第六話 心と手の温かみ
セラ、ルクス、俺の3人で行動することが決まりグンドさんが王様に報告する為に立ち去った後、
「そういえば2人はどこに行こうといていたの?」
「僕たちはソル広場向かうとしてたところ。」
「なるほどね…いいわね、行きましょうソル広場へ。それでいいわよね?ウィル」
「ああ、もちろん」
テンションが上がった2人が会話し引き続きソル広場を目指すことが決まる。
そしてソル広場へ向かう大通りを歩き始める。
「でね!その時そのメイドがね…私が焼いたお菓子を美味しいって!」
「それはよかったね!僕の方もね・・・」
ゆっくりと歩く中2人はなんとも微笑ましく会話を弾ませている。それを少し後ろから見ている俺の心は不思議な温もりに満ちていた。そんな中
「ねえ、お兄ちゃんもう僕もセラちゃんもお腹がペコペコだから、何か買おうよ。」
「おっ、そうか、ならあそこの屋台で売ってるスープはどうだ?」
ルクスがお腹が空いたと言い、俺も少しお腹が空いてきていたのでふと目に止まったスープの屋台を指差す。
「うん、僕はスープで大丈夫。」
「私もスープで大丈夫よ」
「わかった」
2人の了承を得て俺たちはスープの屋台に近づく。
「おお!数ある屋台の中からここを選ぶなんて彗眼だな!坊主たち!」
店主が日本の典型的な屋台の大将の如き勢いで語りかけてくる。
「え~と、スープ1杯は何ガンデアですか?」
「スープ1杯100ガンデアだよ!」
「わかりました、3杯ください」
「がってん!」
取り敢えず3人の中で最年長である俺が店主に値段を聞き、欲しい数を言うと店主は早速器を3つ取り出し熱々のスープを注いでいく。
「ヘイ!お待ち!」
「ありがとうございます、はい、300ガンデアぴったりです。」
「まいど!器は飲み終わったら返してくれよ!」
3つの器にスープを注ぎ終えた店主は器とスプーンを差し出し、俺は300ガンデアを財布から出す。
俺たちはそれぞれスープを持って近くにあった座れる場所に腰掛けてスープを食べ始める。
先ず一口汁だけを飲む__野菜や肉の旨味がよく出ていてとても美味しい、そして器から手に伝わる熱とスープ自体の熱の温もりが真冬の中、体に染み渡る。
具も含めてスープを本格的に飲み始めてしばらく後、ルクスが口を開く
「おいしいね、お兄ちゃん、セラちゃん」
ルクスは満面の笑みで心の底から嬉しそうに俺とセラに語りかける。
「ええ、そうね」
「ああ、そうだな」
この会話で俺たちの体だけでなく心も温かくなった。
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