも、立て替えることもできます。

 ユウ様が望む形に編集できますよ」


「……俺が望む形……?」


メモ:「はい」


メモの電子音声は柔らかく揺れた。


「私は、ユウ様が“幸せになるルート”を選んでくれれば……

 それだけでいいんです」


ユウは少し照れながらスマホを見下ろした。


「お前……もしかして……」


しかしそのとき――


ガラッ!


屋上の扉が勢いよく開く。


ミユ「ユウー! 探したよぉ!」

アオイ「……あの……一緒にお昼を……」

生徒会長「天城ユウ。あなたを“特別顧問”として生徒会に迎えたいのだけれど」

女子3人が同時に現れた。


ピコーン。


【修羅場フラグが“激化”に進化しました】


ユウ「進化すんな!?」

メモ:「予測不能です。これは“カオスルート”です」




こうして第二部は――

開始1話目から恋愛フラグが暴走し、

ユウの平穏は完全に消滅した。

世界は救われた。

しかしユウの日常は、まだまだ救われそうにない。




――つづく。

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