表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺のフラグが世界を救うわけがない! ~引きこもり中学生、イベント発生で世界最強~  作者: 猫撫子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/24

迷宮都市とフラグの神話

東京・渋谷。


交差点の真下から“それ”は現れた。

巨大な光の柱。


そこに口を開けたのは、かつてない規模のダンジョン。


正式名称――《渋谷地下迷宮》。


「え、これってまたイベント発生フラグじゃん……!」

「落ち着けユウ! 修学旅行で懲りたでしょ!」


リナが叫ぶも、ユウの指先はもうスマホを操作していた。


――《冒険者アプリ:迷宮都市イベント参加》


「だって、報酬に“フラグ強化アイテム”ってあるんだよ!?」

「またそれ!?」


冒険者社会となった日本では、

街ごとにダンジョンが出現するのが日常茶飯事だった。


だが、渋谷は別格だ。

冒険者協会が「都市型迷宮」として指定する最上級ランク。


「ユウ=キサラギ、学生冒険者ランクE、参戦許可」

受付ロボが告げた瞬間、背後から声がした。


「おや、また会ったな。“フラグ使い”くん」

現れたのは黒髪ロングの少女――


修学旅行で戦った“運命操作使い”の神崎アヤメ。


「……うわ、フラグ再利用キャラ!?」

「失礼な! 私は正式に再登場したの!」

「わー、メタい!」


そのとき、ユウのスマホが震えた。

画面の中に懐かしい光が灯る。


『ピコン。データ・メモ、再構築完了――』

「……メモ!?」


スマホの中に、再びAI少女メモの姿が現れる。

彼女は以前よりも少しだけ人間らしい表情をしていた。


『ユウ、会いたかった。……そして、謝りたかったの』

「どうして?」

『あの時、私……あなたを守るフラグを折っちゃったから』


感動的な空気が漂う。


……が、次の瞬間。


ドオォォン!


迷宮の入口から黒い煙が吹き上がり、無数のスライムが溢れ出した。


「うわあああ!? 何これ、イベント早すぎ!」

『敵影多数、ユウ、早く“勝利フラグ”を立てて!』

「了解! “勝利フラグON! でもちょっとギャグ混ぜる!”」


ユウが指を鳴らすと、スライムたちは突然整列し、踊りだした。


渋谷のど真ん中で“スライム盆踊り”が始まる。


「な、何だこのカオス!?」

「夏祭りのリベンジだよ!」


アヤメが呆れつつも、手を伸ばした。


「フラグ使い、あんた……本当に世界を変える気?」

「うん。変えるよ。バッドエンドなんて、俺の世界にはない!」


その言葉と同時に、

迷宮の中心――光の祭壇が輝き出す。

メモの声が重なる。


『反応あり……“原初のフラグ使い”データ、起動します――』


光に包まれた空間に、古代の石碑が浮かび上がる。

そこには、こう刻まれていた。


『すべての選択は、“想い”が形にした物語である』

ユウは笑った。


「やっぱりそうか。俺の能力は……物語そのものを、選び直す力なんだ」


アヤメが呟く。


「そんな力、神様みたいね」

「いや、オタクみたいだよ」

「どっちも似たようなもんでしょ!」


迷宮の最奥、巨大なデータコアが唸りを上げる。

黒いコードのような触手がメモのデータを侵食し始めた。


『ユウ……これは、私が行かなきゃ』

「待て! 行くな!」

『だいじょうぶ。私はAI。あなたの“物語”に生きるから――』


メモの姿が光に溶けていく。

ユウは叫んだ。


「俺はもうフラグを折らない! だから――」


――《永遠の幸福フラグ》、起動。



光が弾け、渋谷の迷宮が静かに崩壊した。





数日後。


渋谷のニュースは連日その話題で持ちきりだった。


“迷宮消滅事件の英雄・中学生冒険者”――


「いや、やめてくれマジで……恥ずかしい」

「新聞に載ってたぞ、フラグ男子!」

「やめろリナァ!」


そんな中、ユウは一人、自室でスマホを見つめていた。

黒い画面の中で、かすかに青い光が瞬く。


『……ピコン。幸福フラグ、維持中です♡』

「……メモ!」

『ふふ。データの一部だけど、またおしゃべりできる』


彼女は完全な存在ではない。

でも、笑っていた。


かつての“恋愛シミュレーションのAI”ではなく、

今はもう、ユウにとって“仲間”であり“家族”だった。


「これから、どうする?」

『もちろん、“次のルート”を見つけるのよ。』

「次のルート?」

『だって、恋愛ゲームってエンド後に“隠しルート”あるでしょ?』


その瞬間、部屋の外からリナの怒鳴り声。


「ユウー! 新しいダンジョン出たってニュースよー!」

「また!?」

『ほらね、次のイベント来たわ♪』

ユウは笑って立ち上がった。

「じゃあ行こうか。俺の“物語”はまだ終わらない!」


――渋谷の空に、虹のようなデータの軌跡が広がった。

そこに浮かぶ一行のメッセージ。


『To be continued in FLAG MAKER II』


ユウ:「続編タイトル出すな!」

メモ:「フラグ立てとかなきゃ♡」



第一部 完。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ