第四話 前世
それは夢の中のこと
まだ4歳の頃、両親が死んだ。兄貴が両親を殺したのだ。兄貴はその時血走った目をして両親を殺すことを楽しんでいた。
そんな兄貴は両親を殺した後更に狂い、車道に飛び出して車に撥ねられて死んだ。
「恨……む………な…」
撥ねられてボロボロになった兄貴の顔とその怨嗟の言葉はそれ以来俺の頭から離れなくなった。
少し前に祖父母も亡くなっており身寄りのなくなった俺は施設に入り、そこで率川優斗という同い年の男の子に出会った。
「ねえねえ、きみはなんでここに来たの?お名前は何て言うの?ねえねえ、年はいくつ?」
「しつこい!」
「ごめん、でもお名前だけでも教えてくれない?」
本当にしつこくしつこく優斗は俺に質問し絡んできた。ただ、気づけば物静かである俺ととにかく喋りまくる優斗はなぜか仲良くなっていて、同い年でありながらまるで兄弟のように仲の良い大親友になっていた。
そうやって2人で過ごす中で他にも友人ができ、俺の人生は次第に充実していった。しかし…
俺が21歳の時、優斗が死んだ。車道に出ていた幼い赤の他人の子供たちを助けるために車道に飛び出しトラックに撥ねられて…即死だった。幸いその子供たちは助かったが俺は人生において最も大事なものを失くし、同時に生きる希望も失くしてしまった。
そして絶望して死んだように生きていた27歳の時、暴走したトラックに轢かれて俺も死んでしまった。その瞬間、俺は思った。(ああ、本当に最低などうしようもない人生だった)
しかし、気がつくと俺は不思議な空間にいた。そして、目の前には美しい女性が立っていた。
「私は女神イデア。あなたには既に定められた役割と運命があります、ですからあなたに1つ力を与えて異世界に転生させましょう。」
その女神ははそう言って、俺を転生させた。
そうして、俺はこの世界に転生したのだ。
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