第七話 ソル広場
スープは非常に美味しくすぐになくなってしまった。器を屋台の店主に返し、お腹の膨れた俺たちは再びソル広場へと歩き始める。
やはり祭りにおいて最も重要な式典が行われるがためかソル広場に近づくにつれて人が増えていく。
「人が多いな、2人とも俺から離れるなよ。」
「うん、わかった」
「ええ、わかったわ」
俺はルクスとセラに言い含め、人と人の隙間を見つけてはその間をくぐり抜けて進み2人も俺の後に続く、しばらくそうして歩いていると遂には間を縫って行くことすらできないほど人が増えてきた。
「今年は何時にも増して人が多いな、迷子にならないように俺の手を握っておけ。」
俺はそう言い、顔だけ振り返って後ろにいる2人に小さく手を差し出す。2人は小さく頷き差し出された俺の手をぎゅっと掴む。そして手を握ったまま俺たちは人の流れに従ってまるで交通渋滞の時の車のように少しずつ、しかし確実に前に進んでいく。
そうして長いような短いような時間が経った後、遂に俺たちはソル広場に辿り着いた。
「うわ~すごい人」
ルクスがポロっと呟く。確かにその通りで、見渡す限り人で溢れており式典の様子などは残念なことにほとんど見えそうになかった。
「今年ばかりは見えそうにないな。どうしようか。」
「ふっふ~ん」
俺がルクスに続いて呟くとセラがなんとも得意げな顔をし始めた。
「安心しなさい2人とも、式典の様子がしっかり見える席が3つしっかり用意できてるわ!」
「そうなの!やったぁ!」
ルクスが無邪気に喜ぶ中俺は訝しみながら質問する
「だが、俺たちとセラが合流したのは少し前だし、合流した後にもそんな時間はなかったような・・・」
俺の質問に対してセラは少し食い気味に答える。
「それはね、元々私と護衛の兵士2人の3人の予定だったのよ、そこを私が王宮でごねて護衛を1人に減らしてもらって、その後あなた達と合流して入れ違いに最後1人も帰って・・・」
「で、ちょうど3人分が埋まったということか」
「そういうことよ、さあ2人とも行きましょう?」
歩き始めたセラの後を追う形で人混みを掻き分け俺とルクスも歩き始める。
そしてしばらく後、次第に人混みが減りいつの間にか開けた座席のある場所に辿り着いていた。しかし昔遠くから見たことがあるような・・・
「着いたわよ、ここが王侯貴族専用特等席よ」
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