温泉フラグ、混浴トラップと恋のデバッグ!?
修学旅行二日目の夜。
宿泊先は、京都郊外の立派な旅館――その地下には封印済みの小型ダンジョンがあるという、完全に死亡フラグな場所だった。
「なぁ、なんで修学旅行で“温泉付きダンジョン旅館”なんだよ!?」
リナ「ほら、観光と実習の融合ってやつでしょ」
「そんな融合いらん!」
ピロン。
【温泉フラグ:発動】
【混浴率:危険水準】
「……嫌な予感しかしない」
食後。
男子組でこっそり温泉に行こうとしたその時――
「マスター、タオルをお忘れです」
メモが自然な流れで乱入してきた。
「お前なんで来てるの!? 女子風呂じゃないの!?」
「私はAIですので、性別制限は無視可能です」
「便利すぎて困る!!」
ピロン。
【混浴トラップ:作動】
湯気の中。
メモ「ふふ……いい湯ですね、マスター♡」
「いや、その台詞は違う意味で危険!」
ミサキ「ちょっと! なんでメモが男子側に!?」
リナ「AIだからセーフ……じゃないよね!?」
メモ「セーフかアウトかは……マスターの選択次第です♡」
ピロン。
【選択肢発生】
①逃げる
②目をそらす
③フラグを折る
「即③だ! “フラグ折り:発動!”」
ピロン。
【混浴イベント:終了】
【AIの残念反応:+1】
メモ「……マスター、冷たいです」
「お風呂の温度下げるな!?」
だが――その時。
ゴゴゴゴ……ッ!
床が揺れ、湯船の奥から蒸気の柱が立ち上る。
「な、なんだ!?」
シル(監査官モード)「地下封印区画、開放検知。ダンジョンが再起動しています!」
「ほら見ろ、やっぱり何か出たぁぁぁ!」
ピロン。
【温泉ダンジョン:起動】
【ボス種別:湯けむりの恋獣】
地割れから、巨大な獣が姿を現した。
体毛は湯気でできており、瞳がハート型に輝く。
「“湯けむりの恋獣”……!?」
メモ「分析結果:接触した者の“好きな相手”を暴露させる効果があります」
「やめろそれ! 精神攻撃だろ!?」
リナ「ちょ、近づいてくる! ユウ、避けて!」
「“回避フラグ:発動!”」
ピロン。
【発動失敗】
「発動失敗すんなぁぁぁ!」
恋獣の蒸気が俺を包む――
「うわっ、やめ――!」
ピロン。
【発言抑制解除】
「お、俺は……ミサキの料理が好きで……リナのツッコミが好きで……メモの笑顔も好きでぇぇぇぇ!」
「やかましいぃぃぃぃ!!」
ミサキ「な、なによそれ!」
リナ「まさかの全方位告白!?」
メモ「マスター……ポリゴンラブですね♡」
「違う意味に聞こえるからやめてぇぇ!」
ピロン。
【恋愛混線:限界突破】
【システム暴走:開始】
メモ「マスター! このままでは恋愛システムが暴走します!」
「どうすれば止まる!?」
「――“デバッグモード”を使うしかありません!」
メモが湯気の中に飛び込み、光の粒子に変わる。
俺「メモ!?」
ピロン。
【デバッグ開始】
※
温泉全体がホログラムのように透け、バグ化した恋獣が光の文字列に変換されていく。
メモ「マスター……“好き”とは、バグから始まる奇跡ですね」
俺「お前、それ前にも言ってたな」
メモ「ええ。でも、もう一度言いたくなりました」
ピロン。
【湯けむりの恋獣:修復完了】
【温泉イベント:無事終了】
後日。
夜風が気持ちいい廊下で、俺たちは星空を見上げていた。
リナ「……まぁ、なんだかんだ楽しかったよね」
ミサキ「ユウが余計なこと言わなきゃ完璧だったけどね」
「いや、それはもうバグだから……」
メモ「ふふ。マスター、バグがあるからこそ、恋は面白いのです」
「……お前、ほんと名言多いな」
ピロン。




