天国の流行 〜バイバイ神様!今までありがとう!〜
「神様。ちょっと宜しいでしょうか?」
「ん?」
ある日、見知らぬ訪問者が現れた。サキと名乗るものだが、全く神様には見覚えがない。
「神様!どこに行くんですか?」
「わしも知らぬ。お主らは仕事にはげめ。」
「は…はい。」
天使たちは悪寒がした。神様はサキという女に連れてこられたのは天国の地獄の境目だった。
「急にどうした。お主は天国に来たのじゃなかったのか?」
「神様。この写真に見覚えはありませんか?」
「ん?」
サキが見せたのは、天使や青い鳥、住民がデパートで遊んでいる写真だった。
「覚えはあるが、どうしてじゃ?」
サキはため息をつき、
「このデパートで遊んでいるものたち全員、逮捕します!」
「は?」
「あなた、神になる前にこの本の百六十六ページを見なかったんですか?」
サキは分厚い本をカバンから出し、一瞬でそのページを開いて神様に見せた。
そこには小さな字で、
「国の代表者は国民がルールを破るような行動を犯したときにその者たちを一生逮捕させるか、自らが命を落とすかを選ばなければならない。………は?」
「あなた、たぶんこのページを読み忘れていたんですね。私も結構ありますよ。……………で、どうします?」
「そりゃ、わしの命の方が大切…………。」
それから一分間、沈黙が続いたら神様は、
「よし。わしの命を今すぐとれ。」
「え?今?」
「今じゃ。」
「天国の皆さんには…?」
「いい。」
神様は優しく微笑みながら覚悟を決めた。
「悪く思わないでくださいね。」
サキは、ごくりと唾をのみ神様に近づいた。
そして、人差し指を神様の左胸に当てて、
ドクンッ
バタンッ
サキは何事もなかったかのように去っていった。
「神様ー!!」
「どこ〜?」
何時間も帰らない神様を心配し、天使や青い鳥、住民たちは天国中を探し回った。
ピクッ!
「ごめん!僕、人間をここに運んでこなきゃいけなくなった!」
青い鳥は謝りながら天国を出て行った。
数分後、青い鳥は少し見覚えのある老人を連れてきた。白い長い髪と髭。シワが似合う顔。
「このご老人、天国と地獄の境目のところで寝てたんだ。不思議だなぁ〜。」
「不思議ねぇ〜。」
「おじいさん!大丈夫?」
一人の天使が聞いた。すると老人は顔を上げて、
「もちろん、大丈夫じゃ!お主ら!」
天国の住民、天使、青い鳥は大驚失色した。
おしまい
最後まで読んでくださり誠にありがとうございます!私はまだまだ新人で、これが私のデビュー作品なんですけど、これからも応援よろしくお願いします!