第十四話 激突と幕引き
「来いよ、だと?」
小男は肩を震わせながら、怒髪天を衝くといった様子で怒鳴る
「舐めんじゃねえぞ、クソガキ」
猛烈な勢いで手斧を片手に襲いかかって来るが、動きは相変わらず直線的、大きく後ろに飛び退いて回避する。
「あんた、どうしてそんなに金持ちになりたいんだ。」
手斧を振り下ろした直後の隙を突いて、槍を突き出す、その穂先は確かに腕に刺さるはずだった。
しかし...
「どうして、だぁ?そんなの決まってんだろうが」
金属に弾かれる様な感触と共に、俺は少し後ろによろめく、
一体何が
「他人を利用して、蹴落として自分が上に立つ、」
小男は体勢を直し、人を人とも思っていない様な、不愉快な目つきでこちらを見た。
「世界ってのはそんなもんだろう?」
ああ、なるほど、だったら...
「あんたは、俺の1番嫌いなタイプだな。」
子どもの身軽な体を利用して素早く小男の懐に入り込み、腹部に向けて槍を突き出す。
普通であれば即死の位置、しかし
またもや弾かれた。直後、頭上から迫る手斧を身をよじって回避し、後ろに飛び退き間合いから退避する。
なるほど、大方わかった。
この感触、間違いなく装甲だろう。
「全身に装甲を仕込むなんてあんたは随分臆病なんだな。」
「うるせえよ、生き残りゃなんだっていいだろうが。」
その言い方、図星か。
とすれば、装甲がないのは服がない頭部か首か。
「何度も何度もバカにしやがって、もう売っぱらうのはやめだ、殺してやる」
俺の煽りが相当効いているらしく、大声で叫びながらこちらに迫る。
が、隙だらけだ。
「あんたは昔の俺みたいだな」
手斧の動きを槍を当てて歪め、外れさせる。
「自分や近くの人間のことしか考えず」
「なにぃ?」
込められた力がズレたことで、奴は前によろめく
「他人を平然と犠牲にする」
俺はそのまま、奴の背に回り込む。
「だからこそ、言わせてもらう」
そして、槍の柄で奴の首を全力で打ち
「あんたは間違っている、てな」
「がっ」
瞬間、奴は気絶した。
そして舎弟の方へ目を向けるが、しかし舎弟の姿はどこにもなかった。
「どこへ」
そう呟いた瞬間だった、後ろから俺の首にナイフが当てられた。
「動くな、ガキ」
後ろから聞こえてきたのはあの舎弟の声だ。
油断した
親分の仇でも取ろうと言うのだろうか
「よくも、兄貴を、なんて言うとでも思ったか?」
その、声色からは一切の情を感じ取れない。
「お前のせいで俺の計画が台無しだ。」
「で、どうする気だ?」
状況としては絶対絶命だ。だが、隙は見せない。
死なんて怖くない。怖いのは友達を失くすことだけだ。そう心の中で自分に言い聞かせた。
「こうなりゃ、ヤケだ。お前だけでも売っぱらって国外に逃げてやる」
「そうか」
「さあ、恐怖で泣きわめきな」
その瞬間、駆ける音が聞こえてきた、音としては子ども数人と大人数人
「どうした、恐怖で涙も出ないか?」
「いや、間に合ったからな」
「は?」
足音はどんどん近づいてくる。そして
「捕縛」
舎弟の手足が魔力の鎖で縛られ、転んで動けなくなる。それは兵士の使う、対象を捕らえる魔法だった。
「お兄ちゃん、よかった。」
足音のした方からルクスが駆けて来て抱きつく
ああ、ルクス、ちゃんと逃がせてよかった。
俺もルクスを抱き締める。




