第三話 はじまりの絵本
俺とルクスはベットに入り寝ようとしていた。そこで
「ねえ、お兄ちゃん絵本読んで欲しい。いい?」
「いいぞ、じゃあ明日の祭りに関係あるこの絵本を読もう。」
俺が寝室の本棚から手に取った本は『子どももわかる世界のはじまり』という表紙に世界を創った女神と伝えられる美しい女性の描かれた絵本だった。
「うん、その絵本を読んで。」
「よし、読むぞ」
表紙を捲るとそこに描いてあるのは闇とその中に立つ女神の絵であった。
【むかしむかし、私たち人間が生まれるよりずっと昔、世界には何もありませんでした。しかし、ある時光を纏った女神様が現れ言いました。「光よ、在りなさい」】
次に捲ると光が闇の中に広がり世界が創造されている時が描かれた絵だった。ふと、横を見るとルクスは少し眠そうにしていた。
【女神様のその一言とともに何もなかった世界には光が溢れ、その光を元として女神様は水を、火を、風を、土を、電気を、世界を形作る全てを生み出しました。】
さらに捲ると世界を創り終えた女神その周りを囲む神と天使らしき翼を生やした人型、そして植物と動物が生まれている絵が現れた。ルクスはうとうとしている。
【次に女神様は世界を維持し見張るために神々と天使たちを生み出しました。そして長い時間が経ち、世界には女神様と神々が創った泥の塊から植物と生物が生まれつつありました。女神様と神々は誕生した生命を慈しみ、たくさんの生命が生み出されるようにしました。】
そして次のページ、そこには人間と思しき人型、耳の長い人型、大柄な鬼のようなものと豚のような人型、背丈が異様に小さいのと少し小さい人型、巨人らしき人型、下半身が魚の人型、そして獣の特徴を持った人型と世界が描かれた絵があった。ルクスは少し眠りつつある。
【そうして多くの生命が生まれていく中で知恵を持った生物が生まれました。時の流れの中で残り繁栄したのは人間、エルフ、オーガ、オーク、ハーフリング、ドワーフ、巨人、人魚、獣人でした。】
最後のページ、そこには角を生やし黒い翼を持った黒い人型が穴から湧き出した闇の中から地上に向けて手を伸ばし各種族が怯えていると思しき絵が描かれていた。
【しかし、女神様も神々も誰も気づいていなかったのです。女神様が全てを癒し包み込む光を生み出したとき全てを飲み込み支配せんとする闇も同時に誕生していたことに。おしまい】
絵本を読み終わり、ルクスの方を見るとルクスはすっかり寝入っていた。俺も少し大きめの欠伸をし、
「おやすみ、ルゥ」
1言そう言って俺も眠りにつくことにし目を閉じる、俺はすぐに眠ってしまった。
感想などの方お願い致します