第八話 開祭式典
セラの言葉に最初に反応したのはルクスだった。
「おう こう?なんだかすごいね。」
「そうでしょう!すごいでしょう!」
セラは誇らしげな顔をしている。
王侯貴族が座る席に案内されるとは驚いたが、セラは王女なのだからそんなこともあるかと納得した。
「しかし、王侯貴族専用の席か、すごいな、こんなに間近で見たのは初めてだ。」
俺が少しの驚きを言葉に出すとセラは更に誇らしげになっていく
「ふふふ、ウィルもちょっとだけだけど驚いてるわね。さあ、2人とも行きましょう、私達の席はあっちよ」
俺とルクスは頷き、ちょうど真ん中辺りを指差し歩き始めたセラについていく、暫く歩き続けた後セラがこちらに振り向いた。
「2人とも着いたわよ。ここが私たち3人の席よ。」
その席は、前過ぎず後ろ過ぎず丁度いいぐらいの位置にあった。
「席の順番は私が右、ルクスが真ん中、ウィルが左で良いわよね?」
セラは席を指さしながら確認してくる
「ああ、もちろん大丈夫だ」
「うん、大丈夫だよ」
俺とルクスは頷き、俺たちは席に座った。
そして席に座るやいなや、開祭式典が始まった。例年通り最初は国王陛下が挨拶を行うべく左右に兵を連れて出てきた
「え〜親愛なる民の諸君、国王のフォラド3世である。儂は例年通りこの年の暮れを迎えることができ、心の底から無類の喜びを感じている。これもひとえに・・・・・」
「うおおおおお国王様‼‼」
「ガルトア王国万歳‼‼女神教万歳‼‼」
一部の荒くれ者らしき人々が盛り上がっている。
国王陛下はやはり真面目な陛下とよく国民に形容されている人物らしく、定型的とも模範的ともとれる演説を抑揚のよくついた聴き取りやすい声で続けてゆき、最後には右胸に手を当てて暫し黙祷したあとに
「では、この言葉を持って儂の長い話を締めくくらせて貰おう。母なる創造の女神と偉大なる勇者ソルに深き感謝を!!!」
国王陛下のその言葉を待っていたようにソル広場に集まっていた人々が信仰に酔い、これぞ真理といった様子でやはり右胸に手を当て口々に復唱した。
「「「母なる創造の女神と偉大なる勇者ソルに深き感謝を!!!」」」
「「「母なる創造の女神と偉大なる勇者ソルに深き感謝を!!!」」」
俺達3人も倣って同様の構えで同様の言葉を唱える
「「「母なる創造の女神と偉大なる勇者ソルに深き感謝を!!!」」」
少々、気分が悪くなってくるが我慢だ。
そう、これこそがこの世界において最も強い勢力を誇る宗教、女神教の経典における最も重要な部類の聖句とその読み上げの作法なのだ。
現代を生きた視点からでは何度見てもやはり違和感を覚えるが、よく考えれば宗教なんてものは外部から見れば碌でもないものに見えるものだ。
そして聖句の復唱の声がある程度落ち着き、開催式典が終わりを告げ多くの人々が立ち去り始めたため俺達も席を立ち広場を立ち去ろうと暫く歩いていると不意にある声が聞こえてきた。
「焼き立てのお菓子とパンは?」
「焼き立てのお菓子とパンはいりませんか?」
それは多くの人々の話す声で掻き消されそうになりながらも必死にパンとお菓子を売ろうとする1人の幼い女の子らしき声だった。
ありがとうございます、次回もぜひお楽しみに




