第五話 ガルトアの姫君セラ
翌日の夕方、父さんからお小遣いとして1000ガンデアを貰い俺たちは2人で祭りの前の少し盛り上がりつつある街の中にいた。
「今年も盛り上がってるな」
「そうだね」
「取り敢えずソル広場へ行くにはどうだ」
「いいね」
俺たちは視界に映る屋台などに関して色々と話しながら街の中心部にあるソル広場へ歩いて行く。
「だから!1人で大丈夫だって言ってるでしょう!」
「駄目です!何かあったらどうするんですか!」
「あなたみたいな兵士がついて来るとみんな萎縮して祭りがつまらないのよ!」
「しかし!」
しばらく歩いてソル広場に通じている大通りに差し掛かった辺りで女の子と男が口論する声が聞こえてきた。目を遣ると兵士とドレスを着た7歳くらいの女の子が口論していた。近づいて行くと見覚えのある顔だった。同じく気付いたルクスが女の子に向けて駆け出す。
「セラちゃん!久し振り!」
「ん?あっ、ルクス久し振りね元気だった?」
「あの?私の話がまだ…」
ルクスが語りかけるとその女の子…この国のお姫様であるセラ王女は先程までの怒りが嘘の様に引っ込みルクスに笑顔で返答する。横に居た兵士であるグンドさんは少し驚いているらしかった。
「お久し…」
ルクスに追いつき、敬語でセラに話しかけようとしたところでハッとする。昨年の盗賊騒動の時に会った際に「友達なんだから敬語はやめて」と言われたことを思い出したのだ。なので
「昨年の盗賊騒動以来だな。セラ」
「ええ、そうねウィル」
「そういえば2人とも、あなた達のお父さんとお母さんは?」
「今年は祭りの運営などを任されていて居ないんだ。」
「お兄ちゃんの言ってる通り…で、ちょっと寂しいんだ。」
「なるほどね〜」
タメ口で話しかける。そして俺とルクスの言葉を聴いたセラは少し考えた後にいいことを思いついた様な顔をして…
「そうだ!ねえ、3人で一緒に回らない?グンドもそれならいいでしょう?」
「確かに、盗賊に負けないほど強いウィル君と姫様の許嫁であるルクス君が一緒であればいいでしょう。陛下には私から伝えておきましょう。」
「やった!」
俺やルクスの返答を待たずに話がトントン拍子に進んでいく。
「えっ、じゃあ、今回はセラちゃんと一緒に祭りを回れるの?」
「ええ、そうよ」
ルクスはとてもノリノリだ。因みに俺も賛成なので…
「なら、今回の祭りは3人で回るか。」
「うん」
「ええ」
こうして今年の祭りは3人で回ることとなった。
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