第十二話 友達
どうやら、気の所為であったらしい。
先ほどの声の後、しばらく身構えていたが何も起こらなかった。
ああよかった。
そんなこともありつつ、子ども達が一生懸命売っているという点で大人にウケがよかったらしくパンもお菓子もかなりの勢いで売れ続け、遂に素材がなくなり完売ということになった。
「ありがとうございます、完売なんて始めてです。」
レイラはぺこりと頭を下げて俺たちにお礼した。
「どういたしまして」
「いやいや全然、手伝えてよかったわ」
「こちらこそ、手伝わせくれて感謝しかない。」
俺達3人は思い思いの言葉を述べ、ルクスは無邪気に微笑む。
セラは流石はお姫様と思わず唸りそうになる笑顔。
俺は感謝されたのが少々気恥ずかしくてぶっきらぼうに。
そしてふと、周囲を見回すと夜が次第に更け始め、ガヤや呼び込みの声に支えられていた活気は消え失せつつあり、何処か物悲しさを漂わせていた。
創世祭の終わりが近づいているのだ。
「こうなってくるとなんだか寂しいわね」
セラが同じように周囲を眺め、物憂げな表情をしていた。
「確かにそうだな」
「?」
ルクスは物悲しさをあまり理解できずにキョロキョロ周囲を見回した後、首を傾げてきょとんとしている。正直かなりかわいい。
そうして数分くらいだろうか、街から消えゆく人々を眺めていると不意にレイラが意を決した様に口を開いた。
「あ、あの、もしよければ明日も手伝ってもらえないでしょうか?」
それは俺達にとっても魅力な提案に違いないと思う。
何故なら、セラもルクスも楽しそうだったし、俺もパンを作るのは新鮮な体験だった。
レイラはさらに続け
「はじめて仲間ができて心強かったんです。だから―――」
「もちろん、いいわよ」
レイラが言い切るより早くセラが返答した。
「だって、私たちもう友だちでしょう?ね、ルクス?」
「うん‼レイラちゃんはもう友だちだよ」
セラに問いかけられたルクスは無垢な様子で頷いた。
友達か、違いない。
「2人の言う通りだ。友達なら助けるのは当然だろう?」
俺も2人の言葉に乗る。
「あ、ありがとうございます!」
「ありがとうでいいのよ、レイラ。」
「え?」
指摘されたレイラは不思議そうな表情をした。
正直セラならそろそろ指摘するだろうと思っていた。
「だって、友だちに敬語はいらないでしょう。」
「はい、いや…うん‼ありがとう、3人とも」
遂にタメ口となったレイラは少し距離のあったこれまでとはまた違う、親密な微笑みを浮かべていた。
「よし‼ここにまた明日集合だな。また頑張ろう!」
「「「おー‼」」」
俺たちはまた明日集合する約束をし、ソル広場を後にしようとした。
しかし、数分ほど遅かった。周囲にはほとんど人がいなくなっており、賊が襲うには格好の場となっていたのだ。
「今だ‼」
「へい、兄貴‼」
瞬間、あの先ほどの荒っぽい声が真後ろから聞こえ2人の大人が全力で疾走する音が石畳を通して聞こえてきた。
しまった‼油断した。
大急ぎで振り返ると力の強そうな手斧を持った恰幅の良い小男と恰幅こそ良くないものの背丈の高い男が血走った目でこちらに向かってきていた。
4人はどうなってしまうのか・・・
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